第7章 「自分は大丈夫」と思っている人がオレオレ詐欺にだまされてしまう理由

第7章 「自分は大丈夫」と思っている人がオレオレ詐欺にだまされてしまう理由

 

オレオレ詐欺、料金請求詐欺、預貯金詐欺、還付金詐欺……。

高齢者が引っかかりやすいと言われている詐欺の数々です。

 

さまざまな場所でこれらの詐欺の危険性が告知されていますが、いまでもこの詐欺に引っかかる高齢者が多数います。

自分は大丈夫、引っかかるはずがないと思っている人がコロッと引っかかってしまうことがあるのは、なぜなのでしょうか。

(ちなみに、オレオレ詐欺にかかってしまう人のほとんどは50代以上で、女性が7割だそうです)

 

 

そこには、高齢者特有の脳の働きが関係しているのではないかと思います。

 

それがオキシトシンの増加です。

人とつながりを感じたときに出る脳内ホルモン「オキシトシン」は、高齢になると増える傾向にあります。

 

オキシトシンが増えると、人を信用してしまうため、オレオレ詐欺にだまされやすくなると言われているのです。

実際にこんな実験があって、オキシトシンの成分を鼻から吸ってもらうと脳の扁桃体の活動が抑えられ、相手を信頼し続けてしまうことが報告されています(通常、裏切られる可能性が高いとき、扁桃体が活性化して不安な気持ちになります)。

歳をとるとだまされやすくなるのは、このオキシトシンが原因のひとつなりです。

 

 

さらにもうひとつ原因があります。

「ポジティブバイアス」です。

 

ポジティブバイアスとは、ものごとをプラスの側面でとらえてしまうバイアス(偏った考え方)です。

 

20代~50代の人は、痛みと快感があると痛みのほうを重要視する傾向にあります。

これが「ネガティブバイアス」です。

若い人は、たとえば「1万円得する」という場合より「1万円損する」という場合のほうが感情が大きく揺さぶられます。

要は損をしたくないわけです。

これがネガティブバイアスです。

同じことに高齢者は、「1万円損する」よりも「1万円得する」ほうが感情が大きく揺さぶられます。

これがポジティブバイアスです。

 

高齢者は損失を回避する意識が薄れていき、プラスに目がいきやすくなっています

結果、だまされてしまう人も出でくるのです

 

 

と言っても、冷静にさえなればだまされることはないのではと思う人もいると思います。

そうなんです。

高齢者でポジティブバイアスが強くなっている人でも、冷静さがあればだまされないかもしれません。

そこは詐欺をする側もわかっていて、冷静な判断をできないように仕掛けてくるのです。

 

それが「感情に訴える」ことと「時間的切迫性」です。

 

冷静で論理的な判断をしにくくするために、オレオレ詐欺なら私情に訴え、料金請求詐欺なら誰でもありそうな少し後ろめたい感情に訴えてきます。

また、締め切りを目前に設定し、時間的にも切迫した状態をつくります。

 

「早く判断しなきゃいけない」そんなプレッシャーがかかり、感情で判断したときに人は間違った判断をしやすくなります。

そして、ポジティブバイアスが強い人ほど、より誤った判断をしやすくなります。

 

また、「早く振り込んでラクになりたい」という感情も生まれるそうです。

 

 

ではなぜ。年齢とともにネガティブな反応が薄れてくるのでしょうか。

その理由のひとつは先にも説明した脳の扁桃体にあります。

ネガティブな出来事は扁桃体で反応が起きるのですが、その反応が高齢になるにつれ起きにくくなってくるのです。

結果、ネガティブな感情が出にくくなります。

 

もうひとつが、高齢になるほど感情的に安定したいという意識が起きるためと言われています。

 

この意識が、実は「ガンコな老人」「わがままな老人」を生み出すこととも結びついています。

「80歳でも脳が老化しない人がやっていること より」

 

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心の病との関連で関心を集めているストレスホルモンが「コルチゾール」です。

コルチゾールは、副腎から分泌されると、血液にのって体内を循環しながら、エネルギー源の補充などの重要な役割を果たします。

役割を終えると脳にたどり着いて、脳に吸収されます。

これが、正常なストレス反応の流れです。

 

ところが、主に「我慢するストレス」状態が長い期間にわたって続き、ストレスが積み重なっていくと、コルチゾールがとめどなく分泌され続けるようになってしまいます。

こうなると、状況が一変します。

コルチゾールが脳にあふれて、その一部をむしばんでいくのです。

まさに、ストレス反応が暴走して、ありふれたストレスが「キラーストレス」と化してしまうのです。

 

副腎が疲れている人に圧倒的な足りない栄養素は、ビタミンB群になります。

ビタミンB群は、抗ストレスホルモンを合成するときに必要な栄養素です。

そのため、ストレスが多く抗ストレスホルモンを大量に必要とする人などは、体内のビタミンB群が不足しがちになります。

その結果、抗ストレスホルモンが十分につくれなくなり、副腎がますます疲れてしまうのです。

 

また、ビタミンB群は、体を動かすエネルギーをつくりだすためにも必要な栄養素。

私たちの体を構成している細胞には、ミトコンドリアというエネルギー生成工場があり、摂取した食べ物を燃焼させて、「ATP(アデノシン三リン酸)」というエネルギー物質をつくっています。

このATPをつくり出す過程で必要なのがビタミンB群です。

ビタミンB群が不足すると、ミトコンドリアATPが十分につくれなくなる。

ATPが足りなくなると、体がだるくて疲れが取れなくなったり、頭の回転が悪くなってきたりします。

 

ビタミンB12について?

https://www.endokoro.com/