老化を招く血管の二大病変

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老化を招く血管の二大病変

 

カナダ出身で、近代医学のいしずえを築いたウィリアム・オスラー博士の有名な言葉に、「人は血管とともに老いる」があります。

血管の老化が全身の老化を招くということで、具体的には動脈硬化をさしています。

 

悪玉コレステロール(LDL)や中性脂肪の増加は動脈硬化の原因になりますが、かりに脂肪の数値がそれほど高くなくても、高血圧や糖尿病があれば動脈硬化はいくらでも進みます。

血圧が高いと血液が強い力で血管の壁にあたるので壁に傷がつき、そこから脂肪が侵入しますし、糖尿病では高い濃度のブドウ糖が血管の壁を傷つけて同じことが起きるからです。

 

では、これが、内臓脂肪の蓄積に加えて、血圧、脂質、血糖のうち2つ以上の項目が基準を超えるメタボリックシンドローム、いわゆるメタボとなるとどうでしょうか。

お察しのとおり、メタボでは動脈硬化が猛烈なスピードで進行するため、メタボな人は、これらの項目がすべて基準値におさまっている人とくらべて、認知症の発症率が6倍以上高くなります。

 

認知症にはいくつか種類があって、動脈硬化ととくに関係するのが血管性認知症、別名脳血管性認知症です。

アルツハイマー認知症の次に多いタイプの認知症で、脳の細い血管に発生した動脈硬化が小さな脳梗塞をいくつも引き起こすことで発症します。

アルツハイマー認知症と同時に起きることもあります。

 

さて、老化を招く血管病変は動脈硬化の他にもうひとつあって、こちらの舞台は「微小循環」です。

聞きなれない言葉が出てきましたが、漢字からイメージできるように、非常に小さな血のめぐりのことです。

 

新鮮な酸素と栄養を抱えて心臓を出発した血液は、上に向かって突きだした太い血管を通って長い旅に出発します。

この流れが動脈で、動脈という名前は血管が心臓の拍動と合わせてドキドキ脈打つことからついたと思われます。

動脈は枝分かれしながら次第に細くなり、やがて、直径が0.2~0.5ミリメートルしかない「細動脈」になります。

ちょうどシャープペンシルの芯と同じくらいですね。

 

続いて細動脈は細かい網の目のように広がる毛細血管になりますが、ここまで来ると血管は髪の毛より細く、内部は血液細胞がかろうじて通れる程度の幅しかありません。

毛細血管の壁には小さな穴があいており、血液と一緒に流れてきた酸素と栄養は、この穴を通って毛細血管周囲の組織に出て行きます。

組織からは二酸化炭素と不要な老廃物が吐き出され、毛細血管に入ります。

 

ここから帰り道です。

血管は静脈に名前が変わり、細静脈をへて、合流を繰り返しながら太さを増し、血液はそのなかを流れて心臓に帰ります。

静脈は脈打つことのない、文字通り静かな流れです。

心臓から全身に向かう動脈と、全身の組織から心臓に戻る静脈をすべてつなぎあわせると10万キロメートル、驚くなかれ、地球2回り以上にもなります。

このうち99パーセントを毛細血管が占めています。

 

毛細血管と、そこに流れ込む細動脈、そこから出て行く細静脈、ここを通る血液の流れと、それに伴う物資の移動をすべて引っくるめたものが微小循環です。

体の機能を支える重要な役割を果たしていますが、あまりにも細く、小さく、微細なので、悪い影響を受けるともろくなって壊れることがあります。

動脈硬化では血管の通りが狭くなって、ついには詰まってしまうのに対し、毛細血管は非常に弱いために血管そのものがダメになるのです。

ただし、その先の組織に新鮮な酸素と栄養が届かなくなる点は動脈硬化と共通です。

「「日本人の体質」研究でわかった長寿の習慣 より」

 

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脳梗塞は、高血圧や糖尿病などの病気が原因となったり、生活習慣などによって血液がドロドロになって血液循環が悪くなったりして、血管が厚く狭くなり、脳の血管が徐々に詰まって進行していきます。

一般的に、脳梗塞の初期には、大きさ数ミリ程度の微小な梗塞が数個出現し、段階をへるごとにこの梗塞が脳のあちこちに見られます。

このような症状のないごく小さな梗塞が隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)です。

「隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)は、早い人だと30代からあらわれ、40代を過ぎると急に増加するといわれています。

 

ビタミンB12やB6、葉酸の吸収が悪くなると、ホモシステインという老化物質が増え、動脈硬化を生じることがわかっています。

ホモシステインはLDLと一緒になり血管壁にコレステロールを沈着させます。

また活性酸素と一緒になり、脂肪やLDLの過酸化、血管内皮細胞や血管の平滑筋の異常を引き起こします。

その結果、動脈硬化心筋梗塞脳梗塞になるのです。

脳梗塞をはじめとする脳血管障害を生活習慣病の一つととらえ、ふだんから健康に保つ生活を心がけましょう。

 

ビタミンB群は、体に入った栄養成分をエネルギーに変えるときに不可欠なビタミンの仲間です。

脳を酷使するときには、たくさんのビタミンB群が消費されています。

B群は脳の働きに重要な役割を担っているのです。

糖質を分解するB1が不足すると、脳のエネルギーが不足し、とたんに頭が回らない状態になります。

また、脳の神経伝達物質の合成すべての段階に関わっています。

神経の働きを整えたり、傷んだ神経を補修したり、タンパク質をドーパミンセロトニンといった神経伝達物質に作り替えるなど、「脳力向上」のためにもB群は欠かすことができないのです。

 

ビタミンB12について?

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