認知症で記憶は失われても感情はきちんとある

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認知症で記憶は失われても感情はきちんとある
 
日本人の認知症の半分はアルツハイマー病、ついで多いのが血管性です。
 
アルツハイマー病の症状は、「記憶障害」を主として、「見当識障害」(時間、場所など自分が置かれている状況などを正しく認識できない状態)、「認知障害(学習障害、注意障害、空間認知機能や問題解決能力の障害)などの機能が徐々に進行することです。
 
アルツハイマー病の場合には、血管性認知症よりも徐々に進行する点が特徴です。
なかには、ものを盗られたといった被害妄想や幻覚が出現したり、徘徊、暴言、暴力などが見られることもあります。
 
重症になると、着替えや食事をとることなどできなくなり、生活に支障が出てきます。
さらに最終的には寝たきりになります。
日付もわからない、身近な相手の顔もわからなくなる、などというのは、記憶にかかわっているわけです。
 
そうした「記憶障害」を主として「認知障害」や「見当識障害」が出てくるのですが、どんな症状が進んでも、最後まで、快、不快など、感情はきちんとあるのです。
 
アルツハイマーの人は、記憶にかかわる部分はどんどん悪くなっていきますが、最後まで衰えないのが心に関係する部分なのです。
ノルアドレナリンドーパミンセロトニンなど感情にかかわる脳内物質の分泌がそれほど落ちてはいないからです。
 
外から見ているだけでは、その表情からだけでは、はっきりとわからないかもしれませんが、認知症になっても、心は正常だと考えるべきなのです。
 
たしかに、身近で世話をしてくれる奥さんやご主人の顔もわからなくなりますが、それは記憶が障害されているからです。
しかし、その奥さんが自分に笑顔を向けているか、怒っているかというのはわかるのです。
 
相手が怒っていれば、患者は怯えたり、怒り返したりしますし、笑っていれば機嫌よく対応します。
記憶力がないだけで、感情はあるのです。
むしろ、すく前のことも忘れてしまうのですから、初期の段階では自分でも不安が強くなって、感情の起伏が大きいともいえます。
その人が持つべき情動反応は正常に機能していると考えたら、接し方が変わってくるはずです。
 
記憶が障害されていくと、五分前に食事をしたかどうかを忘れてしまう、家の外に出たら、帰り道がわからなくなり家に帰れなくなってしまいます。
日常生活のいたることに支障が出てきます。
 
そんな状態になっても、喜怒哀楽はあるのです。
さらに進んでいくと、表情もなくなってきて、外からは感情がないように見えるかもしれません。
それでも、急に怒り出したり、笑ったり、歌を唄ったりといったこともあるので、喜怒哀楽は最後まで残ると考えられます。
 
記憶がないことによって、認知症の人と接する側は相手がまともではないと思って接しがちです。
しかし、それは間違いです。
認知症の人は相手が誰だかもわからないのだから、相手が怒っているか、笑っているかも区別できていないのかといえば、その表情や態度から間違いなく区別しているのです。
 
ただし、怒っていることはわかっても、相手が「もうご飯は食べたじゃないの」などと、なぜ怒っているのかがわからないのです。
というのは、本人は、食べたかどうかを覚えていないのですから、本人にとっては食べていないのです。
自分のやったことの記憶がないのですから、相手が怒っている理由がわからないのです。
 
記憶がなくなる(記憶の脳機能が失われていく)ことと、感情をコントロールする脳機能が働かなくなることがイコールではありません。
すべての認知症の場合がそうだということはいえませんが、基本的にはアルツハイマーの場合はそう考えていいと思います。
周囲の人の接し方、生活の仕方次第で、感情はかなり維持されます。
体の動きもある程度は維持できるでしょう。
 
人間の人間らしいところとは何でしょうか。
たしかに、記憶は重要な要素です。
それまでの記憶があるから、個人として一貫して生活することができます。
しかし、感情がきちんと働いているかどうかも非常に大切なのではないでしょうか。
「心も脳も元気になるストレス整理術! より」
 
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脳の萎縮を防止するには、脳細胞の蛋白合成、核酸合成が順調に行われることが好ましいのです。
ビタミンB12は、蛋白合成と核酸合成の両方に役立っていることがわかっています。
さらに興味深いことは、健康な老人の脳に比較して、老人性認知症患者の脳では、含まれるビタミンB12が、半分どころか、1/41/6程度にまで、低下しているということが明らかにされていることです。
 
ニューロン同士が情報伝達を行うこと、つまり神経機能的連絡を行うためには、新経路の交差点ともいうべきものが必要であり、この交差点をシナプスと言います。
このシナプスは、年をとっても増加し、より成熟した結合が進行するとされています。
シナプスが豊富できちんと機能している場合、脳や神経の働きはよくなります。
ところが、年齢とともに、あるいは認知症などの病気によって、シナプスは次々にこわれていきます。
ビタミンB12には、そのこわれたシナプスを修復する作用があるのです。
 
◆ビタミンB12の働き◆
・新しい細胞を作り、壊れた細胞を修復する働き。
・神経の壊れた部分を修復する働き。
・伝達物質をつくる働き。
・免疫を正常にする働き。
・脳の詰まったところをかき出す働き。
・血流を良くする働き。
ビタミンB12は大量かつ配合によって効果的に働きます。
日常の生活習慣や生活環境を改善するとともに栄養面を改善することが大切です。
 
ビタミンB12について