戦後、肉と油で和食の栄養は補完された

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戦後、肉と油で和食の栄養は補完された
 
現在、日本は世界一の長寿国となっています。
ところが、明治から昭和の初期まで、平均寿命は世界でも最下位レベルにあり、終戦前でもまだ55歳に過ぎませんでした。
それが、2010年のWHO(世界保健機関)の発表によれば83歳。
わずか65年間で30歳近くも延びたわけです。
 
なぜ戦後日本人の平均寿命は、これほどまでに急激に延びてきたのでしょうか。
戦前から現代に至るまでの日本人の死因の推移を見ながら、理由を考えていきましょう。
 
1930(昭和5)の調査によれば、日本人の死因は胃腸炎1位で、肺炎・気管支炎が2位。
次いで3位が結核4位が脳血管疾患となっていました。
上位3位を感染症が占めていたわけです。
 
これは、現在の発展途上国と似たような傾向です。
上下水道がまだまだ整備されておらず、生活環境がよくなかったために、病原菌に対する抵抗力も弱かったと考えられます。
 
戦前から前後しばらくにかけては、1位は結核でした。
その後、結核が減っていき、1955(昭和30年)からは脳卒中1位に取って代わります。
 
結核をはじめとする感染症の抑制には、抗生物質の発見が大きく関与していたことはどなたもご存知でしょう。
ところが、ある研究者がおもしろい報告をしています。
それによると、結核による死亡率は抗生物質の発見よりかなり以前から、減っていたというのです。
 
その理由として、生活環境や栄養状態の改善が挙げられていました。
そうした背景のもとで、ペニシリンをはじめとする抗生物質が普及したことで(結核にはペニシリンは効きません)結核による死亡率が決定的に減少したのだと考えられます。
 
さて、脳卒中による死亡率は、昭和30年以降しばらく増加しましたが、昭和40年ごろをピークに急激に減っていきました。
その理由は、栄養状態がさらに改善されて、血中のコレステロールアルブミンの値が向上し、血管が強くなったからにほかなりません。
その結果、血管がもろくなって起きるタイプの脳出血脳梗塞が減少してきたと考えられます。
 
1981(昭和56)になると、がんが死因のトップになります。
脳卒中はその後、心疾患に抜かれて3位になっています。
現在は、がん、心疾患、脳血管疾患、肺炎の順になっています。
この肺炎というのは、さまざまな病気の最終期において、体の抵抗力が弱り、呼吸器感染症にかかって呼吸不全でなくなる状況を示しています。
65歳以上に限定した死因を見ても、この順位は変わりません。
 
このように、死因が肺炎、胃腸炎という急性感染症から、肺結核という慢性感染症に移り変わり、次に脳卒中1位になり、その後に、がんや心臓病が増えるというのは、典型的なパターンです。
そうした病気を一つずつ克服するにしたがって、平均寿命が延びてきたのです。
 
それに加えて、乳幼児死亡率の減少も、平均寿命の改善に寄与しました。
現在の世界を見渡しても、国の経済の段階に応じて、似たような変化をしています。
 
韓国や中国でも、つい最近まで脳卒中がかなり多くありましたが、ここに来て心疾患やがんが増えてきているということで、日本のあとを追っていることがわかります。
 
繰り返しますが、タンパク質や脂質のとりすぎが改善されたという理由で、脳卒中が減ったわけではありません。
逆に、そうした栄養素の不足が改善されたことで血管が強くなり、脳卒中が減ったわけです。
 
もちろん、栄養だけですべてを説明するつもりはありません。
高血圧のコントロールができるようになったことも見逃せません。
血管病に最終的なとどめを刺すのは高血圧です。
その点において、食塩摂取の減少、降圧剤の開発もまた、脳卒中の減少に大きく寄与したのは確かです。
 
それでも、平均寿命の劇的な延びの背景には、栄養のとり方の変化が関係しているという見方は、今では世界の栄養学・医学の常識になってきたのは間違いありません。
50歳を過ぎたら「粗食」はやめなさい! より」
 
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近年、日本人の死因の上位占めているガン・心筋梗塞・脳血管系の疾患、そして高血圧症などの生活習慣病の多くは、戦後、日本人の食生活が欧米化し、動物性食品を多くとるようになったことに起因すると言われています。
 
長寿のためには、動物性食品を控えた方が良いという事ですが、動物性食品を摂らないことからビタミンB12を摂取できなくなる恐れがでてきます。
ビタミンB12を摂取できないことで、脳のビタミンとしての作用が欠落してしまうという深刻な問題も起きています。
 
ビタミンB12は、肉や魚介類、卵、乳類などの動物性食品には多く含まれますが、原則として植物性食品には含まれません。
植物性でも例外的に、納豆やみそなど発酵食品、のりなどの海藻に含まれます。
 
ビタミンB12は腸で吸収されます。
しかし、その前に胃の内因子と結合することで吸収される状態を作っているため、胃を切除している人などの場合は、胃の内因子なしで吸収されるために大量のビタミンB12を補給する必要があります。
胃の粘膜が萎縮している人や、胃の働きが弱い人も同様です。
 
水溶性ビタミンであるビタミンB12は、最終的には排泄されますが、それまでの間、体内でさまざまな働きをします。
ビタミンB12場合、とくに1000マイクログラム以上の大量をとると、一種の押し込み効果(ある成分を大量にとることにより、吸収率が増す効果)により、吸収・利用率が高まります。
また、ビタミンB12は大量かつ配合によって効果的に働きます。
 
ビタミンB12は、脳からの指令を伝達する神経を正常に働かせるために必要な栄養素です。
十分にあると、集中力ややる気が高まり、不足すると、神経過敏などの症状が起こりやすくなります。
また、脳や神経と関連が深く、不眠症にも効果があるといわれています。
 
脳には無数の神経細胞があり、その神経細胞の末端からセロトニンアセチルコリンドーパミンなどの神経伝達物質を放出しています。
それらによって次の細胞に情報を伝えていき、それが網の目のようにいっせいに行われることで、情報が瞬時に伝わり、手や足などの末端まで伝達されていきます。
しかし、その伝達情報がうまくいかないと、脳が興奮して抑制が効かなくなり、イライラしたり、落ち着かなくなったりします。

 イライラしやすいときは、脳の神経伝達物質であるセロトニンアセチルコリンドーパミンなどが不足していることが考えられます。
そのため、これらの材料となるアミノ酸と、アミノ酸を取り込むために必要な糖分やビタミンB12の不足を疑ってみましょう。
また、脳の唯一のエネルギー源であるブドウ糖が足りなかったり、神経伝達物質を放出するときに働くカルシウムが不足したりしているのも原因のひとつと考えられます。

 それらの成分が不足する背景には、朝食を抜くといった欠食や、栄養のバランスの悪さなどが考えられます。
忙しいからと食事をぬいていないか、好きなものばかり食べて偏食をしていないかなど、自分の日頃の食生活をふり返り、食事リズムと栄養バランスを改善していくことが大事です。
また、人間の体質改善は約3ヶ月程度が基準となっているため、続けなければ効果が得られません。
 
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