第3章 「我慢しない生活」を心がける
前頭葉は「快体験」を求め、
「我慢」や「節制」を強いられると働きが鈍くなる。
「我慢しない」ことは老化防止のためには「必要悪」と心得、
意識的に「我慢しない生活」を心がける
「我慢強くて真面目で几帳面」――日本人の民族的特徴としてこのように評価されることも多いのですが、これは「前頭葉」的にはあまり歓迎できる評価ではありません。
前頭葉は一般的に「快体験」の強いときのほうが働きやすい一方、「我慢」や過度の節制を強いられたりする禁欲的な生活のなかでは、決まりきったルーティン思考になって自由な発想ができなくなる傾向があるからです。
考えてみると、一昔前には、音楽家や画家、作家などには破壊的で、傍若無人の破天荒な生き方をしている人、波乱万丈の人生を駆け抜けているような人が多かったものです。
今や芸術家といえどもある程度の「社会性・市民性」がなければ仕事をもらえない時代にはなっていますが、それでも一般のサラリーマンなどに比べれば、自由闊達、奔放な生き方をしている人がほとんどです。
少なくともルーティン化した生活を送っているような人はいないでしょう。
「我慢するにもほどがある」ように、一般人として生活するうえでは、「我慢しないにもほどがある」のは否めませんが、「我慢しない」ことは、前頭葉を刺激し、老化を防ぐための「必要悪」とでも考え、意識的に「我慢しない生活」を心がけるとよいでしょう。
「50代からはじめる老けない人の「脳の習慣」 より」
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脳の中では、運動会のリレーのように、神経がバトンをつないで、指令を伝達していきます。
しかし、たとえばC地点の神経細胞が倒れてしまい、指令がそこで止まってしまう、という事態が起こります。
このとき、すぐにC地点の神経細胞を救出できれば復活したのですが、時間が経ち、死んでしまって、その指令も届かなくなる。
これが運動麻痺や言語障害の起こる理由です。
ところが、脳のすごいところは、C地点から今度はほかのルートでバトンを渡そうとするのです。
新たなルートで、新たなリレーのチームを作り、「言葉を話す」という指令を伝えようとします。
この新チームは、以前のチームのようにバトンの受け渡しがうまくなく、スムーズに指令が届きません。
しかし、何度も繰り返し練習するうちに、だんだんうまく指令が伝わるようになっていきます。
このようにして、死んでしまった神経細胞は復元しないけれど、ほかのルートで代用できれば、言葉がある程度話せるようになり、失語症もよくなっていくというわけです。
ニューロン同士が情報伝達を行うこと、つまり神経機能的連絡を行うためには、新経路の交差点ともいうべきものが必要であり、この交差点をシナプスと言います。
このシナプスは、歳をとっても増加し、より成熟した結合が進行するとされています。
高度の創造過程にも高密度のシナプス形成が必要と思われ、そのためには、それに必要な素材として神経系構成成分、つまり栄養成分が必要なことは当然で、また、その構築作業のための酵素、そしてそれを補佐する補酵素的ビタミンも必要となります。
その中でも重要なものがビタミンB12なのです。
脳科学の発達によって、さまざまなことがわかり、新たな試みがされています。
ビタミンB12について?