「意識的な呼吸」がセロトニン神経を鍛える
呼吸――実は、これも大切なリズム運動の1つです。
「呼吸なんて、いつもやっているじゃないか」と思われるかもしれませんが、いつもの呼吸とはちょっと違うのです。
呼吸には、生きていくために不可欠な無意識の呼吸と、腹筋を使って意識的におこなう呼吸とがあります。
前者は、生きている限り誰でもやっているものです。
しかし、セロトニン神経を活性化するための呼吸は、後者のほう。
つまり、意識的に呼吸するやり方で、一般に呼吸法と呼ばれています。
これは多少のテクニックが必要ですから、あまり無理をしないようにして試してみてください。
呼吸法は、腹筋を使うというところがポイントです。
腹筋の収縮と弛緩をゆったりと、しかしリズミカルに繰り返すために、やはりこれもリズム運動の一種なのです。
無意識の呼吸は、大人で1分間に12~20回ほどですが、呼吸法の場合はそれよりもかなり回数が少なくなります。
呼吸法では、息を吐くことに重点を置きます。
まず、腹筋を使って、ゆっくり肺のなかの空気を最後まで吐き出します。
「もうこれで全部」と思ってからも、もう少し吐き出すことができるはずです。
次に、その反動を利用して息を吸いましょう。
慣れない人は吸うばかりに集中しがちですが、そうではありません。
しっかり息を吐くことができれば、吸うのは自然にできるのです。
この呼吸法は、お釈迦様が2500年前におこなったものであり、お坊さんの修行法として主に仏教の世界で伝えられてきました。
呼吸法という言葉は、座禅、読経、武道、ヨガ、太極拳、気功、声楽、管楽器演奏など、さまざまな分野で使われていますが、実はどれも腹筋を使って深い呼吸をするという点で、根本的には同じことなのです。
逆にいえば、そうした修行や健康法を実践している人は、セロトニン神経が鍛えられている人といってよいでしょう。
ただ、いくら健康法とはいえ、慣れていない人がいきなり30分も続けるのは無理があります。
腹筋が痛くなったり、下手をすると過呼吸の症状が表れる場合があります。
最初のうちは無理をしないで、5分からはじめてください。
そして、自分が気持ちいいと感じる範囲でやめるようにしましょう。
1分間の呼吸の回数は3~4回といったところですが、あまり厳密に考えることはありません。
無理にその回数にしようとするとまたストレスになってしまうからです。
また、最初はなかなか徹底的に吐くことができないかもしれませんが、徐々に慣れていけばいいのです。
そうしたゆるい気分でのんびり楽しくやることが、セロトニン神経にとって何よりも大切なのです。
「脳科学者が教える「ストレスフリー」な脳の習慣 より」
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最近、電車の中でキレる人を見かけます。
少し前までは、電車の中で暴れるのは酔っぱらいか、普段から暴力的な人と相場が決まっていました。
でも、最近は違ってきています。
しかも、普段はおとなしく、礼儀正しい人なのに、ついカッとしてキレてしまったという人がとても多いのです。
受けたストレスをコントロールすることができず、感情を爆発させ、普段では決してしないような行動をとってしまう、これがいわゆる「キレる」という状態です。
この「キレる」という行為、原因を簡単に言うと、「ストレス」です。
これはまさに「セロトニン神経」の機能低下が原因だと考えています。
セロトニンは脳に静かな覚醒をもたらします。
これは別の言い方をすれば「平常心」をもたらすということでもあります。
平常心を保つというのは、脳の切り換えがスムーズに行われ、どこも暴走も興奮もしていない状態のまま、スムーズに働いているということです。
セロトニン神経の機能が低下すると、感情や精神状態を普段の冷静な状態にキープすることが難しくなることは充分に推測できます。
そしてこのことは、キレる人が朝の満員電車よりも、夜の帰宅時に多いということからも証明されます。
イライラしやすいときは、脳の神経伝達物質であるセロトニン、アセチルコリン、ドーパミンなどが不足していることが考えられます。
そのため、これらの材料となるアミノ酸と、アミノ酸を取り込むために必要な糖分やビタミンB12の不足を疑ってみましょう。
脳を酷使するときには、たくさんのビタミンB群が消費されています。
B群は脳の働きに重要な役割を担っているのです。
神経の働きを整えたり、傷んだ神経を補修したり、タンパク質をドーパミンやセロトニンといった神経伝達物質に作り替えるなど、「脳力向上」のためにもB群は欠かすことができないのです。
ビタミンB12について?