第5章 職業に対する決めつけを捨てる

第5章 職業に対する決めつけを捨てる

 

歳をとることで若い人に勝てるのは、経験の多さです。

 

そう言うと、「いや、自分は会社勤めしか経験してこなかったから」と思う人もるかもしれませんが、会社勤めを40年近くもやっていれば、ほかの人があまり知らないことをいろいろ知ることができます。

 

たとえば、営業をずっとやってきた人なら、昔と今の顧客が求めるものの違いとか、お金持ちには見えないのにじつはお金をもっている人の特徴などを、経験から知っているのではないでしょうか。

経理ひと筋というと地味な印象ですが、そういう人は意外な経費の使い方の事例など、いろいろ知っているでしょう。

 

以前、東京の都バス運転手の平均年収が約740万円で、退職直前には1000万円近くになるケースもあり、民間にくらべて高すぎるとして批判の的になったことがありました。

でも、定年まで40年ものあいだ、ほぼ事故も起こさず多くの人の命を預かってきた人が、年収1000万円をもらうことのどこが悪いのか、と思います。

 

この職業ならこれくらいの収入レベルという既成概念は、そろそろ取り払われるべきだと思っています。

 

たとえば、アメリカではチップの慣習があるため、飲食店で働く人がかなり高い収入を得ていることもめずらしくありません。

アメリカの大都市では、いまチップは18~20パーセント程度ですので、レストランに4人1組の客がやってきて、日本円で一人1万円ずつ計4万円分の食事をした場合、そのテーブルの給仕を担当するホールスタッフは7000~8000円のチップを丸ごと手にできます。

 

ソムリエの場合、一つのテーブルで10万円のワインが1本空けば、そのたびに2万円近いチップが得られます。

必然的にソムリエの収入レベルは高く、日常的に高いワインも飲んでいるので、いっそうワインに精通し、ソムリエとしてよりレベルの高い仕事ができるようになります。

 

どんな職業であれ、高いお金を払われている人のほうがいい仕事をするというのは、当然のことでもあります。

 

たとえば、ベビーシッターにしても、アメリカでは優秀なベビーシッターともなれば、日本円で数万円の時給を得ている人はザラだといいます。

 

日本でも、超富裕層といわれる人たちが、跳び抜けてスキルの高いベビーシッターや家事代行人を破格の時給で雇えば、安心して子供を預けて出かけられたり、完璧な掃除をしてもらえたりと、自分自身にとってもメリットが大きいはずです。

 

職種を問わず、その仕事を極める人は必ずいるものです。

たとえば、日本有数のベットメイキングの達人という人もいるでしょう。

それに見合う対価をその人たちが得られるようになれば、その職種全体のレベルもおのずと上がります。

 

清掃の仕事をしている人が、最高の清掃人になれば時給5万円もらえるかもしれないという夢をもてたら、世の中は変わると思います。

でも、日本の場合は、あらゆる職業において夢がないのが現実です。

お金持ちがお金を使うことで、多少は夢が生まれているといえる職業は、いまのところは料理人くらいでしょう。

 

家事代行のプロが時給5万円もらうようになったとしても、それは、その業界でトップクラスの人の時給が5万円になるというだけの話で、それ以外の人たちの時給が変わるわけではありません。

でも、その人たちに夢が生まれることは確かです。

 

スポーツでも、ある競技がプロ化して、選手はがんばれば年俸1億円得られるということになれば、その競技全体のレベルが上がります。

 

「この職業はこういうもの」「この職業の人はこういう人」と決めつけず、職業も人生もいろいろだと考えられる思考の幅をもつことが大事だと思います。

「老いの品格 品よく、賢く、おもしろく より」

 

*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+

 

脳の中では、運動会のリレーのように、神経がバトンをつないで、指令を伝達していきます。

しかし、たとえばC地点の神経細胞が倒れてしまい、指令がそこで止まってしまう、という事態が起こります。

このとき、すぐにC地点の神経細胞を救出できれば復活したのですが、時間が経ち、死んでしまって、その指令も届かなくなる。

これが運動麻痺や言語障害の起こる理由です。

 

ところが、脳のすごいところは、C地点から今度はほかのルートでバトンを渡そうとするのです。

新たなルートで、新たなリレーのチームを作り、「言葉を話す」という指令を伝えようとします。

この新チームは、以前のチームのようにバトンの受け渡しがうまくなく、スムーズに指令が届きません。

しかし、何度も繰り返し練習するうちに、だんだんうまく指令が伝わるようになっていきます。

このようにして、死んでしまった神経細胞は復元しないけれど、ほかのルートで代用できれば、言葉がある程度話せるようになり、失語症もよくなっていくというわけです。

 

ニューロン同士が情報伝達を行うこと、つまり神経機能的連絡を行うためには、新経路の交差点ともいうべきものが必要であり、この交差点をシナプスと言います。

このシナプスは、歳をとっても増加し、より成熟した結合が進行するとされています。

高度の創造過程にも高密度のシナプス形成が必要と思われ、そのためには、それに必要な素材として神経系構成成分、つまり栄養成分が必要なことは当然で、また、その構築作業のための酵素、そしてそれを補佐する補酵素的ビタミンも必要となります。

その中でも重要なものがビタミンB12なのです。

脳科学の発達によって、さまざまなことがわかり、新たな試みがされています。

 

ビタミンB12について?

https://www.endokoro.com/