序章 50代からは「脳の老化」に気をつける
「歳だから」を言い訳にしない
「いやいや、もう歳だからな」
「寄る年波には勝てないよ」
という“言い訳”を言う前に知っておきたいこと
誰しも50歳を超えたあたりから、スポーツ、仕事、何をやるにも20代、30代のときのような「体力」のないことに気づいて愕然とするものです。
体力だけでなく、何をするにも「なかなかやる気が出ない」「腰が重くなった」「熱中できない」「集中力が続かなくなった」――このような日常の「症状」からも「もう若くない」ことに気づかされます。
ここで、「もう歳だから」「寄る年波には勝てないから」仕方がない――と、言い訳ともあきらめともつかぬ言葉で自分を慰めてしまいがちなのですが、それでは何の問題の解決にもなりません。
この「寄る年波」が「どこから寄ってきているのか」を知ることで、その「波」の訪れを遅らせることができれば、「寄る年波」の影響を最小限に抑えることもできるのです。
そもそもこの「寄る年波」の大部分は、「自分の年齢(加齢)とともに『脳』に問題が生じてくること」が原因、つまり「脳」からきています。
ではその「脳」の問題とはどのようなことなのでしょうか。
中年以降の「脳」のなかで起こっていることと、その影響について知っておくことが、「老いへの焦り・恐れ」を克服する第一歩です。
中年以降の「脳」について知っておく
3.動脈硬化が起こる
4.男性ホルモン(テストステロン)が減少する(男女とも)
1.前頭葉の萎縮……脳の前頭葉は、人間らしい「知性」――意欲・好奇心・創造性・計画性などを司る部分ですが、早い人で40代から縮み始める、つまり老化し始めます。萎縮が進むと、感情のコントロールがきかなくなったり思考が平板になったりします。
2.セロトニンなどの脳内神経伝達物質の不足……セロトニンの減少は「うつ」を引き起こしやすくします。一時的な減少でも意欲低下やイライラなど心の不調をもたらします。
3.動脈硬化……脳の血管は非常に細く、動脈硬化が進むと徐々に、細い血管の内部がつまりやすくなるため、とりわけ深刻です。脳の動脈硬化が進行すると自発性がなくなります。
4.男性ホルモンの減少……男性ホルモンは、実は女性にもあり(量は男性の10分の1~20分の1)、大脳の視床下部から「分泌せよ」との指令を受けた脳下垂体が、男性の場合は主に精巣と副腎、女性の場合は卵巣や副腎に働きかけることで分泌されます。
しかし司令塔がいくら頑張っても加齢により精巣や卵巣、副腎の機能が衰えると、男性ホルモンは減少します。
男性ホルモンには脳に直接働きかけて、意欲を高めたり判断力や記憶力を高めたりする機能があります。男性ホルモンの減少により、憂うつ感や、集中力やアグレッシブさの欠如、判断力や記憶力の低下が引き起こされます。
「50代からはじめる老けない人の「脳の習慣」 より」
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「老化」と聞いたとき、どんな変化を思い浮かべますか?
顔のシミやシワ、老眼、体力の衰え……。
それらももちろん老化の1つですが、根本的な老化とは「血管が衰えること」です。
わかりやすく言うと、血管の衰えとは「動脈硬化」のことです。
動脈硬化とは、血管が「硬くなること」「狭くなること」「血栓で詰まりやすくなること」。
動脈硬化は年齢とともに発症しやすくなり、50代になるとほとんどの人(女性は60代から)に動脈硬化が見られるようになります。
近年、動脈硬化の原因として新しく注目されているものに、ホモシステインというものがあります。
虚血性心疾患である心筋梗塞の発作を起こした人の2割程度にしか高コレステロール血症が見られないことから、これまで長い間、コレステロール以外に動脈硬化の原因となるものがあるのではないかと考えられていました。
そうして、ホモシステインがそのひとつの原因だと注目を集めるようになりました。
このホモシステインが動脈の壁に沈着すると、酸化される過程で血栓を引き起こし、血管を傷害して動脈硬化を引き起こすのです。
ホモシステインはLDLと一緒になり血管壁にコレステロールを沈着させます。
また活性酸素と一緒になり、脂肪やLDLの過酸化、血管内皮細胞や血管の平滑筋の異常を引き起こします。
ビタミンB12や葉酸の吸収が悪くなると、ホモシステインという老化物質が増え、動脈硬化を生じることがわかっています。
ビタミンB群は、体に入った栄養成分をエネルギーに変えるときに不可欠なビタミンの仲間です。
また、脳の神経伝達物質の合成すべての段階に関わっています。
神経の働きを整えたり、傷んだ神経を補修したり、タンパク質をドーパミンやセロトニンといった神経伝達物質に作り替えるなど、「脳力向上」のためにもB群は欠かすことができないのです。
ビタミンB12について?