第4章 「粗食系」より「肉食系」
「歳をとったら肉食を避けて、粗食がいい」
――は、まったくの迷信。
むしろ肉食は「長寿」の条件。
肉料理をガッツリ食べれば、脳も活性化する
歳をとるとセロトニンをはじめとする脳の神経伝達物質が減少し、それが「うつ」の原因にもなり脳の老化を早めることになる。
しかしこのセロトニンの減少を抑え、脳の老化を防ぐ方法もあるのです。
しかもとても簡単な方法です。
それは、「肉を食べること」です。
セロトニンの原材料はトリプトファンというアミノ酸なのですが、これは主に肉類に豊富に含まれているからです。
野菜中心で、肉をやめて魚ばかりのメニューでは、トリプトファンを十分に摂ることは難しいのです。
そもそも「長生きしたいなら『肉食より粗食』というのもとんだ間違いです。
織田信長が「人間50年……」と言った時代から360年近く経った昭和20年頃まで、日本人の平均寿命はずっと50歳にも届きませんでした。
先進国では最短命国だったのです。
そうして昭和22年にようやく50歳を超え、その後爆発的な勢いで平均寿命が延び、今や世界でもトップクラスの長寿国となった背景のひとつに、肉食の普及があるといわれています。
「健康になりたければ肉を控えよ」というのは、日本人の4倍以上もの肉を食べる欧米諸国人の話であって、もともと肉類の摂取量が少ない日本人には当てはまりません。
好きな肉料理を我慢するなんて愚の骨頂です。
「コレステロール」の長所を知る
「メタボは動脈硬化の引き金になる」とはいっても、
メタボを気にするあまりコレステロールを
シャットアウトすると
今度は別の健康問題のリスクを引き上げることに。
美味しい食事、おいしいお酒は百薬の長?
内臓脂肪が蓄積したメタボリック症候群は、肥満症、糖尿病、高血圧、高脂血症を併発し、これが動脈硬化の引き金になることから、さかんに「メタボ予防」が叫ばれています。
メタボの要因の一つとなる「コレステロール」は目の敵にされ、肉類をはじめ、いわゆる「悪玉コレステロール」を多く含む食品は極力摂らない、という人もいます。
しかしとかく悪者扱いされるコレステロールにも、実はすぐれた長所があるのです。
コレストロールは、体を構成する細胞膜の原料でもあるため、コレステロールが不足すると細胞の再生がうまくいかなくなり、その結果老化が進んでしまいます。
また、コレステロールがつくられるエストロゲンという女性ホルモン(男性にもあります)は、骨粗しょう症やアルツハイマーを予防する働きがあることがわかっています。
もちろん、コレステロール→メタボ→動脈硬化という図式があるのは否めないにせよ、また暴飲暴食は慎むべしとしても、美味しい食事、美味しいお酒を楽しむことこそ脳に喜びを与えます。
無理に我慢して食事制限をして欲求不満になるより、気にせず食べたいものを食べてお酒を飲んでハッピーな気分になるほうがよほど健康的といえるでしょう。
「50代からはじめる老けない人の「脳の習慣」 より」
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イタリアで、子供に完全菜食を強いる親に対し、禁固刑の罰則を与えるという変わった法案が議会に提出されました。
肉や魚を食べない人を菜食主義者の「ベジタリアン」と呼ぶのに対し、肉や魚だけでなく、卵、バター、はちみつなど、動物搾取による製品も食さない人を完全菜食主義者の「ビーガン」と呼んでいます。
つまり、イタリアでは、子供に肉、魚、卵などを与えないビーガンの親は、法律で罰せられるべきという議論が持ち上がっているのです。
イタリアでは、ビーガンが人間にとって、著しく健康に良いという考えが普及した結果、動物性の食物をすべて取り除いた食事を子供たちに強要する傾向が見られるのです。
このブームが影響し、ここ最近では、乳幼児や2歳の子供たちが栄養失調で病院に運ばれ、時には、危篤状態に陥る事態などが発生。
幼少時に必要なプロテイン、ビタミンD、B12、カルシウム、オメガ3、鉄分などがビーガンには足りないという問題が危惧されているのです。
お肉には、私達の体が必要とする必須アミノ酸がバランスよく豊富に含まれています。
それに匹敵するほど効率よく必須アミノ酸を私達の体に提供できる野菜はありませんから、お肉を食べずに体を健康的に保つには、それなりの方法を知らなくてはなりません。
ビタミンB12を含む穀類、イモ類、野菜、果物、種実はありませんから、ビタミンB12の欠乏症に陥るベジタリアン/ビーガンが多いのが現状です。
動物性食品以外では、発酵食品、海苔に含まれているのみです。
これだけは必ずしっかり毎日の食事に加えるようにしましょう。
加齢、胃の病気、ストレスなどでも不足します。
ビタミンB12は、胃の粘膜から分泌される内因子という糖タンパクと結合し、腸で吸収されます。
そのため胃の病気や高齢で吸収が悪くなっている人などの場合は吸収されにくくなるので、欠乏症状が現われやすくなります。
ビタミンB12は、脳からの指令を伝達する神経を、正常に働かせるために必要な栄養素です。
十分にあると、集中力ややる気が高まり、不足すると、神経過敏などの症状が起こりやすくなります。
また、脳や神経と関連が深く、不眠症にも効果があるといわれています。
同時に、ビタミンB12と葉酸、ビタミンB6の吸収が悪くなると動脈硬化の原因物質 (ホモシステイン・活性酸素)が増えるといわれています。
ビタミンB12は、ストレス社会に生きる現代人のこれからの健康に大切な栄養素です。
ビタミンB12について?