第9章 ストレスと認知症を遠ざける方法 「自分は重要な人」を実感できる場をつくる

第9章 ストレスと認知症を遠ざける方法

「自分は重要な人」を実感できる場をつくる

 

日本では認知症を発症する人が増えています。

認知症は、生活習慣やストレスなどの影響を大きく受けます。

ここでは特にストレスと認知症を遠ざける方法を紹介します。

 

 

ここで質問です。

あなたは自分も写っている集合写真を見るとき、最初に誰から見ますか?

 

 

 

自分を最初に見るんじゃないでしょうか(好きな人を最初に見てしまうこともあるかもしれませんが…)。

なぜ、自分を見てしまうのでしょうか?

その理由は「自己重要感」にあります。

 

 

自己肯定感という言葉はよく耳にすると思いますが、自己重要感は自己肯定感のひとつです。

 

 

自己肯定感 ありのままの自分を肯定的に、好意的に受け止める感覚。

自己重要感 自分は他者や社会にとって重要な存在であると思う感覚。

 

 

人は、自分のことを重要な存在であると思いたい欲求があります

たとえば、会社で管理職だった人が退職して、家族の中で居場所がなく、友人もいない。

誰からも頼りにされない存在になってしまうと、自己重要感を感じることがなかなかできなくなってしまうことがあります。

 

自己重要感を感じることができないことは、脳にはストレスです。

ストレスが脳にダメージを与え、最終的に認知症のリスクが高まります。

 

 

自己重要感は「他者から重要と思われていること」がベースになります。

ですから、人とのつながりが前提です。

働いているときや子どもが小さいときは、おのずと人とのつながりが生まれやすい環境にいますが、リタイアしたり、子供が成人してしまうと、そういった環境から遠ざかってしまうこともあります。

こうした場合、自らつながりをつくりに出て行かないといけなくなります。

 

 

重要な存在である自分を認識してほしいという感情が、キレる老人の原因になっていることもあります。

 

キレる老人は、間違った形で社会や他社とのつながりをつくってしまっている例です。

キレることで自分に注目してもらい、自己重要感を満たそうとしてしまっているのです。

 

 

ある温泉施設を利用していたときの話です。

その施設にはVIPルームというのかあり、そこへ連れて行ってもらったことがあるのですが、そこでこんな光景を目にしました。

 

一人の年配の男性がスタッフと話をしていました。

私のすぐ隣で話していたので、会話は筒抜けで、内容が聞こえてきました。

 

「俺は○社の役員をやっていた。その俺が見る限り、ここのサービスはなっていないし、君のサービスもダメだ。サービス業というものがどうあるべきか、君はわかっているのか。俺のいた会社ではこういうことは絶対にやらなかったし、君には常識がわかっているのか……」

 

延々と説教が続いていました。

隣で聞いていてもいい気分のしない話だったのですが、その元役員の人は周りを気にすることもなく、持論をスタッフに展開し続けます(「あなたが周りの不快感を生み出すことをしているのに、サービスとはみたいな話をしても説得力が全然ない!」と心の中でつぶやきました)。

 

まさに、自己重要感の間違った満たし方です。

結局その人は1時間近くスタッフをつかまえて、説教をしていました。

そこで感じたのは「この人はきっと寂しいのだろう」ということでした。

会社の後ろ盾や肩書がなくなり、周りから重要な存在として扱ってもらえなくなったのかもしれないと。

 

満たされる場が家庭にもなく、社会にもなくなってしまったとき、お客として大切に扱ってもらえるであろうお店や施設などで自己重要感を満たそうとするわけです。

「80歳でも脳が老化しない人がやっていること より」

 

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認知症の多くは、脳血管障害の積み重ねで起こり、その原因のほとんどが脳梗塞です。

ですから、脳梗塞の前兆である隠れ脳梗塞を早期発見することで多くの認知症を防ぐことができるのです。

 

脳梗塞は、高血圧や糖尿病などの病気が原因となったり、生活習慣などによって血液がドロドロになって血液循環が悪くなったりして、血管が厚く狭くなり、脳の血管が徐々に詰まって進行していきます。

一般的に、脳梗塞の初期には、大きさ数ミリ程度の微小な梗塞が数個出現し、段階をへるごとにこの梗塞が脳のあちこちに見られます。

このような症状のないごく小さな梗塞が隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)です。

「隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)は、早い人だと30代からあらわれ、40代を過ぎると急に増加するといわれています。

 

ビタミンB12や葉酸の吸収が悪くなると、ホモシステインという老化物質が増え、動脈硬化を生じることがわかっています。

ホモシステインはLDLと一緒になり血管壁にコレステロールを沈着させます。

また活性酸素と一緒になり、脂肪やLDLの過酸化、血管内皮細胞や血管の平滑筋の異常を引き起こします。

その結果、動脈硬化心筋梗塞脳梗塞になるのです。

脳梗塞をはじめとする脳血管障害を生活習慣病の一つととらえ、ふだんから健康に保つ生活を心がけましょう。

 

老人の認知症の3割~5割を占めるアルツハイマー病の場合は、脳細胞が萎縮する病気です。

この萎縮を食い止めるためには、脳細胞を生成するためのタンパク合成、核酸(DNA)合成が順調に行われる必要があるのです。

ビタミンB12は、脳細胞のタンパクと核酸(DNA)の生合成を司っています。

新しい核酸、タンパク質が生まれ、それによって細胞も新しく生まれ変わり、「こわれた組織、細胞」と「新生の組織、細胞」が入れ替わります。

その結果若さにもつながると考えられます。

アルツハイマー認知症の方々の脳脊髄中にはビタミンB12が少ないことが確認されています。

 

ビタミンB12について?

https://www.endokoro.com/