■酒が持つさまざまな悪影響
副次的な悪影響は、まず食生活に及びます。
酒のエネルギーが糖尿病の一因になるだけでなく、バランスの取れた食事を取らなくなります。
カロリー過多になる一方、ビタミンや鉄分が不足して貧血になりがちなのです。
大量飲酒は消化器系の動きを鈍らせるため、食欲を減退させるからです。
そして酔いが覚めてくると空腹を覚え、夜更けに締めのラーメンを食べる。
健康と対極の食生活なのは明白です。
大量飲酒と偏食からビタミンB類の欠乏を招き、記憶障害を起こすこともわかっています。
これは一時的な障害にとどまらず、断酒したあとも続く場合があります。
睡眠にも影響を及ぼします。
酒を飲んで寝ると眠りが浅くなって睡眠の質が悪くなります。
睡眠時無呼吸症候群の人は、症状をさらに悪化させてしまいます。
アルコールには覚醒作用があるので、弱い覚醒剤だと思えばいでしょう。
だから飲むと元気が出るし、依存症になり、禁断症状もあるのです。
■一度に飲むより毎日飲むほうが、脳へのダメージは大きい
酒を飲む量に個人差があるように、脳への影響にも個人差があります。
飲酒後のアルコールの血中濃度に差ができるのは、アルコールを分解する酵素を肝臓にたくさん持っている人と、少ない人がいるからです。
たくさん飲んでも酔わないのは、分解能力の高い人です。
ほんの少し口にしただけで顔が赤くなる人は分解酵素が少ないので、脳へのダメージは飲める人よりも大きいと言えます。
厚労省の「健康日本21」という指針は、純アルコールに換算して1日20グラムを超えない量が望ましいとしています。
ビールならロング缶1本、清酒なら1合弱、ウイスキーならダブルで1杯です。
少な過ぎる、と感じることでしょう。
この量で止められないなら、その日はまったく飲まないことです。
たくさん飲むのが飲み過ぎなら、毎日飲むのも飲み過ぎだからです。
WHOのガイドラインでも、アルコールをひとつの項目として立て、「過度のアルコール摂取を習慣としている人には、認知症予防の観点から、飲酒量を減らすか断酒が勧められる」としています。
脳のダメージが大きいのは、一度に飲む量よりも、毎日飲む習慣です。
脳の萎縮を着実に進めるからです。
「休肝日」という言葉は肝臓への負担軽減から出てきたものですが、脳にもいいことです。
物忘れを自覚するようになったら節酒、できたら断酒が望ましい。
その段階で思い切ることができれば、まだ認知症に至る前ですから、回復が望めます。
外来でこう話します。
「人生取るか、酒取るか」で「10年後が全然違う」と。
もちろん、これは物忘れが心配になって受診した軽度認知障害(MCI)の方に対してです。
「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法 より」
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老人の認知症の3割~5割を占めるアルツハイマー病の場合は、脳細胞が萎縮する病気です。
この萎縮を食い止めるためには、脳細胞を生成するためのタンパク(アミロイドβタンパク)合成、核酸(DNA)合成が順調に行われる必要があるのです。
ビタミンB12は、タンパク(アミロイドβタンパク)合成と核酸(DNA)合成の両方に深く関わっています。
ビタミン欠乏症が原因で、認知症になるケースがあるそうです。
ビタミンの種類は、ビタミンB1、ビタミンB12、葉酸。
ビタミンB12や葉酸をはじめとするビタミンB群は、ミネラル、アミノ酸などの栄養素と協力し合っているため一緒にバランスよく摂ることがとても重要なのです。
ビタミンが欠乏すると、記憶障害、無気力、集中力の低下、妄想、錯乱の症状がみられるようになります。
東京武蔵野病院 副院長 田中信夫先生によれば、認知症患者の血中ビタミンB12は、通常の人より少ないそうです。
認知症の方に、ビタミンB12を投与すると、ボケ症状、特に感情障害、夜間せん妄、意欲、自発性の障害などの精神障害が軽くなると言われています。
現在60歳以上の人の20パーセントでビタミンB12の欠乏が見られということです。
これは歳をとると胃の機能が低下し、内因子の分泌が低下するからです。
長寿のためには、動物性食品を控えた方が良いという事ですが、一方では動物性食品を摂らないことからビタミンB12を摂取できなくなる恐れがでてきます。
また、高齢者が理由のはっきりしない神経症状を呈したら、ビタミンB12の欠乏を考えるべきだという学者もいます。
主に動物性食品にしか含まれないというビタミンなので、野菜中心の食生活の人や、ダイエットをしているなど食事の量が少ない人は、ビタミンB12を補った方が良いとされています。
加齢、胃の病気、ストレスなどでも不足します。
ビタミンB12について?
https://www.endokoro.com/libra/vitamin01.html
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