第7章 会話に「擬音語」を入れると体も脳も動きがよくなる
脳にいい言葉としてぜひ使ってほしいのが「擬音語」(擬声語とも言います)です。
擬音語は、動物の声や物の音を言葉で表現したもので、たとえば「にゃ~にゃ~」「わんわん」「がらがら」「ざあざあ」などの表現を言います。
この擬音語が、実は脳の活性化と結びついています。
何気なく使っている擬音語ですが、脳にかなりの影響を与えていることがわかっています。
たとえば、エクササイズをするときに、擬音語を入れてやると体の動きが変わります。
実際に体験してもらいたいので、ぜひやってみてください。
やり方はこうです。
(1)真っすぐ立って、両手を左右に水平になるように広げてください。
(2)そのままの状態で腰をいけるところまで回してください(左右どちらでも大丈夫です)。
(3)自分の限界というところまで回したら、その位置を覚えておいてください。
(4)元に戻してください。
(5)今度はある言葉を言いながら、同じ姿勢で同じ方向に腰を回してください。
ある言葉とは、「ス~ッ」という言葉です。
ス~ッと言いながら腰を限界まで回していきます。
どうでしょうか?
最初に腰を回したときよりも、「ス~ッ」という擬音語を言いながら回した方が、より腰が回ったのではないでしょうか。
これが擬音語のパワーです。
擬音語を使うと、一般の動詞や副詞などの言葉に比べて、運動機能を司る運動野や前運動野、そして小脳などを含む幅広い脳の領域が活性化します。
スポーツ選手の中にも、擬音語を取り入れている人がたくさんいます。
たとえば、砲丸投げの選手は投げるときにすごい叫び声を出します。
テニス選手や卓球の選手も声を出す選手がいますよね。
擬音語を発することで、脳が指令を出し、制御しているリミッターを外し、筋肉の限界まで力を出せるようになります。
そのスイッチが「声」です。
ちなみにこういった効果を「シャウト効果」と呼びます。
これは何もスポーツに限った話ではありません。
さまざまなシーンで擬音語を使うことで、脳を活性化できるのです。
跳び箱を跳べない子どもに擬音語を使った方法を教えて、すぐに跳べるようになったということがありました。
跳び箱が跳べない子どもに、跳ぶときに「タッタッタッ、トン、パッ、トン」という言葉を心の中でつぶやきながら跳んでみてと伝えたところ、すぐに跳べるようになったのです。
小脳が活性化し、身体能力が上がったのです。
実はこの擬音語、プラスの擬音語ではなく、マイナスの擬音語を言う人がいます。
たとえば高齢者であれば、「ガクガク」「ギシギシ」などです。
足が弱い人が「足がガクガクする」と言ってしまうと、その瞬間にガクガクする感覚が脳の中で大きくなってしまい、結果、症状をより大きく感じてしまいます。
マイナスの擬音はこのように、体にもマイナスに作用する可能性があります。
こういうときはどうしたせいいのでしょうか。
ひとつは「プラスの擬音語に変換する」ということです。
ただ、「足がガクガクする」など、プラスの擬音語に変換するのが難しいケースもあります。
そのときは濁点をとってみてください。
「ガクガク」だったら「カクカク」とか、「ギシギシ」だったら「キシキシ」。
「ギラギラ」だったら「キラキラ」。
濁点をとると印象がかなり変わります。
それだけで脳の刺激を受ける場所が変わるので、痛みが軽くなったり、気持ちまで変化してきます。
歩くことがしんどい人は擬音語を言いながら歩くと、つらさが軽減できる場合もあります。
「サッサッサッ」「トントントン」「ポンポンポン」……スタスタ歩けるイメージになる言葉であればなんでもOKです。
心でこれらの擬音語を言いながら歩くだけで変化するので、ぜひ試してみてください。
「80歳でも脳が老化しない人がやっていること より」
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からだが疲れやすいのは、エネルギー不足のこともあり、からだにたまった老廃物がうまく代謝されないためでもあります。
ビタミンB群は、エネルギーの供給や老廃物の代謝にはたらいています。
いわば元気の素です。
脳を酷使するときにも、たくさんのビタミンB群が消費されています。
B群は脳の働きに重要な役割を担っているのです。
糖質を分解するB1が不足すると、脳のエネルギーが不足し、とたんに頭が回らない状態になります。
また、脳の神経伝達物質の合成すべての段階に関わっています。
神経の働きを整えたり、傷んだ神経を補修したり、タンパク質をドーパミンやセロトニンといった神経伝達物質に作り替えるなど、「脳力向上」のためにもB群は欠かすことができないのです。
ビタミンB群とは、体に入った栄養成分をエネルギーに変えるときに不可欠なビタミンの仲間です。
B1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチンの8種類を総称して「ビタミンB群」と呼んでいます。
8種類すべてが互いに協力しあって体のエネルギーを生み出す働きに関わっているため、一緒にバランスよく摂ることがとても重要なのです。
また、B群は、体内で起こっている「酸化」の抑制にも間接的に関わっています。
B群は体中の細胞の正常な代謝活動を助ける「補酵素」として、欠かせない存在なのです。
ビタミンB12と葉酸、ビタミンB6の吸収が悪くなると動脈硬化の原因物質 (ホモシステイン・活性酸素)が増えるといわれています。
ビタミンB12について?