第7章 詐欺に引っかからないための方法とは
ポジティブバイアスが働くときは、2種類のパターンが考えられます。
それは、「自己承認欲求が満たされている人」のパターンと、「自己承認欲求が満たされていない人」のパターンです。
自己承認欲求が満たされている人はどんなこともポジティブにとらえやすくなる傾向にあります。
なので、いい面もたくさんありますが、詐欺に引っかかりやすいタイプでもあるので注意が必要です。
一方で、自己承認欲求が満たされていない人は、何かが起きるとすぐに自分にフォーカスし、「自分が正しい」と考える傾向にあります。
たとえば、異常事態が起きているなど、周りが大変な状況でも、自分は大丈夫だと思えてしまう。
そういう楽観的なバイアスがかかります。
また、すぐイライラする人もこのタイプです。
自分に対してのポジティブバイアスが強いため、他者が自分と違う考えだったり、自分の理解できないことをすると、すぐにイライラしてしまうのです。
キレる老人も同じ構造です。
ガンコ、わがままな人は「自分が正しい」というポジティブバイアスがかかってしまっているのです。
こちらのタイプも詐欺に引っかかりやすいという点では同じです。
実際に、銀行職員が多額の現金を下ろそうとする高齢者に声をかけても「自分の金をどうしようとあんたに関係ない!」と言われて防げないケースもあるそうです。
では、そうしたポジティブバイアスがかかる中で、詐欺にだまされないためにはどうしたらいいのでしょうか。
紙に「オレオレ詐欺に注意」と書いて、見えるところに貼っておくアドバイスもありますが、脳からすると、そういう張り紙は見ていません。
そこにあっても、目に入ってきません。
おすすめしたい方法が、「やっている姿の想像」です。
「高齢者がこれまでやったことがないことを実行するためには何が大事か」という研究があります。
その答えは「それをやっている姿を想像すること」でした。
具体的にはこういうことです。
頭の中で一度振り込め詐欺にあったときのことをイメージしてみるのです。
そして、ここがポイントなのですが、イメージしたときに、たとえば「振り込もうとしたときに、一回銀行に確認する」ようなことまで想像してもらうと、それだけでオレオレ詐欺に引っかかりにくくなるのです。
これを「リハーサル効果」と言っているのですが、一度でもリハーサルをすると、脳はそれを実行しようとする傾向にあるのです。
イメージすることは難しいことではないですよね。
でも効果は絶大。
イメージにはすごい力があります。
お金もかからずすぐできることなので、ぜひ「やっている姿の想像」をどんどん活用してください。
「80歳でも脳が老化しない人がやっていること より」
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心の病との関連で関心を集めているストレスホルモンが「コルチゾール」です。
コルチゾールは、副腎から分泌されると、血液にのって体内を循環しながら、エネルギー源の補充などの重要な役割を果たします。
役割を終えると脳にたどり着いて、脳に吸収されます。
これが、正常なストレス反応の流れです。
ところが、主に「我慢するストレス」状態が長い期間にわたって続き、ストレスが積み重なっていくと、コルチゾールがとめどなく分泌され続けるようになってしまいます。
こうなると、状況が一変します。
コルチゾールが脳にあふれて、その一部をむしばんでいくのです。
まさに、ストレス反応が暴走して、ありふれたストレスが「キラーストレス」と化してしまうのです。
副腎が疲れている人に圧倒的な足りない栄養素は、ビタミンB群になります。
ビタミンB群は、抗ストレスホルモンを合成するときに必要な栄養素です。
そのため、ストレスが多く抗ストレスホルモンを大量に必要とする人などは、体内のビタミンB群が不足しがちになります。
その結果、抗ストレスホルモンが十分につくれなくなり、副腎がますます疲れてしまうのです。
また、ビタミンB群は、体を動かすエネルギーをつくりだすためにも必要な栄養素。
私たちの体を構成している細胞には、ミトコンドリアというエネルギー生成工場があり、摂取した食べ物を燃焼させて、「ATP(アデノシン三リン酸)」というエネルギー物質をつくっています。
このATPをつくり出す過程で必要なのがビタミンB群です。
ビタミンB群が不足すると、ミトコンドリアでATPが十分につくれなくなる。
ATPが足りなくなると、体がだるくて疲れが取れなくなったり、頭の回転が悪くなってきたりします。
ビタミンB12について?