「見ること」「噛むこと」が消化の始まり

イメージ 1

「見ること」「噛むこと」が消化の始まり

食事に硬いものが少なくなり、噛むことが少なくなって、あごの発達が悪くなり、ますます噛みにくくなるという悪循環は見逃せないポイントです。

食欲がそそられると、人間の脳は各器官に命じて、食物を受け入れる準備をします。口の中では唾液が分泌されます。人間唾液の中にはアミラーゼというデンプンなどを分解する酵素が含まれていますが、噛むことで唾液の分泌量は適度に増えます。

飲み込むまでには、20~30回噛むのがよいといわれています。噛むことは、それ以降の消化管に負担をかけず、また、脳の血流もよくします。

歯科医に聞いた話ですが、認知症を患う人は、奥歯がないか、歯の調子が悪くて噛むことができない人にも多いそうです。歯のある人の頭蓋骨と、歯のない人の頭蓋骨では、ない人の頭蓋骨はとても軽く、それは脳の血流が悪くなることから頭蓋骨が骨粗鬆症を起こしているという説明でした。

ご飯や味噌汁の椀を持ち替えながら、一人分ずつ盛られた、おかず、漬け物とバランスよく食べる日本食は、彩りや食感などを同時に楽しむことができて、たくさんの量を摂り過ぎないためにもよいものです。しかし、最近、子供たちの間で、「ご飯だけ」「おかずだけ」と一種類ずつ食べてしまう食べ方の傾向が強くなっているのだそうです。そんな食べ方では口の中で混ざり合う微妙な味を楽しむこともできなくなります。
せっかく、いろいろなものを手に入れられる豊かさを持つことができたのですから、色や香り、素材の食感を感じられる食事をしたいものです。それが、「食事を豊かに楽しむ」ことだと思います。ほんの何十分かの食事時間を惜しむ人は、寿命まで短くしてしまいますよ。

とにかく食欲を満たせばいいとばかりに、噛まずに飲み込んでしまうと、唾液も出遅れてしまいます。
いきなり食べ始めると、脳は、慌ててしまいます。
噛まずに飲み込まれた食物は、食道を通って胃へ運ばれます。
脳からの指令がこないうちに、それも、口の中でよく砕かれていない食物が胃の中に入ると、胃は驚いて、ホイと十二指腸に送ってしまいます。
それを受け取った十二指腸(小腸)は、必死に消化しようとしますが、次ぎから次に送られてくる食物をこなすためには、さっさと空腸(小腸)に送ってしまわなくてはいけません。
消化不足の食物を受け取った小腸は、せっせと毛細血管やリンパ管へ送ります。それでも、まだ山のように食物が送られてきます。

そのうちに、腸の中に、なにやら悪そうな顔をした奴ら(有害物質)が増えてきて、臭いのなんの。
いつも張り切っている善玉菌(腸内細菌)も、げんきがなくなったようです。何だか数も減っています。
小腸から吸収されなかった食物の残りや未消化のものは大腸へ送られますが、大腸も、どんどん仕事ばかり溜まっていってしまうのです。

こんなことが毎日続くと消化管は疲労してしまいます。胃腸は、機能が低下して、慢性疲労で仕事(消化吸収)どころではなくなってしまいます。
胃腸がしっかり働いてくれないので、次に控えている肝臓や腎臓も疲れてしまいます。
「青春は食文化」より



縁処 ‐endokoro‐
http://www.endokoro.jp/