前頭葉は人間らしさ(意欲や創造性)の源泉
ほんの数年前まで「前頭葉」という言葉が日常会話で使われることは少なく、ましてそれが脳の中のどの部分を指して、どういう働きをするのかは、一般的にあまり知られていませんでした。
それが、今ではテレビの情報バラエティ番組や健康雑誌の特集でも取り上げられるようになり、かなり聞きなれたワードになりました。
こうした現象は、2000年以降「脳科学」という分野に注目が集まりね「脳トレ」や「脳内メーカー」といった流行語まで生まれたことも影響しているでしょう。
また、高齢化による認知症の増加を受けて、「何とか認知症になるのは避けたい」「いくつになっても頭はクリアでいたい」という意識が強まり、「脳」についての関心が急速に高まったことは間違いありません。
少し話が本題からそれるかもしれませんが、感情の老化と密接な関係のある「前頭葉」について説明する前に、ある映画を思い出してください。
それは1975年制作のアメリカの映画で、アカデミー賞の主要5部門を独占した名作『カッコーの巣の上で』です。
若き日のジャック・ニコルソン主演で、精神科病院の闇を描いたこの作品は、日本でも大ヒットしましたから、覚えている方もいるでしょう。
この物語の中で、病院の管理体制に対して反抗的だった主人公を廃人へと追いやったのが、前頭葉の一部を切り取る「ロボトミー手術」でした。
「ロボトミー手術」とは前頭葉白質を切り離して脳の神経経路を切断する手術で、かつては統合失調症などの治療のために行なわれました。
しかし、その効果より副作用のほうがはるかに大きく、以前のような鎮静や統合失調症治療目的のロボトミー手術は、現在日本では行なわれていません。
ロボトミー手術を受けた患者は、知能テストの点数が落ちない上に、興奮や暴力的な行為は軽減しましたが、精神的には無気力になり、意欲の欠如や集中力の低下、感情反応の低下が著しく、人間的な会話やコミュニケーションもできなくなったそうです。
つまり、前頭葉が担っていたのは、気力を盛んにし、意欲を高め、集中力を維持し、人に対しては感情豊かに反応するという、実に人間らしい役目だったのです。
つまり、前頭葉は感情に彩を与え、意欲や創造性をつかさどる器官で、いわば脳全体を制御する司令塔です。
人が人らしく生きるための、脳のコントロールタワーともいえる大切なものなのです。
「感情の老化を防ぐ本 より」
*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+
ビタミンB12は、もともと悪性貧血を防ぐビタミンとして知られています。
血液細胞が正常につくられるには、ビタミンB12が必要だからです。
それと同時に、脳神経系の働きにも深くかかわっています。
根本的な作用に目を向けると、ビタミンB12は、体内のすべてのたんぱく質を修復する働きを持っています。
とりわけ、脳や神経の修復には、ビタミンB12が不可欠なのです。
ニューロン同士が情報伝達を行うこと、つまり神経機能的連絡を行うためには、新経路の交差点ともいうべきものが必要であり、この交差点をシナプスと言います。
シナプスが豊富できちんと機能している場合、脳や神経の働きはよくなります。
このシナプスは、歳をとっても増加し、より成熟した結合が進行するとされています。
高度の創造過程にも高密度のシナプス形成が必要と思われ、そのためには、それに必要な素材として神経系構成成分、つまり栄養成分が必要なことは当然で、また、その構築作業のための酵素、そしてそれを補佐する補酵素的ビタミンも必要となります。
その中でも重要なものがビタミンB12なのです。
ビタミンB12は、脳からの指令を伝達する神経を、正常に働かせるために必要な栄養素です。
また、老人の認知症の3割~5割を占めるアルツハイマー病の場合は、脳細胞が萎縮する病気です。
この萎縮を食い止めるためには、脳細胞を生成するためのタンパク合成、核酸(DNA)合成が順調に行われる必要があるのです。
ビタミンB12は、脳細胞のタンパクと核酸(DNA)の生合成を司っています。
新しい核酸、タンパク質が生まれ、それによって細胞も新しく生まれ変わり、「こわれた組織、細胞」と「新生の組織、細胞」が入れ替わります。
その結果若さにもつながると考えられます。
ビタミンB12について?
http://www.endokoro.com/libra/vitamin01.html
※ちょっと使える身近な情報をお届けしています!