第2章 中高年にしか存在しない「休め遺伝子」が脳の損傷を守る

第2章 中高年にしか存在しない「休め遺伝子」が脳の損傷を守る

 

「長寿遺伝子」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

寿命や老化などをコントロールする遺伝子のことです。

 

最近この長寿遺伝子ですごい発見がなされました。

「レスト遺伝子」というものが発見されたのです。

私はこれを「休め(レスト)遺伝子」と呼んでいます(レスト遺伝子の「レスト」の意味は本来全く違う意味になります)。

これの何がすごいかというと、休め遺伝子が脳をダメージから守ってくれる存在だったのです。

 

2019年、ハーバード大学の研究チームが、脳バンクに提供された高齢者の脳を調べたところ、100歳以上の人の脳には70~80歳で亡くなった人よりも、「レスト」という遺伝子がたくさん発現していました。

 

休め遺伝子は脳活動の過剰な活性化を抑える役割があって、体全体の活動をゆるやかにして負担をかけないことで、脳の寿命を伸ばす効果が世界的に注目されています。

 

ここまで脳を活性化するために新しいことに挑戦したり、新しい人間関係をつくることをすすめてきましたがも「やりすぎ」は禁物です。

脳の活性化は大切なのですが、「過剰な活性化」は抑えなければなりません。

中高年になっても若いときと同じようにアクティブに活動していると細胞が傷つきやすくなります。

でも、一度習慣化してしまうと人はなかなか変えられません。

ついついアクティブになり過ぎたり、無理をしてしまいます。

 

そこにブレーキをかけるのが休め遺伝子です。

 

中高年になると、若いときのような情熱、やる気が薄れてくることがありますが、これは自分に無理をさせないための防御機能でもあります。

ですから「最近、昔ほど何かに熱くなれない」「モチベーションが落ちた」というのは、何も悪いことだけではないのです。

むしろ、自分の脳と体を守るために必要なことでもあるのです。

その代わりに冷静さが生まれてきます。

 

昔バリバリ仕事で活躍した人が、いざ情熱ややる気が薄れてくると「自分はどうしてしまったんだろうか?」「昔の自分を取り戻したい」と悩む人もいますが、これは加齢とともに起きる現象で、ある程度はしょうがないものです。

「情熱ややる気が薄れるのは自分せいではなく遺伝子のせい」そのくらいに思っておくほうがいいかもしれません。

実際にこの休め遺伝子は、脳の老化を抑えてアルツハイマー認知症を予防してくれます。

 

 

考えてみてください。

60歳になっても、70歳になっても、昔のような活動をしていたら、体はボロボロになります。

生命を守るためにも必要なことなのです。

 

情熱ややる気が落ちてくることは、休め遺伝子が正常に働いている裏返しでもあります。

ですから、これまでとは視点を逆転させて、「冷静さ」を強みにするくらいの感覚を持つのがいいと思います。

 

 

レスト遺伝子はじめ長寿遺伝子の役割のひとつは、ざっくり言うと「自分を大切にすること」です。

 

くり返しますが、「新しいことに挑戦すること」が大切だと書いてきたので、「それだと矛盾してないか?」と思うかもしれません。

そうです。

これが脳の面白いところで、どちらかに偏ってしまうのがNGなのです。

大切なのはバランスです。

挑戦したり、生きがいを持ったりすることは大切ですが、やりすぎないこと。

自分を甘やかすことも大切ですが、甘やかしすぎは逆効果です。

先にも書いた「中庸」が大切になります。

「80歳でも脳が老化しない人がやっていること より」

 

*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+

 

ハーバード大学が20年にもわたって行なった調査によると、激しい怒りの後には、急性心筋梗塞狭心症などの心臓発作を起こすリスクが4.7倍まで急上昇するそうです。

ただ、血管に悪いとわかっても、怒りや嫉妬といった感情は自然に湧き上がってくるもの。

完全になくすということはできません。

避けることはできないのなら、湧き起こってきた怒りを以下に鎮めるか、ストレスが持続しないように、いかに発散するかが大事です。

 

カーッと頭に血が上ったとき、簡単にできるリラックス法が、息を吐くということ。

ふーっと腹式呼吸で息を吐くと、副交感神経の働きを強めてくれます。

オフィスでも、どこでもすぐにできるのでおすすめです。

 

脳梗塞は、高血圧や糖尿病などの病気が原因となったり、生活習慣などによって血液がドロドロになって血液循環が悪くなったりして、血管が厚く狭くなり、脳の血管が徐々に詰まって進行していきます。

一般的に、脳梗塞の初期には、大きさ数ミリ程度の微小な梗塞が数個出現し、段階をへるごとにこの梗塞が脳のあちこちに見られます。

このような症状のないごく小さな梗塞が隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)です。

「隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)は、早い人だと30代からあらわれ、40代を過ぎると急に増加するといわれています。

 

ビタミンB12やB6、葉酸の吸収が悪くなると、ホモシステインという老化物質が増え、動脈硬化を生じることがわかっています。

ホモシステインはLDLと一緒になり血管壁にコレステロールを沈着させます。

また活性酸素と一緒になり、脂肪やLDLの過酸化、血管内皮細胞や血管の平滑筋の異常を引き起こします。

その結果、動脈硬化心筋梗塞脳梗塞になるのです。

脳梗塞をはじめとする脳血管障害を生活習慣病の一つととらえ、ふだんから健康に保つ生活を心がけましょう。

 

ビタミンB12について?

https://www.endokoro.com/