睡眠の質も、たんぱく質が担っている
心身の健康のために欠かせない睡眠の質も、たんぱく質と大いに関係があります。
寝ている間、脳内では日中の膨大なデータが整理され、体内では身体のメンテナンスが行われています。
大事なリカバリーの時間なのですから、眠れないと体調が優れなくなるのは当然ですね。
ぐっすり眠れると、気持ちまでも上向きになります。
睡眠の質を良くするとうたった乳酸飲料が売れるなど、睡眠にますます注目が集まっているようですが、睡眠の質を改善するために本当に大切なことは意外と知られていないようです。
「眠りが浅いのはストレスのせい」「眠れなくなったのは歳のせい」などと思い込んでいる方が少なくなくないのですが、実際には、眠れない原因はストレスや加齢だけではなく、たんぱく質不足が関係している可能性が大いにあるのです。
理由を説明していきましょう。
眠りを司るホルモンであるメラトニンは、セロトニンから作られます。
まず、たんぱく質、ビタミンB群、鉄を主な原料にセロトニンが作られ、セロトニンとマグネシウムを原料にメラトニンが作られます。
そして、私たちは朝日を浴びてから14~16時間後に脳内でメラトニンが分泌されることで、眠くなります。
メラトニンの生成や分泌が低下すると、夜なかなか寝つけないだけでなく、夜中に目が覚めてしまったり、眠りが浅くなるなど、睡眠の質が低下してしまいます。
ですから、私たちがしっかり眠れるかどうかは、メラトニンの主要な原料であるたんぱく質が摂れているかが、重要なカギとなってくるのです。
最近、“眠りの質を改善する!”といったうたい文句で、「グリシン」を含むサプリメントがたくさん売られています。
グリシンはたんぱく質を構成するアミノ酸のひとつですので、食事からたんぱく質がしっかり摂れていれば、当然、グリシンも摂れていることになります。
また、アミノ酸には、体内で作ることができないため食事から摂る必要がある「必須アミノ酸」と、体内で作ることができる「非必須アミノ酸」の2種類があるのですが、グリシンは非必須アミノ酸です。
もう少し詳しく説明すると、食事から摂ったグルタミン酸からセリンが合成され、セリンからグリシンやシステインが合成されます(グルタミン酸もセリンもシステインもアミノ酸です)。
要するに、グリシンはあえて口から摂る必要はないのです。
人間の身体はうまくできていて、グリシンが必要なときは、必要な量がその人の体内で合成されます。
ですから私は、肉や魚などのたんぱく質で、アミノ酸をしっかり補給することをおすすめします。
なお、あまりにも眠れなくなっている人は、医師に相談の上、睡眠のための薬を服用することをおすすめします。
身体が楽になってきたら、ご自身の食事のたんぱく質を意識してみてください。
最近は「睡眠負債」という言葉も聞くようになりました。
「睡眠負債」とは、慢性的に睡眠不足の状態が続き、その負債が蓄積されて心身へ支障をきたしている状態のことです。
こうなってからでは、どうしてもリカバリーに時間がかかってしまいます。
睡眠負債をため込んでしまわないように、毎日の食事でしっかりたんぱく質を摂りましょう。
「9割が間違っている「たんぱく質」の摂り方 より」
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各栄養素にはそれぞれ役割があり、互いに作用し合って初めて「栄養」として働きます。
多種類の栄養素が機能を発揮し、効率よく利用されるしくみがヒトの体には整っています。
たとえば、糖質がエネルギーに変わるにはビタミンB群などが必要で、ビタミンB群が活性化するには各種のアミノ酸やミネラルが必要、…というように、栄養素を利用するにはほかの栄養素の働きが不可欠です。
よく、ヒトは1人では生きられないといいますが、栄養素もひとつだけでは機能しません。
ビタミンB群とは、体に入った栄養成分をエネルギーに変えるときに不可欠なビタミンの仲間です。
B1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチンの8種類を総称して「ビタミンB群」と呼んでいます。
8種類すべてが互いに協力しあって体のエネルギーを生み出す働きに関わっているため、一緒にバランスよく摂ることがとても重要なのです。
また、B群は、体内で起こっている「酸化」の抑制にも間接的に関わっています。
B群は体中の細胞の正常な代謝活動を助ける「補酵素」として、欠かせない存在なのです。
ビタミンB12と葉酸、ビタミンB6の吸収が悪くなると動脈硬化の原因物質 (ホモシステイン・活性酸素)が増えるといわれています。
ビタミンB12は水溶性と脂溶性という特徴を併せ持つため体の隅々にまでいきわたりさまざまな働きをします。
細胞の生成にとって重要な核酸(DNA)・たんぱく質の合成や末梢神経(手足)、 中枢神経(頭)、認知機能に関わりがあるため、健康維持に無くてはならない栄養素なのです。
細胞が入れ替わることにより若さにもつながると考えられます。
ビタミンB12とは?