エクササイズで海馬の血流量が増える

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エクササイズで海馬の血流量が増える
 
エクササイズによって、生きているヒト脳の海馬で神経細胞が誕生していることを直接に証明するのは難しいことです。
生きているヒトの海馬を取りだすことなど、できるはずがないからです。
 
ですが、間接的になら、fMRI(機能的核磁気共鳴)を用いてヒト脳についての情報が得られます。
fMRIは、血液の流れを電磁石を利用して見る装置です。
血液の流れが速いということは、それだけ脳が活動していることを示します。
ですからfMRIを利用すれば、ある作業をしているときに、脳のどの部分が活動しているかがわかります。
 
2007年、コロンビア大学のスコット・スモールは、2145歳の男女11人を被験者に11時間のエクササイズを週4回実行したときの結果を発表しました。
 
12週間が過ぎて、被験者の身体を測定したところ、体型はいちじるしく改善し、最大酸素摂取量も大幅に上昇していました。
最大酸素摂取量は運動中にヒトがどれだけの酸素を吸い込んでいるかを示す指標で、ヒトがどれだけのエネルギーを生産するかをあらわします。
エクササイズによって身体機能が高まる、すなわち、フィットネスが向上するという結果は予想されたものでした。
 
驚きだったのは、fMRIによって、ヒトにおいても海馬で神経新生が起こっていることを示す間接的な証拠が得られたことです。
脳のある箇所で神経細胞が誕生するには、そこに栄養素と酸素が運ばれてこなければなりません。
栄養素と酸素を運ぶのは血液です。
 
そこで、エクササイズの前後で被験者をfMRIでスキャンしたところ、エクササイズしたあとの海馬の血流量は、エクササイズ前の2倍に達していたことが明らかになりました。
この血流量の増加があればこそ、海馬で新しい神経細胞がエクササイズ前よりも格段に多く誕生するのです。
 
海馬は記憶にとってとりわけ重要な器官で、その役割は、経験によって得られた情報(記憶)を一時的に保存し、さらに必要に応じて呼びだすことにあります。
ですから、もし海馬にダメージが起これば、学習に障害が発生し、記憶が難しくなります。
「よみがえる脳 より」
 
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脳は神経細胞の集まりと思われていますが、正確には「神経細胞(ニューロン)と、それらの情報を伝える役目をしているシナプスから成り立っています。脳を使えば使うほど、これらのシナプスが増えていきます。
脳の中のシナプスが密であればあるほど、いろいろな能力が高まります。
記憶力でいえば、記憶したことが鮮明に脳に焼きつけられることになります。
 
昔は、脳の神経細胞は生まれたときから増えることはないから、このシナプスを増やすことが、すなわち脳を発達させることだと考えられていました。
ところが、脳の研究が進み、近年になって、神経細胞は年をとっても増えることがわかったのです。
 
脳を使ってこれらの神経細胞を増やし、なおかつ、シナプスを密にすることが脳を鍛えるということなのです。
 
高度の創造過程にも高密度のシナプス形成が必要と思われ、そのために必要な素材として栄養成分が必要なことは当然で、また、その構築作業のための酵素、そしてそれを補佐する補酵素的ビタミンも必要となります。
その中でも重要なものがビタミンB12です。
 
また、加齢や認知症などによって、シナプスはしだいにこわれていきますが、ビタミンB12には、こわれたシナプスを修復する作用があるのです。
同時に、ビタミンB12には、動脈硬化の原因となる活性酸素やホモシステインを除去し、脳の血流をよくする作用もあります。
 
ビタミンB12について