必要なタンパク質量
私たちの身体はそれほど変わっていないように見えますが、細胞内部では毎日ダイナミックな変化が起きています。
細胞内のタンパク質も毎日の活動で少しずつ劣化するので、分解されて新しいものが作られ、平均すると2日で半分ぐらいが置き換わります。
新たにタンパク質を作るときには劣化したタンパク質の分解で生じたアミノ酸を使いますが、分解の際に失われるアミノ酸が3割ほどあるので、それを食事で補充しなくてはいけません。
2015年に厚生労働省から出された日本人の食事摂取基準によると、タンパク質(アミノ酸)の摂取推奨量は1日当たり成人男性で60g、成人女性で50gです。
この値は最低限なのでこれ以上食べても問題ありません。
もっと多く摂るべきだと思っています。
食事中のタンパク質量
タンパク質を摂取する際に注意しなければいけないのは、肉の重さはタンパク質の重さではないということです。
生肉は70%以上が水分です。
脂肪の部分もあるので、タンパク質の重さは生肉の重さの約20%と考えましょう。
150gのステーキを食べてもタンパク質は30gしか摂取できません。
魚も同じで、タンパク質は食べられる身の部分の重さの約20%です。
アジの塩焼きは、食べられる部分は120gほどなのでタンパク質は25gほどになります。
タンパク質を多く含む食材はタマゴ(1個で12g)、豆腐(3分の1丁で6g)、ハム(100g当たり16g)、チーズ(100g当たり22g)、ヨーグルト(100g当たり4.3g)、牛乳(コップ1杯7g)、納豆(100g当たり16.5g)などです。
主食であるパン(8枚切り2枚で9g)やご飯(1膳で5g)にもタンパク質は含まれています。
朝昼晩に、タンパク質を多く含むおかずを必ず1品か2品食べるようにしていれば、1日60g以上になります。
タンパク質という言葉
タンパク質という言葉はドイツ語で卵白様物質を意味するアイヴァイスクールパーを翻訳したものです。
卵白は熱をかけると凝固し、燃やすと硫黄臭い匂いがするというタンパク質の典型的な性質を示すものなので、ドイツ語ではタンパク質を示す言葉として使われています。
ではなぜ“卵”白質ではなく“蛋”白質と翻訳されたのでしょう。
中国語で卵は、昆虫からハ虫類、魚類、鳥類に至るすべての動物のタマゴの総称で、その中の鳥類のタマゴだけを蛋と呼んで区別しています。
中国料理のメニューを見ても皮蛋(ピータン)とか蝦仁炒蛋(シャーレンツァオダン:蝦と卵の炒めもの)のように蛋という字が使われていて、卵という字はありません。
確かに卵白という時のタマゴはニワトリのタマゴのことなので、蛋白が正しい表現なのです。
明治時代の学者は漢字の素養があったので迷わず「蛋白質」と翻訳したのでしょう。
その後、蛋という漢字が使えなくなったので、カタカナで「タンパク質」と書くようになり、元の言葉の由来が何も伝わらない記号のような言葉になってしまいました。
ただ、現在では実に多様多種なタンパク質の存在が明らかになっているので、それらの総称としては蛋にとらわれないカタカナの方が適しているのかもしれません。
「老化と脳科学 より」
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記憶力の減退も、脳の老化を示す典型的な症状ですが、記憶のネットワークを活性化する働きをしているのが、脳の海馬という組織であることはよく知られています。
その海馬には、アセチルコリン系神経が集中しているのです。
脳が老化し、萎縮してしまうアルツハイマーとの関係はとくに深く、アルツハイマーの脳ではアセチルコリンが減少していることから、アセチルコリン不足がアルツハイマーのひとつの原因とも考えられています。
アセチルコリンの合成にはコリン、ビタミンB1、ビタミンB12などがかかわっています。
同時にこれらの栄養をとることが、アセチルコリンを増やすことにつながるわけです。
通常、コリンはレシチン(フォスファチジルコリン)のかたちで、食材から摂取されます。
レシチンはアセチルコリンの材料になるだけではなく、細胞膜の材料にもなっています。
とくに脳の神経細胞の細胞膜にはたくさん含まれていて、多彩な働きをしています。
血液にのって運ばれる栄養の細胞内へのとり込みや細胞内の老廃物の排出、神経伝達物質の放出や情報ネットワークの形成といった、脳の機能全体に深くかかわっています。
これが、レシチンが「脳の栄養素」と呼ばれるゆえんです。
そのレシチンを多く含んでいる食品の代表が卵黄です。
また、脳を酷使するときには、たくさんのビタミンB群が消費されています。
B群は脳の働きに重要な役割を担っているのです。
糖質を分解するB1が不足すると、脳のエネルギーが不足し、とたんに頭が回らない状態になります。
また、脳の神経伝達物質の合成すべての段階に関わっています。
神経の働きを整えたり、傷んだ神経を補修したり、タンパク質をドーパミンやセロトニンといった神経伝達物質に作り替えるなど、「脳力向上」のためにもB群は欠かすことができないのです。
ビタミンB12について?
http://www.endokoro.com/libra/vitamin01.html
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