スイーツ好きは“メイン回路”を回せない
たんぱく質の摂取が少なく、糖質ばかり摂っていると、じつはエネルギー不足にも陥りやすくなります。
私たちは食事で栄養を摂り、それをエネルギーとして生きているわけですが、どこでどのようにエネルギー生産が行われているかまでは、あまりご存じないのではないでしょうか。
ここで、私たちの体内でエネルギーを生み出しているTCA回路について、解説しておきたいと思います。
私たちの身体は37兆個の細胞でできていて、ひとつひとつの細胞の中にミトコンドリアがあります。
ミトコンドリアの数は細胞により違いますが、ひとつの細胞の中に数百から数千個存在しています。
エネルギーを生み出すTCA回路は、このミトコンドリアの中にあります。
ですから非常にたくさんのTCA回路が私たちの身体の中に存在していることになります。
TCA回路がある私たちの代謝経路は、大小3つの水車をイメージしていただくとわかりやすいかと思います。
最初に小さなサブ回路があり、次に一番大きなメイン回路、最後にもうひとつ回路があります。
ここでは説明を簡単にするために、最後の回路についてはメイン回路に含ませてください。
メイン回路は大きい水車で、糖質(グルコース)を材料とした場合、32個のエネルギーを取り出すことができます。
サブ回路はずっと小さくて、1周しても2個のエネルギーしか取り出せません。
サブ回路はエネルギー生成量が少なくて、すぐに枯渇するので、ここだけに頼ることはなるべく避けたいのですが、何かしら問題があってメイン回路がうまく回らなくなると、ここに頼らざるを得ません。
サブ回路は瞬発力があるため、いざというときには力を発揮するのですが、本来は、メイン回路がしっかり回ることで、私たちはエネルギーに満ちた元気な状態を維持できていることになります。
では、どんなときにメイン回路が回りにくくなるのでしょう。
メイン回路を回すためには、脂質、糖質、たんぱく質、ビタミンB群、亜鉛、マグネシウム、鉄などが必要です。
ですから、小腸の粘膜の状態が悪くなり栄養素の取り込みが低下すると、メイン回路が回りにくくなります。
あるいは、糖質ばかり食べている場合も、回りにくくなります。
そんなときに代わりに回りだすのがサブ回路で、こちらは「解糖系」という名前がついています。
その名の通り、サブ回路は糖質によって回るのです。
メイン回路がいろいろな栄養素がないと回せないのに比べ、サブ回路は砂糖をひと口舐めただけでも回せます。
そのため、サブ回路が回りはじめると、身体は燃料である糖質を摂ろうとして、私たちはスイーツや糖質に手が伸びてしまうのです。
その結果、どんどんサブ回路に依存する「解糖系依存」という状態に陥っていきます。
糖質の代謝にはビタミンB群が消費されるので、ますますたんぱく質やビタミンB群などの栄養素が不足してしまいます。
解凍系回路に依存しているということは、効率的にエネルギーを生産できなくなっている状態ですから、ひと言で言えば「元気がなくなる」わけです。
サブ回路のみを回すのは、あくまでも緊急時や瞬発力が必要な場面だけにするのが望ましいのです。
また、血糖値の急激な変動は自律神経にもかなり影響を及ぼします。
甘い物が好きな人は、解糖系依存になりやすく、感情の起伏も激しくなってしまうのです。
そういう人は、甘い物を食べると「ほっ」と落ち着くことが多いため、これがまた依存につながります。
しかし、「ほっ」とするのはほんの一瞬にすぎません。
イライラが最近増えた、甘い物を食べるとほっとするなどの自覚のある人は、糖質の量を見直すことをおすすめします。
特にジュースや糖質たっぷりのフラッペなどの甘い飲み物は、さらに血糖値の乱高下を招きやすく、もはやメンタルの健康にとって凶器だと言っても過言ではありません。
こうした飲み物をいつも飲んでいるという人は、今すぐにでも見直したほうがよいでしょう。
「9割が間違っている「たんぱく質」の摂り方 より」
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心の病との関連で関心を集めているストレスホルモンが「コルチゾール」です。
コルチゾールは、副腎から分泌されると、血液にのって体内を循環しながら、エネルギー源の補充などの重要な役割を果たします。
役割を終えると脳にたどり着いて、脳に吸収されます。
これが、正常なストレス反応の流れです。
ところが、主に「我慢するストレス」状態が長い期間にわたって続き、ストレスが積み重なっていくと、コルチゾールがとめどなく分泌され続けるようになってしまいます。
こうなると、状況が一変します。
コルチゾールが脳にあふれて、その一部をむしばんでいくのです。
まさに、ストレス反応が暴走して、ありふれたストレスが「キラーストレス」と化してしまうのです。
副腎が疲れている人に圧倒的な足りない栄養素は、ビタミンB群になります。
ビタミンB群は、抗ストレスホルモンを合成するときに必要な栄養素です。
そのため、ストレスが多く抗ストレスホルモンを大量に必要とする人などは、体内のビタミンB群が不足しがちになります。
その結果、抗ストレスホルモンが十分につくれなくなり、副腎がますます疲れてしまうのです。
また、ビタミンB群は、体を動かすエネルギーをつくりだすためにも必要な栄養素。
私たちの体を構成している細胞には、ミトコンドリアというエネルギー生成工場があり、摂取した食べ物を燃焼させて、「ATP(アデノシン三リン酸)」というエネルギー物質をつくっています。
このATPをつくり出す過程で必要なのがビタミンB群です。
ビタミンB群が不足すると、ミトコンドリアでATPが十分につくれなくなる。
ATPが足りなくなると、体がだるくて疲れが取れなくなったり、頭の回転が悪くなってきたりします。
ビタミンB12とは?