なぜ、打たれ弱い人が増えたのか?
ストレスに強く打たれ強い人は、心の復元力が強い人です。
だから、仕事や人間関係でトラブルに見舞われても、「今はうまくいかないが、そのうちなんとかなるだろう」「確かに失敗はしてしまったが、これをいい糧としよう」と考えることができるのです。
でも、心の復元力を持ち合わせていないと、ストレスを受けたとたんに、すぐにへこたれてしまいます。
上司に文句をいわれたり、家族や友人との仲がうまくいかなかったりすると、とたんに落ち込んでしまうのがこのタイプの人です。
では、復元力の強い心を持つ人とは、具体的にどのような人でしょう。
中国や東南アジア諸国を旅行したことがある方は、現地でこんな人々をよく見かけたのではないでしょうか。
市場で丁々発止、値切り交渉を繰り広げる客と店主、あるいはバスや列車が20分や30分遅れようと動じることもなく悠然としている乗客――こうした人々を目にするたびに、「たくましいなあ」と感心してしまいます。
かつては、日本にもこうした「たくましい人」がたくさんいました。
私の父や母の世代は、戦時中、物資の不足や空襲の恐怖のなかで、明日をもしれない状態で生き抜いてきました。
戦後になると、軍国主義から民主主義へと価値観が大転換するとともに、食糧不足のなかで生きるか死ぬかの苦しい生活を送ってきたのです。
そうした体験によって受けた衝撃は、現代社会のストレスの比ではありません。
それでも、人々は希望をもって懸命に働き、日本を復興させてきたわけです。
この世代の人たちには、本当の意味での「たくましさ」があったに違いありません。
いわば「ストレスに負けない心」を持っていたのです。
それに比べて現代の日本はどうでしょうか。
日々の生活は比べものにならないほど便利になりました。
さらに、インターネットの発達によって、家に居ながらにして世界中の情報が瞬時に入ってきます。
ところが、そうした便利さと引き換えに、グローバル化による競争激化によって仕事における精神的緊張は増すばかり。
家にパソコンを持ち帰って、まさに1日24時間労働をしているような状態になってしまいました。
実は、長年の脳科学の研究によって、そうしたストレスだらけの社会環境の変化が、「たくましさ」や「心の復元力」を失わせたことがわかってきたのです。
かといって、現代の社会環境を昔のような状態に戻すことはできません。
それならば、私たち自身の精神の状態をもう一度見つめ直して、ストレスに負けない心を養うのが最善の方法です。
ストレスによって失われた「心の復元力」を鍛え直す方法は、おいおい紹介していくことにしましょう。
その方法を身につけることで、ストレス社会を生き抜く武器を手に入れることができるのです。
「脳科学者が教える「ストレスフリー」な脳の習慣 より」
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心の病との関連で関心を集めているストレスホルモンが「コルチゾール」です。
コルチゾールは、副腎から分泌されると、血液にのって体内を循環しながら、エネルギー源の補充などの重要な役割を果たします。
役割を終えると脳にたどり着いて、脳に吸収されます。
これが、正常なストレス反応の流れです。
ところが、主に「我慢するストレス」状態が長い期間にわたって続き、ストレスが積み重なっていくと、コルチゾールがとめどなく分泌され続けるようになってしまいます。
こうなると、状況が一変します。
コルチゾールが脳にあふれて、その一部をむしばんでいくのです。
まさに、ストレス反応が暴走して、ありふれたストレスが「キラーストレス」と化してしまうのです。
副腎が疲れている人に圧倒的な足りない栄養素は、ビタミンB群になります。
ビタミンB群は、抗ストレスホルモンを合成するときに必要な栄養素です。
そのため、ストレスが多く抗ストレスホルモンを大量に必要とする人などは、体内のビタミンB群が不足しがちになります。
その結果、抗ストレスホルモンが十分につくれなくなり、副腎がますます疲れてしまうのです。
また、ビタミンB群は、体を動かすエネルギーをつくりだすためにも必要な栄養素。
私たちの体を構成している細胞には、ミトコンドリアというエネルギー生成工場があり、摂取した食べ物を燃焼させて、「ATP(アデノシン三リン酸)」というエネルギー物質をつくっています。
このATPをつくり出す過程で必要なのがビタミンB群です。
ビタミンB群が不足すると、ミトコンドリアでATPが十分につくれなくなる。
ATPが足りなくなると、体がだるくて疲れが取れなくなったり、頭の回転が悪くなってきたりします。
ビタミンB12について?