【心得4】「デジタル・デトックス」をやってみる
【心得4】「デジタル・デトックス」をやってみる
「スマホ認知症」や「スマホ脳」の状態になるいちばんの原因は「過剰な情報のインプット」にあります。
スマホやパソコンなどから日々大量の情報を入れ込んでしまっているために、処理能力が追いつかず、脳がパンク寸前のような状態に追い込まれているわけです。
あれやこれや情報を追いかけているうちに、片時もスマホを手放せなくなり、常に情報を追いかけていないといられないような状態になって、いつしかまぎれもない「スマホ脳」になっていくというわけです。
はじめは何気なく情報を追っているつもりでも、いつの間にか大量の情報インプットに翻弄されるようになり、自分でも自覚がないまま病的な状態に進んでいってしまうわけです。
もっとも、近年は、スマホなどの情報に翻弄されている人が恐ろしくなるくらいに増えているせいか、さすがに“過剰な情報インプットを反省しよう”という動きが出てきているようです。
「デシタル・デトックス」が静かなブームを呼んでいるのをご存じですか?
なかには「デジタル・ダイエット」と呼ばれているケースもあるようですが、これはスマホ、パソコン、タブレットなどのデジタル機器を意識的に遠ざけて、情報の呪縛から解き放たれようという試み。
デシタル情報への依存を解消したり、心の平穏を取り戻したりするのにとても効果的だとされています。
日々のもの忘れ外来において、患者さんにデジタル・デトックスを進めることが少なくありません。
ただ、「スマホ認知症」「スマホ依存症」の患者さんは、いきなり全面的にスマホから離れさせようとしても無理。
引き離すと禁断症状が表れて、よけいにスマホを求めるようになってしまうのです。
このため“「プチ・デトックス」「プチ・ダイエット」で構わないから、自分のできる範囲でスマホから離れてみるように”とおすすめするようなしています。
たとえば、いつもスマホがそばにないと落ち着かない人なら、せめてベッドにはスマホを持ち込まないようにするとか、毎日スマホ情報をチェックしていないと気が済まない人なら、週末の1日だけ「スマホ断ち」をしてみるとか、時間が空いたらスマホを取り出すクセがついている人なら、通勤電車内だけはスマホを見ないようにがんばってみるとか……こういうふうに、自分のできそうなところからスマホから離れてみて、少しずつ段階を踏んで「離れている時間」を増やしていくようにするのです。
こうした要領で「プチ・デトックス」にチャレンジしてみてはどうでしょう。
きっと、チャレンジしてみると、“離れてみても意外に大丈夫だった”とか、“丸一日離れていても、まったく何の問題も起こらなかった”とか、“追われる感覚がなくなって意外によかった”とか、“夜にやるのをやめただけで体調がよくなった”といったように、心身にさまざまな変化を感じることができるはずです。
そういうプラスの変化にスポットライトを当てながら、少しずつ「離れている時間」を長くしていけば、着実にスマホ依存・デジタル依存から抜け出すことができるでしょう。
そして、「スマホがなくても大丈夫な状況」「情報がなくても大丈夫な状況」に慣れてくれば、脳を情報漬けの状態から助け上げることができるようになるはずです。
ちなみに、漫画家のわたなべぽんさんは、ベストセラーになったコミックエッセイ『やめてみた』の中で、スマホやネットに支配されていた日常を抜け出した自身の体験を描かれています。
わたなべさんの場合、仕事の合間にスマホをしたり、ふとんの中やトイレの中にまでスマホを持ち込んであちこちサイトを見たり習慣がやめられなくなっていたそうです。
やがて家事や生活がだらしなくなって、仕事でのうっかりミスが増えたり他人に対して疑り深くなったりといった弊害も表れるようになっていきました。
そんなとき、ご主人から「ネットハマリ」をガツンと指摘されて目が覚めたわたなべさんは、スマホを意識的に遠ざけることを決意。
夢中になりすぎないように、「寝ながら」「食事をしながら」「仕事をしながら」などの「ながらスマホ」をやめるようにしたのだと言います。
つまり、わたなべさんにとっては「ながらスマホ」をやめることが「プチ・デトックス」だったということです。
これにより、ネット中毒を脱して、失いかけていた自分、失いかけていた自分らしい毎日を取り戻すことができたわけです。
このように、別に全面的にスマホから離れなくてもいいのです。
ハマったり依存したりせず、ちゃんと適切な距離でスマホとつき合えるようになればそれでOKです。
ぜひ、自分にとって大切なものを見失うことのないように、スマホと適切な距離感を保ってつき合っていくようにしてください。
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記憶力の減退も、脳の老化を示す典型的な症状ですが、記憶のネットワークを活性化する働きをしているのが、脳の海馬という組織であることはよく知られています。
その海馬には、アセチルコリン系神経が集中しているのです。
脳が老化し、萎縮してしまうアルツハイマーとの関係はとくに深く、アルツハイマーの脳ではアセチルコリンが減少していることから、アセチルコリン不足がアルツハイマーのひとつの原因とも考えられています。
アセチルコリンの合成にはコリン、ビタミンB1、ビタミンB12などがかかわっています。
同時にこれらの栄養をとることが、アセチルコリンを増やすことにつながるわけです。
通常、コリンはレシチン(フォスファチジルコリン)のかたちで、食材から摂取されます。
レシチンはアセチルコリンの材料になるだけではなく、細胞膜の材料にもなっています。
とくに脳の神経細胞の細胞膜にはたくさん含まれていて、多彩な働きをしています。
血液にのって運ばれる栄養の細胞内へのとり込みや細胞内の老廃物の排出、神経伝達物質の放出や情報ネットワークの形成といった、脳の機能全体に深くかかわっています。
これが、レシチンが「脳の栄養素」と呼ばれるゆえんです。
そのレシチンを多く含んでいる食品の代表が卵黄です。
また、脳を酷使するときには、たくさんのビタミンB群が消費されています。
B群は脳の働きに重要な役割を担っているのです。
糖質を分解するB1が不足すると、脳のエネルギーが不足し、とたんに頭が回らない状態になります。
また、脳の神経伝達物質の合成すべての段階に関わっています。
神経の働きを整えたり、傷んだ神経を補修したり、タンパク質をドーパミンやセロトニンといった神経伝達物質に作り替えるなど、「脳力向上」のためにもB群は欠かすことができないのです。
ビタミンB12について?
https://www.endokoro.com/libra/vitamin01.html
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