たんぱく質に本来の働きをしてもらうためにアブラを摂ろう
「たんぱく質のために肉を食べてください」とお伝えすると、「肉のアブラは身体に悪いのでは?」とおっしゃる方が必ずいらっしゃいます。
でも、肉のアブラは決して身体に悪くないですし、食事から摂ったたんぱく質に本来の働きをしてもらうためにも、脂質もしっかりと摂る必要があります。
そこで、なぜ脂質がこれほど誤解されているのか説き明かしながら、脂質の本当の働きと、摂り方のポイントを紹介していきたいと思います。
私たちの身体に欠かせないたんぱく質ですが、体内でしっかり働いてもらうためには、ほかの栄養素も一緒に摂る必要があります。
そのひとつが、脂質です。
理由としてはTCA回路との関係があります。
私たちの体内では、TCA回路を含む代謝回路をしっかり回すことで、内臓や筋肉などを動かすためのエネルギーであるアデノシン三リン酸(ATP)を作り出しています。
これをATP産生といいます。
ATP産生には、脂質、糖質、たんぱく質、ビタミンB群、亜鉛、マグネシウム、鉄などが必要ですが、中でももっとも効率のよい原料が脂質です。
たんぱく質も使われますが、糖質や脂質と比較すると効率が良いとはいえません。
たんぱく質は、筋肉やホルモン、消化酵素などを作るために、それらに優先して使われるからです。
ところがATP産生において脂質が十分ないと、たんぱく質も使われてしまいます。
そして、身体の材料として使われるはずだった分が減ってしまうのです。
以前働いていた職場のトレーナーさんに、筋肉をつけるために鶏のむね肉とブロックリーしか食べない人がいました。
脂質は太るから全く摂らないと言っていたのです。
しかしこの食事だとむね肉のたんぱく質はTCA回路を回すのに動員されてしまうため、筋肉やホルモンなどになる分が減ってしまいます。
たんぱく質に本来の働きをしてもらい、筋肉をつけるためには脂質もしかり摂る必要があるということを、皆さんに理解していただきたいと思います。
また、ビタミンD、ビタミンA、ビタミンK、ビタミンEなどの脂溶性ビタミンは、脂質を一緒に摂ることで身体に吸収されやすくなります。
ビタミンは私たちの体内でさまざまな働きをしており、特にビタミンAとビタミンDは、腸粘膜を強く健やかに保つために必要です。
ビタミンKは骨を作るために、ビタミンEは身体の酸化を抑制するために働き、動脈硬化の予防に欠かせません。
しかも、これらの働きが悪くなると、たんぱく質を吸収する能力も落ち、たんぱく質を原料とする消化酵素も胆汁酸も十分に作られなくなって、たんぱく質はますます吸収しづらくなってしまいます。
ですから、たんぱく質に本来の働きをしてもらうためにも、脂質はしっかり摂ることが非常に大切なのです。
「9割が間違っている「たんぱく質」の摂り方 より」
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心の病との関連で関心を集めているストレスホルモンが「コルチゾール」です。
コルチゾールは、副腎から分泌されると、血液にのって体内を循環しながら、エネルギー源の補充などの重要な役割を果たします。
役割を終えると脳にたどり着いて、脳に吸収されます。
これが、正常なストレス反応の流れです。
ところが、主に「我慢するストレス」状態が長い期間にわたって続き、ストレスが積み重なっていくと、コルチゾールがとめどなく分泌され続けるようになってしまいます。
こうなると、状況が一変します。
コルチゾールが脳にあふれて、その一部をむしばんでいくのです。
まさに、ストレス反応が暴走して、ありふれたストレスが「キラーストレス」と化してしまうのです。
副腎が疲れている人に圧倒的な足りない栄養素は、ビタミンB群になります。
ビタミンB群は、抗ストレスホルモンを合成するときに必要な栄養素です。
そのため、ストレスが多く抗ストレスホルモンを大量に必要とする人などは、体内のビタミンB群が不足しがちになります。
その結果、抗ストレスホルモンが十分につくれなくなり、副腎がますます疲れてしまうのです。
また、ビタミンB群は、体を動かすエネルギーをつくりだすためにも必要な栄養素。
私たちの体を構成している細胞には、ミトコンドリアというエネルギー生成工場があり、摂取した食べ物を燃焼させて、「ATP(アデノシン三リン酸)」というエネルギー物質をつくっています。
このATPをつくり出す過程で必要なのがビタミンB群です。
ビタミンB群が不足すると、ミトコンドリアでATPが十分につくれなくなる。
ATPが足りなくなると、体がだるくて疲れが取れなくなったり、頭の回転が悪くなってきたりします。
ビタミンB12とは?