ストレスは脳細胞を破壊する

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ストレスは脳細胞を破壊する
 
ベトナム戦争の帰還兵の後遺症は、米国でも話題になりました。
 
彼らは、帰国して日常の生活に戻ったあとで、いろいろな後遺症に悩まされているのです。
自動車の排気音を聞くと、「戦車に襲われる」と叫んで、机の下に隠れる人がいるかと思えば、夜、雷が鳴ると、身の回りにあるものを手当たり次第に窓に向って投げつけて、ガラスをめちゃくちゃに壊す人もいました。
あるいは、ちょっとした人間関係の苦労に耐えられずに、引きこもりになってしまう人など、症状はいろいろです。
 
そこで、米国のエール大学の精神科のブレムナー教授は、三次元MRI(磁気共鳴)を使って、彼らの脳を調べることにしました。
この機械を使うと、脳のいろいろな部分の大きさが、外側から計測できるのです。
 
その結果、これらの帰還兵はみな「海馬」という記憶の入口の部分が小さくなっていることがわかったのです。
海馬が障害されると、新しいことが覚えられません。
記憶の入口と呼ばれるゆえんはここにあります。
一方、思い出など昔の記憶は、別のところに蓄えられているから忘れないでいるのです。
 
さて、検査の結果、ベトナムの帰還兵の中でも、部隊の前線にいた期間が長いほど、海馬の萎縮が激しかったことがわかりました。
そして海馬の萎縮が著しい人において、いわゆる「トラウマ後ストレス障害(PTSD)」が現われていることがわかったのです。
 
そしてこれらの症状の原因は、ストレスの際のコルチゾルにあることがわかってきました。
私たちがストレスを感じると、視床下部からCRHという放出ホルモンがだされます。
するとこのCRHは、下垂体に作用して、副腎皮質を刺激するホルモン(ACTH)をださせます。
このACTHが副腎皮質に作用してコルチゾルをださせるのです。
 
ところが、コルチゾルが多くでると、今度はこれが視床下部や下垂体に作用して、CRHACTHを出さないようにさせます。
いわゆるフィードバックですが、これによってコルチゾルが出過ぎないような仕組みになっているのです。
 
しかし、トラウマを経験した人や、子どもの時に虐待を受けた人、ウツ病の素質のある人などは、このフィードバックの仕組みが働きにくくなることがわかりました。
 
脳細胞には、コルチゾルと結合する受容体があります。
しかし、コルチゾルが非常に多くなり、脳細胞にあるほとんどすべての受容体と結合すると、脳細胞は死滅することが知られています。
とくに海馬の細胞が死滅します。
 
海馬の細胞は、視床下部の機能を調節しているのです。
ところが、これが多量のコルチゾルで傷害されると、視床下部からCRHの分泌をコントロールすることができなくなります。
こうなると、コルツゾルが出っぱなしになります。
これがさらに、脳のいろいろな場所、ときに前頭葉の細胞を傷害するようになります。
 
私たちの感情は、海馬の前方にある扁桃というところが支配しています。
扁桃のある部分が刺激されると、怒ったり、恐れたりするようになります。
しかし同じく扁桃の別のところを刺激すると、ここは喜びの感情をもちます。
 
しかし、一般には、私たちのこのような感情は、大脳の前頭葉でコントロールされているのです。
急に感情か爆発したりしないようになっているのは、このためです。
ところが、前頭葉の細胞が傷害され、前頭葉が萎縮していると、自分の感情をコントロールできなくなります。
 
そうなると、トラウマのいろいろな恐怖と怒りの症状を表すようになるのです。
このように、前頭葉の細胞が傷害されることは、非常に好ましくないことなのです。
「病気にならない血液と脳をつくる より」
 
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脳の萎縮を防止するには、脳細胞の蛋白合成、核酸合成が順調に行われることが好ましいのです。
ビタミンB12は、蛋白合成、核酸合成の両方に役立っていることがわかっています。
 
さらに興味深いことは、当時、精神神経学会会長であった、京大・医学部・老年科の亀山正邦教授によると、健康な老人の脳に比較して、老人性認知症患者の脳に含まれるビタミンB12が、半分どころか、1/41/6程度にまで、低下しているということが明らかにされていることです。
 
これはビタミンB12が不足すると老人性認知症になるか、または逆に老人性認知症になるとビタミンB12含有量が低下するのか、その因果関係は不明ですが、精神神経学的な機能とビタミンB12との間の密接な関係が示唆されております。
 
<ビタミンB12の働き>
・新しい細胞を作り、壊れた細胞を修復する働き。
・神経の壊れた部分を修復する働き。
・伝達物質を作る働き。
・免疫を正常にする働き。
・脳の詰まったところをかき出す働き。
・血流をよくする働き。
このような様々なはたらきがあります。
また、ビタミンB12は大量かつ配合によって効果的に働きます。
 
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