脳の「深く考える機能」がフリーズするしくみ
スマホやパソコンなどの情報に接する際、そんなに深く考えずに目についたものを読んだり見たりしていることが多いのではないでしょうか。
そういう時は、たいていの場合、ワーキングメモリーの「浅く考える機能」が使われています。
ですから、スマホやパソコンから日々大量の情報をインプットしている「スマホ脳」の人の場合、来る日も来る日も「浅く考える機能」ばかりを使って、さんざんワーキングメモリーを酷使していることになります。
また、こうした方々には、時間さえあればスマホを見ている人が多いため、「前頭前野の深く考える機能」をほとんど使っていない傾向が目立つのです。
そして、こうした状態が長く続くと、「ワーキングメモリーの浅く考える機能」の方は処理能力が追いつかずに疲弊していくようになり、「前頭前野の深く考える機能」の方はろくに使われないまま錆びついていくようになります。
ワーキングメモリーは、スマホやパソコンを通して次から次に入ってくる情報を処理するのでいっぱいいっぱいです。
パソコンの情報を処理しているときに、スマホの情報が飛び込んできたりして、あっちもこっちも処理しなければならない仕事が山積みになっていて、日々のオーバーワークでへとへとになっている状態だと思ってください。
それに、このようにひっきりなしに目先の情報の処理に追われていると、忙しくてとても深く考えてなどいられません。
じっくり考えることに時間を割いている余裕などなく、もし少しでも時間が空いたなら、すぐさま別の新しい情報が入ってきてしまいます。
このため、前頭前野の深く考えたり判断したりする機能は、ほとんど使われないままほったらかしにされたような状態になっています。
さらに、こういう「忙しすぎて、深く考えない毎日」が当たり前になると、使われない機械が錆びつくように、前頭前野の機能が少しずつ低下してしまうようになるわけです。
つまり、「スマホ脳」になると、ワーキングメモリーの浅く考える機能も、前頭前野の深く考える機能も、両方とも疲弊して働きを落としてしまうのだということ。
これにより、考えたり判断したり吟味したりする処理能力が全体的に落ち、さまざまな脳の情報処理機能がフリーズしがちになっていくのです。
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記憶力の減退も、脳の老化を示す典型的な症状ですが、記憶のネットワークを活性化する働きをしているのが、脳の海馬という組織であることはよく知られています。
その海馬には、アセチルコリン系神経が集中しているのです。
脳が老化し、萎縮してしまうアルツハイマーとの関係はとくに深く、アルツハイマーの脳ではアセチルコリンが減少していることから、アセチルコリン不足がアルツハイマーのひとつの原因とも考えられています。
アセチルコリンの合成にはコリン、ビタミンB1、ビタミンB12などがかかわっています。
同時にこれらの栄養をとることが、アセチルコリンを増やすことにつながるわけです。
通常、コリンはレシチン(フォスファチジルコリン)のかたちで、食材から摂取されます。
レシチンはアセチルコリンの材料になるだけではなく、細胞膜の材料にもなっています。
とくに脳の神経細胞の細胞膜にはたくさん含まれていて、多彩な働きをしています。
血液にのって運ばれる栄養の細胞内へのとり込みや細胞内の老廃物の排出、神経伝達物質の放出や情報ネットワークの形成といった、脳の機能全体に深くかかわっています。
これが、レシチンが「脳の栄養素」と呼ばれるゆえんです。
そのレシチンを多く含んでいる食品の代表が卵黄です。
また、脳を酷使するときには、たくさんのビタミンB群が消費されています。
B群は脳の働きに重要な役割を担っているのです。
糖質を分解するB1が不足すると、脳のエネルギーが不足し、とたんに頭が回らない状態になります。
また、脳の神経伝達物質の合成すべての段階に関わっています。
神経の働きを整えたり、傷んだ神経を補修したり、タンパク質をドーパミンやセロトニンといった神経伝達物質に作り替えるなど、「脳力向上」のためにもB群は欠かすことができないのです。
ビタミンB12について?
https://www.endokoro.com/libra/vitamin01.html
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