心臓の細胞や脳の神経細胞は他の細胞のように数がふえない

イメージ 1
心臓の細胞や脳の神経細胞は他の細胞のように数がふえない
 
細胞はある大きさになると、成長を止めるか、分裂をします。
たいていの臓器や組織の細胞は分裂をするのですが、一度成熟すると分裂しない細胞が、脳の神経細胞、骨格筋の細胞、赤血球などの細胞、そして、心臓の心筋細胞などです。
 
つまり、心臓や脳は56歳までで細胞ができてしまえば、そのまま数がふえずに、あとはそれらの細胞が成長して大きくなるだけです。
 
心臓をつくっている心筋細胞は、健康な状態であれば130年くらいは大丈夫といわれます。
その意味では心臓の寿命がくる前に他の臓器が駄目になって死んでしまうのが普通ということになります。
 
昔は一生の間に拍動する回数が決まっていて、激しい運動をすると若死にするなどといわれたこともありましたが、そういう事実はありません。
 
心筋細胞は自動的に動く能力があって、培養してもピクピクと動いています。
ですから、普通は心筋梗塞でも起こさない限り寿命がくるまで動いています。
 
それに対して、たいていの体内の臓器や組織は、たとえば、肝臓は放っておいても再生する臓器だということはよく知られていますが、幹細胞(肝幹細胞)があって、新しい細胞をつくってくれるのです。
 
同様に、皮膚は新陳代謝が激しいものですが、皮膚にも幹細胞(皮膚幹細胞)があって、新しい細胞がどんどんつくられます。
幹細胞には、そのほかに、生殖細胞をつくり出す生殖肝細胞、血球のもとになる造血肝細胞などがあります。
 
つまり、体内の臓器や組織は、それぞれの元となる細胞が分裂してつくられるのですが、その元となる細胞が「幹細胞」なのです。
 
幹細胞は、自己増殖脳力と特定の機能をもつ細胞に分化する能力をあわせもっている細胞で、細胞分裂を経ても、同じ分化能を維持します。
普通の体細胞は細胞分裂のたびにテロメアが短くなり、死んでいくわけです。
 
ところが、幹細胞ではテロメアの長さが維持されて、死なないのです。
この幹細胞の性質が維持できなくなると、新たな細胞が供給されなくなるので、早老症などの原因になります。
 
最近、この幹細胞の機能を活用する幹細胞治療というものが、話題になっています。
 
この治療法を使って、血液の中から、将来、脳細胞の神経になる細胞を取り出し、たとえば脳が萎縮してしまった人に移植して、その人の脳の中で移植された細胞を分裂させれば、新しい神経ができるのではないかというものです。
 
いわゆる脳の再生医療ですが、まだまだ実現には時間がかかりそうです。
 
細胞分裂の回数に制限がある一つの原因は、染色体末端の「テロメア」という核酸の構造が短くなるためです。
ふつうテロメアは染色体を保護する役目を果たしていますが、細胞が分裂を繰り返すたびに短くなります。
テロメアの末端が短くなりすぎると細胞の分裂は鈍化し、最終的には分裂できなくなります。
これが細胞内の老化のメカニズムではないかと考えられています。
 
       心臓をつくっている心筋細胞は健康であれば130年くらいは大丈夫
       心臓、脳以外の体内の臓器には元となる幹細胞があって、新たな細胞をつくる
       幹細胞治療が可能になれば、寿命はさらに延びる
「いつまでも『老いない脳』をつくる10の生活習慣 より」
 
*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*
 
≪ビタミンB12の老化防止効果≫
 
食べ物に含まれるビタミンB12は、そのままの形では吸収されません。
胃から分泌された内因子と結合する必要があるのです。
このために胃を切除した人では、ビタミンB12が欠乏して貧血をおこすことがあります。
 
また、現在60歳以上の人の20パーセントでビタミンB12の欠乏が見られます。
これは歳をとると胃の機能が低下し、内因子の分泌が低下するからです。
 
血液検査では見つけられないような軽度のビタミンB12の欠乏でも、認知症に似た神経異常を引きおこすことがあります。
とくに高齢者では、ビタミンB12の値が基準値の範囲にあっても、それが下限値の場合には、記憶障害をおこすことが知られています。
 
近年、日本人の死因の上位占めているガン・心筋梗塞・脳血管系の疾患、そして高血圧症などの生活習慣病の多くは、戦後、日本人の食生活が欧米化し、動物性食品を多くとるようになったことに起因すると言われています。
 
長寿のためには、動物性食品を控えた方が良いという事ですが、動物性食品を摂らないことからビタミンB12を摂取できなくなる恐れがでてきます。
ビタミンB12を摂取できないことで、脳のビタミンとしての作用が欠落してしまうという深刻な問題も起きています。
 
ビタミンB12は、肉や魚介類、卵、乳類などの動物性食品には多く含まれますが、原則として植物性食品には含まれません。
植物性でも例外的に、納豆やみそなど発酵食品、のりなどの海藻に含まれます。
 
ビタミンB12には、脳の血流をよくするとともに、脳神経の働きを改善あるいは促進する作用があります。
同時に、動脈硬化の原因となるホモシステイン活性酸素(ふえすぎると体に害を及ぼす非常に不安定な酸素)を除去する働きも持っています。
 
ビタミンB12は、脳からの指令を伝達する神経を正常に働かせるために必要な栄養素です。
十分にあると、集中力ややる気が高まり、不足すると、神経過敏などの症状が起こりやすくなります。
また、脳や神経と関連が深く、不眠症にも効果があるといわれています。
 
ビタミンB12について