眠っているときに記憶は固定される

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眠っているときに記憶は固定される
 
海馬の神経細胞が活性化すれば、当然、記憶力や暗記力が高くなるということになります。
しかし、それはとりあえず、短期的な記憶です。
それを覚えておくためには、短期記憶が長期記憶にきちんと移行されて収められなくてはなりません。
 
海馬の中の一時記憶は、時間の経過とともに大脳皮質全体のいろいろなところに移し換えられていくのです。
ですから、海馬の大切な役割はとりあえず短期の記憶を蓄えて、その記憶を長期記憶に移していくことです。
 
短期記憶の記憶が長期記憶に移行され固定されるのは、睡眠中と考えられています。
眠ることによって、昼間の必要のない記憶を消して、大事な記憶だけを残すのだろうというのです。
 
2000年には、アメリカのハーバード大学のスティックゴールド博士が多数の被験者で断眠実験を行って、記憶力を高めるためには、最低6時間の睡眠時間が必要で、7.5時間眠ったときがもっとも効果があると発表しています。
 
さらに、2004年には、チューリッヒ大学のゴッフェリッヒ博士がこんな発表をしています。
 
音の並び(音列)を覚えさせて、数時間後にどのくらい正確に覚えているかというテストをしました。
思い出す前に充分な睡眠時間をとった人は、眠らなかった人に比べてずっと成績がよかったのです。
 
もう一つ、ここで注目すべきことは、目を閉じてリラックスしていただけでも、同じ程度の成績をあげることができたということです。
 
ということは、睡眠ではなくとも、脳が休めるようなリラックスした状態にあれば、短期記憶から長期記憶に移行するということになります。
ただし、休んでいるといっても、テレビを見ながらでは効果がなく、あくまでも外界の刺激を遮断した状態で、ということです。
 
なぜ睡眠中やリラックスをしているときに、長期記憶に移行するのかということは、ほとんどわかっていません。
ただし、脳の神経細胞の電気記号を調べると、何か刺激があると、ピッピッと強い電気記号が出ているのですが、刺激がないような状態や眠っているときには、間欠的にポッポッと弱い電気信号が出ています。
この電気信号が、記憶を固定したり消したりするのに必要なのではないかと推測されています。
 
睡眠やリラックスした休息状態が記憶を固定するのに大切なのです。
休息状態でも同じような効果があるのですから、眠れなくても、横になって休んでいるだけでも効果があるということになります。
不眠症でも問題はないということがいえます。
 
また、自分では眠れないと思っていても、実際には、眠りが浅くても何時間は眠っているものです。
ですから、不眠症だから記憶力が衰えるなどと心配することはありません。
 
       眠っているときに不必要な記憶を消してくれる
       記憶力を高めるには、7時間半の睡眠時間がもっとも効果的
       脳がリラックスできる状態も、睡眠同様に記憶を固定化してくれる
「いつまでも『老いない脳』をつくる10の生活習慣 より」
 
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脳には無数の神経細胞があり、その神経細胞の末端からセロトニンアセチルコリンドーパミンなどの神経伝達物質を放出しています。
それらによって次の細胞に情報を伝えていき、それが網の目のようにいっせいに行われることで、情報が瞬時に伝わり、手や足などの末端まで伝達されていきます。
しかし、その伝達情報がうまくいかないと、脳が興奮して抑制が効かなくなり、イライラしたり、落ち着かなくなったりします。
イライラしやすいときは、脳の神経伝達物質であるセロトニンアセチルコリンドーパミンなどが不足していることが考えられます。
そのため、これらの材料となるアミノ酸と、アミノ酸を取り込むために必要な糖分やビタミンB12の不足を疑ってみましょう。
 
ビタミンB12とは…?
 
ビタミンB12の研究初期は、ビタミンB12といえば悪性貧血、悪性貧血といえばビタミンB12といわれました。
しかし、現在のビタミンB12は、神経ビタミンとしての認識が一般的となっています。
末梢神経の不調 ―手足の痺れ・麻痺・痛みなど― はもちろん、中枢神経 ―脳・脊髄― の機能低下にも有効であることが明らかになっています。
 
近年、日本人の死因の上位占めているガン・心筋梗塞・脳血管系の疾患、そして高血圧症などの生活習慣病の多くは、戦後、日本人の食生活が欧米化し、動物性食品を多くとるようになったことに起因すると言われています。
 
長寿のためには、動物性食品を控えた方が良いという事ですが、動物性食品を摂らないことからビタミンB12を摂取できなくなる恐れがでてきます。
ビタミンB12を摂取できないことで、脳のビタミンとしての作用が欠落してしまうという深刻な問題も起きています。
 
ビタミンB12は、肉や魚介類、卵、乳類などの動物性食品には多く含まれますが、原則として植物性食品には含まれません。
植物性でも例外的に、納豆やみそなど発酵食品、のりなどの海藻に含まれます。
 
ビタミンB12は腸で吸収されます。
しかし、その前に胃の内因子と結合することで吸収される状態を作っているため、胃を切除している人などの場合は、胃の内因子なしで吸収されるために大量のビタミンB12を補給する必要があります。
胃の粘膜が萎縮している人や、胃の働きが弱い人も同様です。
 
脳の萎縮を防止するには、脳細胞の蛋白合成、核酸合成が順調に行われることが好ましいのです。
ビタミンB12は、蛋白合成、核酸合成の両方に役立っていることがわかっています。
 
ビタミンB12について