トラウマが海馬を破壊する

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トラウマが海馬を破壊する
 
戦闘、幼児虐待、交通事故といった深刻なトラウマ(心的外傷)を経験した人の15パーセントが、PTSD(心的外傷後ストレス障害)になるとされています。
PTSDが発症すると、うつ、焦燥感、罪の意識、恐怖、悪夢、性格変化などの症状があらわれることが知られています。
 
強烈なストレスを浴びたPTSD患者の海馬は、大量のコルチゾールによってどれほどのダメージを受けたのでしょう。
脳を画像解析すると、PTSD患者の海馬は、健常者よりも小さいことが判明しています。
 
ハーバード大学医学部のタマラ・ガービツ教授は、ベトナム戦争に従軍しPTSDに苦しんだ兵士の脳は、従軍したがPTSDにならなかった兵士に比べ、海馬の体積が26パーセント減少していたことを報告しています。
 
モリー大学のダグラス・ブレムナー教授は、ベトナム戦争に従軍した兵士の海馬が、8パーセント縮小していたことを報告しました。
しかも、すべての兵士において従軍期間が長いほど、海馬の体積が減少していたことから、従軍による強烈なストレスが海馬のダメージを引き起こした原因であることが判明しました。
 
また、同教授は、子供のころに虐待を受けた経験のあるPTSD患者の成人脳を調べ、左の海馬の体積が12パーセント減少していたことを明らかにしました。
 
こうしてクッシング症候群、従軍や虐待によるPTSD、うつによってコルチゾールが大量に、しかも慢性的に放出されるとき、ヒトの海馬がダメージを受けて縮小することが明らかになりました。
「病気にならない脳の習慣 心と免疫力のしくみ より」
 
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脳には無数の神経細胞があり、その神経細胞の末端からセロトニンアセチルコリンドーパミンなどの神経伝達物質を放出しています。
それらによって次の細胞に情報を伝えていき、それが網の目のようにいっせいに行われることで、情報が瞬時に伝わり、手や足などの末端まで伝達されていきます。
しかし、その伝達情報がうまくいかないと、脳が興奮して抑制が効かなくなり、イライラしたり、落ち着かなくなったりします。

イライラしやすいときは、脳の神経伝達物質であるセロトニンアセチルコリンドーパミンなどが不足していることが考えられます。
そのため、これらの材料となるアミノ酸と、アミノ酸を取り込むために必要な糖分やビタミンB12の不足を疑ってみましょう。
また、脳の唯一のエネルギー源であるブドウ糖が足りなかったり、神経伝達物質を放出するときに働くカルシウムが不足したりしているのも原因のひとつと考えられます。

それらの成分が不足する背景には、朝食を抜くといった欠食や、栄養のバランスの悪さなどが考えられます。
忙しいからと食事をぬいていないか、好きなものばかり食べて偏食をしていないかなど、自分の日頃の食生活をふり返り、食事リズムと栄養バランスを改善していくことが大事です。
 
<ビタミンB12の働き>
・新しい細胞を作り、壊れた細胞を修復する働き。
・神経の壊れた部分を修復する働き。
・伝達物質を作る働き。
・免疫を正常にする働き。
・脳の詰まったところをかき出す働き。
・血流をよくする働き。
 
ビタミンB12には、脳の血流をよくするとともに、脳神経の働きを改善あるいは促進する作用があります。
同時に、動脈硬化の原因となるホモシステイン活性酸素(ふえすぎると体に害を及ぼす非常に不安定な酸素)を除去する働きも持っています。
 
ビタミンB12は、脳からの指令を伝達する神経を、正常に働かせるために必要な栄養素です。
十分にあると、集中力ややる気が高まり、不足すると、神経過敏などの症状が起こりやすくなります。
 
ビタミンB12について