第2章 愚痴を言わない
愚痴を言っていても始まらない。
不都合なことが起こっても「不自由は発明の母」。
全身全霊を傾けて考えれば、
きっと乗り越えられる
「歳をとると愚痴っぽくなる」と、これもよくいわれることですが、愚痴っぽくなるのもやはり、前頭葉の老化現象です。
やたら愚痴っぽくなるのは、前頭葉の老化により問題対応能力が低下して、何か不都合なことが起こってもなす術もなく、かといってその状況を受け入れることもできず、そのジレンマが「愚痴」という形で現れてくるのです。
しかし愚痴を言っていても何の解決にもならないことはもちろんです。
「愚痴は言わない」、まずはそれを習慣づけること。
そして、愚痴や文句を言うかわりに「考える」習慣をつけること。
考えることで前頭葉補フルに働かせれば、おのずと前頭葉は鍛えられ、そしておのずと問題解決能力もアップしていきます。
ちなみに、日本人にとって「不自由は発明の母」と考えています。
何か不都合に事が起こったり逆境に陥ったりしたときほど日本人は強く、創意工夫で乗り切っていく力があるのです。
何か起こっても愚痴を言っている場合ではありません。
自らのDNAに潜んでいる日本人ならではの優れた能力を、ぜひ発揮してほしいものです。
「これまでどうだったか」より「これからどうするか」
過去の経験だけで行動をコントロールするのではなく、
未来の予測や展望から「どうするか」を判断する。
変化の激しい時代には、
そんな前頭葉の未来型思考が必須
脳の前頭葉が果たしている役割のひとつに、頭頂葉や側頭葉など他の領域に蓄積された「これまでの経験」から総合的に判断し、自分の行動をコントロールすることがあります。
これは多くの動物に共通していることなのですが、他の動物と人間が違うのは、自分の行動を決めるにあたって、前頭葉が過去の経験だけでなく、さらに未来の予測や展望を立てて、それを重視しながら判断するという点です。
つまり、「これまでこうだったから、こうする」ではなく、「これまではこうだったが、これからはこうなりそうだから、こうする」という思考です。
前頭葉が活発に働いていれば、このように「これからはこうなりそう」という「仮説」を立てたり、「こうなりそうだから、こうする」というシミュレーションを行うことができるというわけです。
もちろん、これまでの過去の経験も、未来をつくる「土台」になることには間違いありません。
しかし、現代のように変化の激しい時代には、ただ「過去はこうだったから」「理屈ではこうなる」では追いつかず、的確な対応も難しくなります。
「土台」から「新しい何か」を考え出す力、「これまでどうだったか」より「これからどうするか」という、前頭葉の未来型思考が不可欠なのです。
「50代からはじめる老けない人の「脳の習慣」 より」
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脳の中では、運動会のリレーのように、神経がバトンをつないで、指令を伝達していきます。
しかし、たとえばC地点の神経細胞が倒れてしまい、指令がそこで止まってしまう、という事態が起こります。
このとき、すぐにC地点の神経細胞を救出できれば復活したのですが、時間が経ち、死んでしまって、その指令も届かなくなる。
これが運動麻痺や言語障害の起こる理由です。
ところが、脳のすごいところは、C地点から今度はほかのルートでバトンを渡そうとするのです。
新たなルートで、新たなリレーのチームを作り、「言葉を話す」という指令を伝えようとします。
この新チームは、以前のチームのようにバトンの受け渡しがうまくなく、スムーズに指令が届きません。
しかし、何度も繰り返し練習するうちに、だんだんうまく指令が伝わるようになっていきます。
このようにして、死んでしまった神経細胞は復元しないけれど、ほかのルートで代用できれば、言葉がある程度話せるようになり、失語症もよくなっていくというわけです。
ニューロン同士が情報伝達を行うこと、つまり神経機能的連絡を行うためには、新経路の交差点ともいうべきものが必要であり、この交差点をシナプスと言います。
このシナプスは、歳をとっても増加し、より成熟した結合が進行するとされています。
高度の創造過程にも高密度のシナプス形成が必要と思われ、そのためには、それに必要な素材として神経系構成成分、つまり栄養成分が必要なことは当然で、また、その構築作業のための酵素、そしてそれを補佐する補酵素的ビタミンも必要となります。
その中でも重要なものがビタミンB12なのです。
脳科学の発達によって、さまざまなことがわかり、新たな試みがされています。
ビタミンB12について?