第3章 昔の自慢話はしない
「昔は○○だった」という昔の自慢話をするのは、
「老化」の現れ。
過去の栄光にすがると自己満足に陥り、
進歩も発展もなく、向上心を失い、
前頭葉を使わなくなる
「昔は自分もなかなかモテたものだ」「小中学時代は近所でも指折りの秀才だった」「若い頃は仕事も認められ、出世コースを歩いていた」……などなど、「昔は○○だった」と口癖のように言う人がいます。
厳しいことを言うようですが、こういう人は、今はまったくモテなくなり、「昔天才、ハタチすぎればタダの人」になっていて、そしてすでに出世街道から外れて窓際族になっているのかもしれません。
そして、「老化」も相当に進んでいます。
この程度の「昔の自慢話」をして根拠のない自信を持ち続けていたほうが、へんに自虐的になってうつになるよりはよいのかもしれませんが、それも程度によりけりです。
このように何かにつけて過去の栄光にすがりそれにとらわれすぎると、「それでよし」として満足してしまい、発展的な発想ができなくなります。
つまり前頭葉を使わなくなってしまうということです。
そうすると、思考が偏り柔軟性がなくなり、ますます脳の老化が進んでしまいます。
「昔の自慢話」は古来、老人の専売特許と相場が決まっています。
過去の栄光など捨ててしまって、「まだまた成長できる、上昇できる」という未来に向けた自信を持ち、新しい栄光を追い求めれば、自ずと気持ちも前向きでいられるはずです。
「今どきの若い者は……」は禁句にする
若い頃は、「今どきの若い者は……」と言われて
「ふん、年寄りはこれだから――」
と反発していたことを、忘れてはいませんか?
「戦争を知らない子供たち」とその前の世代のオトナたちに「異人種」扱いされて育った団塊世代も、今や70代。
若い頃に自らが言われて反発していた「今どきの若い者は……」「自分たちが若かった頃は……」という言葉をついつい使ってはいないでしょうか。
しかしこの言葉は、これから「禁句」にすべきです。
「今どきの若い者は……」と口にするだけでも、知らず知らずうちに気持ちも脳も老け込んでいきます。
この言葉の裏にはやはり、若者と自分とは同じ土俵に立てるわけがない、という感覚があると思います。
しかしそれは、自分自身の老いへの焦りや自信のなさの裏返しでもあるのではないでしょうか。
実際、気も見た目も若い人には、「今どきの若い者は」的な発想は見られません。
「若い人としゃべったり飲みに行ったりすると、どうも疲れる」というようなこともありません。
ですから、若い人たちとてらいもなく話したり付き合ったりできるのです。
このように若い人と接点を持つことを常日頃から意識すると、自ずと気持ちも脳も、体も若さを保つことができます。
「50代からはじめる老けない人の「脳の習慣」 より」
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記憶力の減退も、脳の老化を示す典型的な症状ですが、記憶のネットワークを活性化する働きをしているのが、脳の海馬という組織であることはよく知られています。
その海馬には、アセチルコリン系神経が集中しているのです。
脳が老化し、萎縮してしまうアルツハイマーとの関係はとくに深く、アルツハイマーの脳ではアセチルコリンが減少していることから、アセチルコリン不足がアルツハイマーのひとつの原因とも考えられています。
アセチルコリンの合成にはコリン、ビタミンB1、ビタミンB12などがかかわっています。
同時にこれらの栄養をとることが、アセチルコリンを増やすことにつながるわけです。
通常、コリンはレシチン(フォスファチジルコリン)のかたちで、食材から摂取されます。
レシチンはアセチルコリンの材料になるだけではなく、細胞膜の材料にもなっています。
とくに脳の神経細胞の細胞膜にはたくさん含まれていて、多彩な働きをしています。
血液にのって運ばれる栄養の細胞内へのとり込みや細胞内の老廃物の排出、神経伝達物質の放出や情報ネットワークの形成といった、脳の機能全体に深くかかわっています。
これが、レシチンが「脳の栄養素」と呼ばれるゆえんです。
そのレシチンを多く含んでいる食品の代表が卵黄です。
また、老人の認知症の3割~5割を占めるアルツハイマー病の場合は、脳細胞が萎縮する病気です。
この萎縮を食い止めるためには、脳細胞を生成するためのタンパク合成、核酸(DNA)合成が順調に行われる必要があるのです。
ビタミンB12は、脳細胞のタンパクと核酸(DNA)の生合成を司っています。
新しい核酸、タンパク質が生まれ、それによって細胞も新しく生まれ変わり、「こわれた組織、細胞」と「新生の組織、細胞」が入れ替わります。
その結果若さにもつながると考えられます。
ビタミンB12について?