赤ワインはやっぱり強い!

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赤ワインはやっぱり強い!

昔から「酒は百薬の長」といわれ、適度の飲酒は健康の維持に役立ち、長寿をもたらす考えられています。
テレビがスーパー長寿者を特集したときに、百歳を超えた元気なおばあちゃんが、晩酌に地元のお酒を飲むシーンがよく流されたりしています。
たしかに、お酒にはストレスを緩和させる作用があり、嫌なことを忘れさせて元気を出させたり、人とのコミュンケーションを円滑にさせる効果もあり、古今東西の人類有数の嗜好品と言っていいでしょう。

医学的に見ても、適度のお酒は血液中の脂肪等に働きかける「血液サラサラ」効果があり、心筋梗塞狭心症などの心臓病の予防に効果があることは、動物実験だけでなく膨大な疫学調査から明らかになっています。

動物実験のことが出たので、ちょっと横道にそれますが、ここでひと言。よく、試験管や動物実験での結果や発見が、私たちの生活に直結するようなコメントがありますが、その世界と現実の世界には大きな隔たりがあります。
例えば、かつて、ご飯のおこげの中から発がん物質が見つかったことから、「こげたご飯を食べるとがんになる」と騒がれたこともありました。
しかし、国立がんセンターの発表では、おこげを食べてがんになるのは、毎日100トンのおこげを1年間食べ続けた場合、ということくらいの確率の話のようです。つまり、現実の生活ではご飯のおこげを少しくらい食べるのは何の問題もないということです。

お酒の場合も、酒の本体であるエチルアルコールは、動物実験レベルでは、動物の脳を形成する神経細胞にとっては明らかに毒性を持ちます。
しかし、日常の普通の飲酒が私たちの脳にどういう影響を及ぼすか、ということは、動物実験では決してうかがい知ることができないのです。
そこで、人間の生活に密着した疫学的研究の必要性が生じてくるのですが、最近の疫学的研究では、適度の飲酒はボケ予防に良さそうであるという結果が出てきています。

ワインの名産地のフランス・ボルドーで行なわれた住民調査では、65歳以上の高齢者を対象にして、毎日の赤ワインの飲酒量とアルツハイマー病の発症率との関係が調べられました(3年間)。
その結果、赤ワインを1日にグラス3~4杯(350~500ml)飲んでいる人は、まったく飲まない人と比較して、アルツハイマー病の発症率がなんと4分の1に抑えられていたのです。
また、この量がアルツハイマー病予防に効果が出る最適な量であり、この量を過ぎてグラス5杯以上になっても、また少なくなって2杯以下になってもアルツハイマー病の発症率は高くなることが分かりました。
※飲まない人の発症率を1とした場合、グラス1~2杯の発症率は0.55、3~4杯以上の発症率0.28、5杯以上の発症率0.48

ただし、ここで注意しなければならないのは、お酒は人種によって身体や脳に対する最適量がかなり異なってくる可能性がありそうだということです。
実は、日本人は世界ではお酒が弱い民族として有名なのです。
日本人の酒飲みに比べると、欧米人や中国人の酒飲みの飲酒量は半端ではありません。
前述のボルドーの研究でも、なんと驚くべきことに、65歳で毎日赤ワイン500mlを飲みつづける人を一般的な人たちとしているのです(日本であれば、少し飲みすぎ、といわれることでしょう)。
現時点では、日本人の飲酒とボケ予防との関係を調べた良質の研究データが残念ながら見当たらないので、海外のデータを参考にせざるを得ませんが、その結果を私たちの生活にそのままあてはめるのは困難です。

お酒の中でも特にワインが苦手な人が、ボケ予防のために嫌々ワインをたくさん飲むことは苦痛でしょう。
そういうこともあって、ボルドーの研究以来、ワイン加えてビールやウイスキー等の飲酒とアルツハイマー病発症との関係が研究され、結果も報告されています。
その報告には、どんな種類のお酒でも適量ならアルツハイマー病の危険を軽減する、というものもあれば、ピールやウイスキーではだめで、ワインだけに効果があるというものもあります。
ただ、いずれの報告も、アルツハイマー病予防効果が大きいという観点からは赤ワインに軍配をあげています。

赤ワインがアルツハイマー病の予防に大きな効果があるのは、ブドウの皮に多く含まれるポリフェノールが関係している、という学説が有力です。
ポリフェノールは、身体に悪影響を及ぼす活性酸素に対抗する抗酸化物質であるであるだけでなく、アルツハイマー病を引き起こす「アミロイドベータたんぱく」という毒素にも対抗して、脳の神経細胞を保護する作用もあるということが明らかになっています。

そうと分かると早速、ポリフェノール入りの食品やサプリメントが売れたりするわけですが、赤ワインのボケ予防効果は、ポリフェノールによるものだけなのでしょうか?
ヨーロッパの街角では、4、5人のお年寄りが屋外のテラスで談笑している姿をよく見かけます。
テーブルの上には、赤ワインが入ったデキャンタを囲んで、オリーブオイルを使った料理やイワシの酢漬け等が並べられています。
ボルドーの疫学的研究で、赤ワインを毎日3~4杯を飲む人の結果が良かったのは、ポリフェノールの効果だけではなくて、ワインのつまみや友人と語らう楽しい時間、というプラスアルファが大きく効いているのかもしれません。
                           「ボケない技術(テク) より」

脳の神経の修復に不可欠なビタミンB12
http://www.endokoro.com/libra/v_article006.html