第8章 内向的な人がつながりをつくるにはどうしたらいいのか?
人とのコミュニケーションは脳にとってとてもプラスな行為ですが、「友だちはいらない」「人と話すのは苦痛」、友だち付き合いをすることがストレスになる人がいるのも事実です。
無理をして付き合いをすることはマイナスの作用しかありません。
そもそも人には、内面的才能と外面的才能とがあります。
外面的才能は、自分の外側に意識を向けることが好きな人が持っている才能です。
人とつながるのが好き、コミュニケーションすることが好き、そんな人が持っているのが外面的才能です。
内面的才能は、自分の内側に意識を向けることが好きな人が持っている才能です。
科学者、アーティスト、職人などに多く、何かを深く掘り下げていくことを得意といる能力です。
外面的才能が高い人のほうが、老人脳になりにくい要素を持っています。
つながりをつくっていくとか、アクティブに活動しているなどがそれにあたります。
内面的才能がある人は、無理やり「人とつながる」ことをしようとすると、逆に脳にストレスがかかり、マイナス効果になることもあります。
では、内面的才能が高い、いわゆる内向的な人はどうしたらいいのでしょうか。
実は、方法はいろいろあるので、内向的な人もご安心を!
脳科学では、いろいろ面白い研究成果が出ています。
具体的にはこういうことをすると「つながり」を感じることができるようになります。
・ペットを飼う
・好きなキャラクター、好きな有名人などのグッズを買う
・自然と触れ合う体験をする
・自分の車に名前をつける
・愛用品にも名前をつける
どうでしょうか、すぐにできることもあるのではないでしょうか。
「こんなことで人とのつながりと同じような感情を持つことができるはずがない」、そう思う人もいるかもしれませんが、想像してみてください。
たとえば、フィギュアを集めている人は、フィギュアを眺め、話しかけたりしているときとても幸せそうです。
愛犬に話しかけている人も、同じように幸せそうですね。
そうなんです。
脳は人でなくてもつながりを認識します。
理由は「脳の錯覚」です。
脳は、行動によって錯覚が起きます。
動物や物に対しても、人に対するときと同じように行動することで、脳は人のときと同じように理解するのです。
さらにもうひとつ。
脳は「物を人に見立てる」というバイアスがあります。
たとえば、スマホなどで使う顔文字はただ記号を並べているだけなのに人の顔に見えますね。
つまり、顔を見ている感覚になります。
ですから、つながりをつくりたいときは、物を人に見立てていくことも方法のひとつです。
物に名前をつけるのも、人に見立てる方法としておすすめです。
パソコンやスマホに顔のシールを貼って自分だけの名前をつけてみるなど、物に人格を持たせるイメージです。
行動によって脳が錯覚すると書きましたが、この錯覚を活用し、生活を楽しくする方法がほかにもいろいろあります。
たとえば、旅行に行きたいのになかなか行けないときは、テレビなどで旅行番組を見ながら、その地域の料理を食べると、脳は旅行に行った気になります。
テレビで料理番組を見ながら、コンビニで買ってきた弁当を食べる。
「テレビの料理と自分の食べている弁当のギャップで、脳にとってマイナスに作用しないの?」と疑問を持つかもしれませんが、脳はギャップよりも同化を選ぶのです。
一方で、オンライン飲み会のようなものは、脳の錯覚を生みにくいものです。
オンラインの向こうに側には実際の人間がいるので、主体が相手になってしまいます。
そうなると自分と同化しにくいのです。
むしろ、温泉宿の映像を見ながら日本酒を飲むというほうが脳は錯覚しやすいのです。
脳の錯覚をうまく使って、脳が喜ぶ工夫を生活の中に取り入れると、老人脳の予防になり、幸福度を上げることにもつながります。
※人は共通点が多いほど友だちになりやすい傾向があります。
同じ要素の中でも、特に「お金の価値観」は、友だちでいるうえで重要な要素です。
お金の損得のずれは、脳に大きなストレスを与えることも考えられます。
友人形成の研究によると、人は同じ要素や似た要素「ホモフィリー」があると惹かれ合い、友人になりやすいことがわかっています。
「類は友を呼ぶ」とはまさにこのことです。
英語ではこういうことわざもあります。
Birds of a feather flock together.(同じ羽の鳥は一緒に集まる)
本来は、相手が異性でも、子供でも学生でも社会人でも、同じ共通点があれば友だちになれるということを意味しています。
また、お互いに補い合える相手ほど長続きするということも研究でわかっています。
同じ要素も大切ですが、違う要素もあった方が長続きするということです。
「同じ要素(安定を満たす)+違う要素(刺激をくれる)」
ということになります。
「80歳でも脳が老化しない人がやっていること より」
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脳の中では、運動会のリレーのように、神経がバトンをつないで、指令を伝達していきます。
しかし、たとえばC地点の神経細胞が倒れてしまい、指令がそこで止まってしまう、という事態が起こります。
このとき、すぐにC地点の神経細胞を救出できれば復活したのですが、時間が経ち、死んでしまって、その指令も届かなくなる。
これが運動麻痺や言語障害の起こる理由です。
ところが、脳のすごいところは、C地点から今度はほかのルートでバトンを渡そうとするのです。
新たなルートで、新たなリレーのチームを作り、「言葉を話す」という指令を伝えようとします。
この新チームは、以前のチームのようにバトンの受け渡しがうまくなく、スムーズに指令が届きません。
しかし、何度も繰り返し練習するうちに、だんだんうまく指令が伝わるようになっていきます。
このようにして、死んでしまった神経細胞は復元しないけれど、ほかのルートで代用できれば、言葉がある程度話せるようになり、失語症もよくなっていくというわけです。
ニューロン同士が情報伝達を行うこと、つまり神経機能的連絡を行うためには、新経路の交差点ともいうべきものが必要であり、この交差点をシナプスと言います。
このシナプスは、歳をとっても増加し、より成熟した結合が進行するとされています。
高度の創造過程にも高密度のシナプス形成が必要と思われ、そのためにはそれに必要な素材として神経系構成成分つまり栄養成分が必要なことは当然で、また、その構築作業のための酵素、そしてそれを補佐する補酵素的ビタミンも必要となります。
その中でも重要なものがビタミンB12なのです。
脳科学の発達によって、さまざまなことがわかり、新たな試みがされています。
ビタミンB12について?