
自分の歯でも「かむ力」が弱い人は要注意
ところで、肉をもりもり食べるには、歯がしっかりしていなくてはなりません。
歯の状態は、高齢者の健康に直結しています。
とはいえ、70歳、80歳という年齢で、自分の歯がきちんと残っているという人は少ないと思います。
でも、ご安心ください。
調査によれば、自分の歯であるかどうかには関係なく、入れ歯でもいいからかめる状態の歯があればいいということがわかりました。
きちんとかめる状態にある歯のことを、自分の歯と入れ歯にかかわらず、「機能歯」と呼びます。
その機能歯の本数と寝たきりや障害の発生を、6年間追跡調査したのです。
その結果、機能歯の本数が深く関係していることがわかりました。
かむ力の強い人は元気で長生きということは、以前からいわれていましたが、それはいい換えれば機能歯がある程度の数しっかりと残っているということでもあったわけです。
もちろん、入れ歯でいいといっても、合っていないのでは意味がありません。
カクカクしているような入れ歯では、かむ力も弱ってしまいます。
きちんと合う入れ歯をつくってもらうとともに、徐々に歯肉が後退していくことを避けるために、よくかんでしっかり歯肉を刺激していくことが大切です。
以前、東京・小金井市の高齢者を対象にして、しっかりかめるような人と、かみづらくなってきたという人の栄養摂取を比較したことがあります。
かめなくなってくるとどんな食品が減ってくるかというと、タンパク質でも肉類が減ってくることがわかりました。
同じタンパク質でも魚類はそこそこ食べていました。
これは魚よりも肉のほうが、丈夫な歯でかむ必要があるからです。
興味深いことに、牛乳や乳製品も急激に減っていきます。
野菜や油脂類も減少。
卵も若干減っていました。
歯が悪くても牛乳や乳製品は食べられるだろうと思いますが、肉が食べられなくなることで、食事のパターンや組み合わせが限られてしまうのでしょう。
肉のない食卓というと、おそらく和食が中心で、動物性タンパク質というとせいぜい魚類があるだけ。
肉、玉子、油脂類、牛乳類、その他の野菜、根菜類を使った洋風の料理が少なくなるのだと考えられます。
つまり、歯が弱るにしたがって、動物性タンパク質や脂質類など、高齢期に不足しがちな部分の食品が食卓にのぼらなくなってくるわけです。
歯が悪くなって、唯一ふえているのは砂糖、菓子類です。
体のエネルギー源を肉や脂質でとりにくくなっているので、その代用としてかんたんにカロリーを増やせる砂糖や菓子類を多くとってしまうわけです。
栄養素で比較してみると、ほとんど十分な栄養素がとれていないことが歴然としています。
所要量を満たしているのはビタミンCのみで、タンパク質、脂質、鉄分は不足ぎみです。
歯が抜けてもしっかりとした入れ歯を入れることで、きちんとかんで食べることができます。
入れ歯の具合を定期的にチェックして、しっかりかんで食べられる状態にすることが、元気老人になるためには不可欠な条件なのです。
「50歳を過ぎたら「粗食」はやめなさい! より」
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ビタミン欠乏症が原因で、認知症になるケースがあるそうです。
ビタミンの種類は、ビタミンB1、ビタミンB12、葉酸。
ビタミンが欠乏すると、記憶障害、無気力、集中力の低下、妄想、錯乱の症状が出ることは事実です。
さらに、ビタミンB12は、脳からの指令を伝達する神経の働きを助けます。
十分にあると、集中力ややる気が高まり、不足すると神経過敏などの症状が起こりやすくなるのです。
脳や神経とも関連が深く、不眠症にも効果があるといわれています。
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残念ながら現代社会に生きる私たちは、栄養的に見るとかなり厳しい環境に生きています。
まず、野菜は昔と変わらぬ色や形をしていますが、栄養価は、ずいぶん非力になっています。
今のニンジンは、50年前の8分の1から20分の1にまで低下していると言われています。
化学肥料や農薬などが使われ、ハウス栽培によって旬がなくなり、また、収穫後の輸送・陳列・保存、こうした時間の経過、さらに調理することで栄養価が消失します。
果実なども栄養価が未熟なまま出荷され、また畜産物や海産物も例外ではありません。
私たちは今の環境の中で最善の方法を模索するしかありません。
大切なのは、毎日、ちゃんと噛んで食べること。
よく噛んで食べることは脳の発達によい、ということは科学が証明しています。
まずは食事・生活習慣を見直し、「栄養価の補充」としてサプリメント(栄養補助食品)を活用してみてはいかがでしょうか。
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