生活改善による老化防止③

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生活改善による老化防止③

 

<カロリー制限>

 

多くの動物種を使った実験から、食事のカロリーを20~50%減らすと寿命が延びて老化に伴う病気になりにくくなるということが示されています。

 

カロリーが不足すると、細胞はエネルギー効率を上げるためにオートファジーというやり方で機能の衰えたタンパク質や細胞小器官を分解して新しいものに作り替え、それが細胞の若返りにつながるようです。

 

人間にカロリーを20~50%減らした食事を与え続けたら人権問題になりますから、そうした実験はできませんが、我々と同じ霊長類のアカゲザルを使った実験はあります。

アカゲザルはかなり長生き(寿命約30年)なので実験は難しく、論文はこれまで二つしか出ていません。

2009年の論文は、“カロリーを減らすと寿命が延び、老化による脳の萎縮が改善された”と報告していますが、2012年の論文は、“カロリーを減らしても寿命はそれほど延びない”と報告しています。

これらの実験では餌の種類やカロリー制限を始める年齢も異なっているのですが、一番気になった違いはカロリー制限をしない群れ(対照群)の餌の食べ方です。

2009年の実験で対照群は餌を食べ放題でした。

2012年の実験では必要な量だけしか食べさせていません。

二つの実験の結果は“カロリー制限で寿命が延びて脳の萎縮が改善される”のではなく、“飽食が寿命を縮め脳の萎縮を早める”ことを示しているのだと思います。

食事の基本は腹八分目です。

腹八分目というとカロリー制限のように聞こえますが、丁度と思っていてもつい食べ過ぎてしまうのが人間の性なので、八分目と思って食べるそれが適量なのです。

食べすぎだけはしないように気をつけましょう。

 

<肥満と寿命>

 

多くの調査を見ると、太りすぎはもちろん良くないのですが、痩せすぎの人も寿命は短いという結果が出ています。

ある程度細身なのは良いのですが、それを超すと良くないのです。

その理由は分かっていません。

痩せている人の中には、何らかの持病を持っているなどして、不健康な人が含まれている可能性がありますが、そのような人を統計から外しても寿命は短いという結果が出ます。

では一番良いのはどのあたりなのでしょうか。

 

BMIという肥満の程度を表す指数があります。

これは体重(kg)を身長(M)で2回割った値で、例えば、体重が70kgで身長が1.7mの人のBMIは70÷1.7÷1.7で24.21となります。

体重は体積に比例し、体積は「高さ」×「幅」×「奥行」です。

身体の幅は身長にほぼ比例しますから、体重を身長で2回割るということは体積を「高さ」と「幅」で割ったようなもので、出てくるのは「奥行」に比例する値、すなわち腹の出具合を示すものとなります。

 

アメリカの国立研究所が使っている定義ではBMIが18.5以上25未満を標準、25以上30未満を前肥満、30以上を肥満としています。

これまでBMIは標準(18.5以上25未満)が良いとされていましたが、最近はやや太め(25以上30未満)の方が長生きするという結果が出ています。

世界中でおこなわれた調査結果をまとめた論文によると、標準の人と比べて25以上30未満の人の方が生存率は6%高く、65歳以上に限ると10%も高くなるそうです。

 

デンマークの論文には1970年代、1990年代および最近の調査から明らかになった最も長生きする人のBMI値の変遷が載っていました。

1970年代は23.7、1990年代は24.6、そして最近は27.0がもっとも長生きという結果でした。

この論文でも年齢で分けた結果を載せており、60歳以上に限ると最も長生きなのは27.3で、ここでも歳をとったら少し太り気味の方が良いという結果でした。

ここ20年で最適BMI値が大きく上昇した理由は、デンマークの医療制度が充実していて、肥満に伴う病気があっても治療によって長生きできるようになったためと述べています。

 

ただし、単に長生きするというのではなく健康寿命(自立した生活を送れる期間のこと)を比べると、BMI値が標準の人の方が前肥満の人よりわずかですが、長いという報告があります。

このあたりは微妙です。

標準値の一番上24.9と60歳以上の人の最適値27.3の中間をとって26ぐらいが良いのかもしれません。

身長170cmの人だと体重は75kgです。

バランスの良い食事を摂り、適度な運動をして固太りというのが良いと思います。

「老化と脳科学 より」

 

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人の体の老化は20代ごろから始まります。

老化は生きている以上避けられないものですが、生活習慣・食生活に少し気をつけるだけでも進行程度が変わってきます。

30代では個人差はさほどありませんが、40歳を過ぎて中年期に入るころからだんだん差が生じ、65歳を過ぎて高年期に入ると、健康状態にはっきりとした差が出ます。

健康寿命をのばす食生活に加えて、年代別の食べ物・食べ方に気をつけると、病気予防がいっそうアップします。

動脈硬化は年齢とともに発症しやすくなり、50代になるとほとんどの人(女性は60代から)に動脈硬化が見られるようになります。

脳梗塞は、高血圧や糖尿病などの病気が原因となったり、生活習慣などによって血液がドロドロになって血液循環が悪くなったりして、血管が厚く狭くなり、脳の血管が徐々に詰まって進行していきます。一般的に、脳梗塞の初期には、大きさ数ミリ程度の微小な梗塞が数個出現し、段階をへるごとにこの梗塞が脳のあちこちに見られます。このような症状のないごく小さな梗塞が隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)です。

「隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)は、早い人だと30代からあらわれ、40代を過ぎると急に増加するといわれています。

脳梗塞をはじめとする脳血管障害を生活習慣病の一つととらえ、ふだんから健康に保つ生活を心がけましょう。

 

ビタミンB12と葉酸、ビタミンB6の吸収が悪くなると動脈硬化の原因物質 (ホモシステイン活性酸素)が増えるといわれています。

また、ビタミンB12は古くから、神経系の機能回復に効果があることが知られていましたが、最近の研究で、このビタミンB12の不足によって脳細胞の萎縮が進むことがわかってきました。

ビタミンB12は、脳の萎縮を食い止めるために重要な脳細胞のタンパクと核酸(DNA)の生合成を司っています。

新しい核酸、タンパク質が生まれ、それによって細胞も新しく生まれ変わり、「こわれた組織、細胞」と「新生の組織、細胞」が入れ替わります。

その結果若さにもつながると考えられます。

 

ビタミンB12について?

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