セロトニンを減らす2つの原因
セロトニンがそれほど大切な物質なら、たっぷりつくって脳内にためておけばいいのではないかと思うかもしれません。
しかし、残念ながらそうはいかないのです。
脳内のセロトニンの量は、日々減っていくという性質を持っているからです。
1日単位で見ても、夕方になれば朝よりも減ってしまいます。
セロトニンを減らす原因は2つあります。
1つは、セロトニンには一定量以上つくりおきができないという性質があるためです。
セロトニン神経の軸索は何本にも枝分かれして、複数の神経細胞に接続しているのですが、そのなかの1本がぐるりと自分自身の細胞に戻っています。
これは「自己受容体」と呼ばれており、セロトニンの量を調節する働きをしています。
ここで自分が出しているセロトニンの量をチェックして、多すぎればもとに戻すということをしているため、セロトニンを長期間ためておくことはできないのです。
もう1つの理由は、ストレスによってセロトニンが減っていくためです。
セロトニン神経が情報を伝える際、神経細胞から相手の神経細胞のセロトニン受容体へ向けて、神経伝達物質であるセロトニンを放出します。
ところが、私たちが肉体的、精神的ストレスを受けると、脳内の視床下部のストレス中枢に刺激が与えられて、結果的にセロトニン神経のインパルスの頻度が減ってしまいます。
そのために、放出されるセロトニンの量も減ってしまうわけです。
ここで問題なのは、私たちの生きている現代社会には、ストレスのない場所というのは、どこにも存在しないという事実です。
人間関係のストレス、仕事上のストレス、パソコン作業によるストレスなど、まさに世の中はストレスだけです。
努力してセロトニンを増やすようにしない限り、どんどんセロトニン神経は弱っていき、「ストレスフリー」な心の復元力をつくるための重しはすぐに軽くなってしまいます。
それを解決する方法はただ1つ、日々セロトニン神経を鍛えるしかありません。
「脳科学者が教える「ストレスフリー」な脳の習慣 より」
*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+
最近、電車の中でキレる人を見かけます。
少し前までは、電車の中で暴れるのは酔っぱらいか、普段から暴力的な人と相場が決まっていました。
でも、最近は違ってきています。
しかも、普段はおとなしく、礼儀正しい人なのに、ついカッとしてキレてしまったという人がとても多いのです。
受けたストレスをコントロールすることができず、感情を爆発させ、普段では決してしないような行動をとってしまう、これがいわゆる「キレる」という状態です。
この「キレる」という行為、原因を簡単に言うと、「ストレス」です。
これはまさに「セロトニン神経」の機能低下が原因だと考えています。
セロトニンは脳に静かな覚醒をもたらします。
これは別の言い方をすれば「平常心」をもたらすということでもあります。
平常心を保つというのは、脳の切り換えがスムーズに行われ、どこも暴走も興奮もしていない状態のまま、スムーズに働いているということです。
セロトニン神経の機能が低下すると、感情や精神状態を普段の冷静な状態にキープすることが難しくなることは充分に推測できます。
そしてこのことは、キレる人が朝の満員電車よりも、夜の帰宅時に多いということからも証明されます。
イライラしやすいときは、脳の神経伝達物質であるセロトニン、アセチルコリン、ドーパミンなどが不足していることが考えられます。
そのため、これらの材料となるアミノ酸と、アミノ酸を取り込むために必要な糖分やビタミンB12の不足を疑ってみましょう。
脳を酷使するときには、たくさんのビタミンB群が消費されています。
B群は脳の働きに重要な役割を担っているのです。
神経の働きを整えたり、傷んだ神経を補修したり、タンパク質をドーパミンやセロトニンといった神経伝達物質に作り替えるなど、「脳力向上」のためにもB群は欠かすことができないのです。
ビタミンB12について?