何かに取り組もうとする「意欲」こそが、脳の機能を維持する最大の秘訣
段階3.脳の神経細胞の老化――「楽しみ」を見つけてカバーする
脳の寿命と密接なかかわりがあるのは、脳を構成する神経細胞(ニューロン)とグリア細胞(神経膠細胞)のネットワークです。
神経細胞は情報処理の主役で、グリア細胞は神経細胞を保護し、栄養を与えたり老廃物を排除するのが役目です。
ニューロンと血管を繋ぐ役割も担っています。
神経細胞の老化には、いくつかパターンがあります。
まず、数が減っていく老化です。
加齢に伴い、神経細胞一つひとつの働きは低下しますが、全体の数も減ってしまうのです。
その数は、まいにち10~20万個に達するという説もあります。
もっとも、脳の神経細胞は1千数百億個もありますから、みるみるうちに機能が衰えていくわけではありません。
しかし、神経細胞が減るにつれ、脳は委縮して、シワが深くなっていきます。
高齢者の脳をMRIやCT(X線コンピューター断層撮影)の画像で見れば、認知症ではなくても委縮している様子がわかります。
正常な老化でも、神経細胞の減少によるダメージは受けるのです。
とはいえ、物忘れのような症状が50代くらいから現れるケースは少ないといえます。
記憶を司っているのは大脳辺縁系にある海馬ですが、海馬が衰えるのは、もっと高齢になって正常老化が進んだ場合が多いからです。
老廃物が溜まるのも、脳の老化現象です。
神経細胞の中だけでなく、神経細胞と神経細胞の隙間やくも膜の下などに、いろいろな老廃物が溜まってきます。
リポフスチンという色素が沈着して作られる球体は、皮膚にできるシミと同じ性質のものです。
神経細胞の減少や老廃物が溜まっていく様子は、顕微鏡や画像診断で確かめることができます。
神経細胞が減ると新しく生まれてくる機能もあるのですが、ごくわずかにすぎません。
代わって神経細胞を保護してくれグリア細胞が増えるほか、補完するネットワークも働きます。
神経細胞の老化を防ぐには、こうした代償機工ネットワークの働きを高めることが大切です。
いわば、衰える部分の周りを強化するので、筋肉がいいモデルになるでしょう。
筋肉も使わなければどんどん衰えますが、鍛え続ければ70歳や80歳になってもある程度維持できます。
何もしないか、鍛えるか。
その差は大きいのです。
身体の筋肉を鍛えれば強く太くなるのと同じように、代償機構とネットワークを働かせることによって、脳の神経も機能を維持できます。
筋肉と異なるのは、腹筋や背筋だけに絞るようなトレーニングができないことです。
つまり、脳全体の機能を高めるような工夫が必要です。
そのためのキーワードは何かというと、自分自身の「意欲」です。
何事にも貪欲に取り組もうという意欲こそ、脳の機能を維持する最大の秘訣です。
「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法 より」
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脳の中では、運動会のリレーのように、神経がバトンをつないで、指令を伝達していきます。
しかし、たとえばC地点の神経細胞が倒れてしまい、指令がそこで止まってしまう、という事態が起こります。
このとき、すぐにC地点の神経細胞を救出できれば復活したのですが、時間が経ち、死んでしまって、その指令も届かなくなる。
これが運動麻痺や言語障害の起こる理由です。
ところが、脳のすごいところは、C地点から今度はほかのルートでバトンを渡そうとするのです。
新たなルートで、新たなリレーのチームを作り、「言葉を話す」という指令を伝えようとします。
この新チームは、以前のチームのようにバトンの受け渡しがうまくなく、スムーズに指令が届きません。
しかし、何度も繰り返し練習するうちに、だんだんうまく指令が伝わるようになっていきます。
このようにして、死んでしまった神経細胞は復元しないけれど、ほかのルートで代用できれば、言葉がある程度話せるようになり、失語症もよくなっていくというわけです。
ニューロン同士が情報伝達を行うこと、つまり神経機能的連絡を行うためには、新経路の交差点ともいうべきものが必要であり、この交差点をシナプスと言います。
このシナプスは、歳をとっても増加し、より成熟した結合が進行するとされています。
高度の創造過程にも高密度のシナプス形成が必要と思われ、そのためには、それに必要な素材として神経系構成成分、つまり栄養成分が必要なことは当然で、また、その構築作業のための酵素、そしてそれを補佐する補酵素的ビタミンも必要となります。
その中でも重要なものがビタミンB12なのです。
脳科学の発達によって、さまざまなことがわかり、新たな試みがされています。
あきらめずにチャレンジし続ければ、復活の日はいつか訪れるかもしれません。
ビタミンB12について?
https://www.endokoro.com/libra/vitamin01.html
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