認知症に効く栄養成分⑪≪DHA≫

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認知症に効く栄養成分⑪≪DHA≫
 
●脳内に多く分布する
DHAは「n-3系」と呼ばれる多価不飽和脂肪酸の一つで、体内では合成できないため食事でとる必要があります。
同じn-3系にはα-リノレン酸やEPAがあります。
 
グリーンランドに住むイヌイットに、動脈硬化脳梗塞心筋梗塞などが非常に少ないことから、彼らの食生活に注目が集まり、魚に含まれるDHAとEPAの作用について研究されるようになりました。
 
DHAにもEPAにも、LDLコレステロールを減らし、HDLコレステロールを増やす働きがあります。
EPAは血栓を溶かして血液をサラサラにします。
一方、DHAは血管壁や赤血球の細胞膜をやわらかくして血流を改善します。
 
どちらも、動脈硬化や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病を予防する効果大です。
両者の決定的な違いは、脳内に分布しているのはDHAのみということです。
DHAは脳内ではリン脂質として存在しており、非常に重要な役割を果たしています。
 
妊娠中に母親が十分にDHAをとらないと、胎児は発育不全になります。
脳の神経細胞が急速に発達する乳幼児期にもDHAは必須です。
そのため、粉ミルクにも添加されるようになりました。
 
●認知機能を維持・改善する
DHAは血液脳関門を通過できる唯一の脂肪酸です。
記憶や学習と密接な関係がある海馬に、特に多く分布しています。
脳の血行をよくして神経細胞の機能を強化する、神経細胞の発達を促す、情報伝達をスムーズにする、傷ついた脳細胞を修復する、などの働きがあります。
 
これらのことから、記憶力や学習能力の向上だけではなく、認知症にも有効ではないかと考えられています。
 
島根大学医学部の橋本道男准教授らの研究チームは、DHA入りの魚肉ソーセージを用いて、その効果を検証しました。
 
65歳以上の住民106人を2つのグループに分け、一方のグループにはDHA入りの強化ソーセージを、もう一方のグループにはふつうのソーセージを、毎日2本ずつ摂取してもらい、半年ごとに記憶力と運動能力を調べたのです。
その結果、強化ソーセージを食べたグループでは、認知機能、運動能力ともに改善がみられたのに対し、通常のソーセージを食べ続けたグループはどちらも低下しました。
 
これらのことから、DHAには、認知機能の維持・改善効果があると考えられます。
 
アルツハイマー認知症の発症を抑える
京都大学IPS細胞研究所と長崎大学の研究グループは、アルツハイマー認知症の発症のメカニズムの一部を解明し、適切な濃度のDHAがアルツハイマー認知症の発症を抑える可能性があることを示唆しました。
 
研究チームは、4人のアルツハイマー認知症患者からつくったIPS細胞を、脳神経細胞に変化させたものを使用して、DHAの効果を試しました。
 
βアミロイドが蓄積した細胞に低濃度のDHAを投与したところ、細胞内のストレスが軽減し、細胞死も抑制できたのです。
しかし、高濃度のDHAではかえってストレスが増したということです。
 
DHAのアルツハイマー認知症抑制効果については、海外でも多くの研究がなされています。
アメリカのタフツ大学が、平均年齢76歳の男女899人を対象に行った追跡調査では、血中のDHAの濃度が上位4分の1に入っている人は、それ以下の人よりアルツハイマー認知症になる割合が39%低いことがわかりました。
 
このように、アルツハイマー認知症を抑制する栄養成分として、DHAはもっとも有望視されており、大きな期待が寄せられています。
 
●心を安定させ、目の機能を強化する
DHAには集中力を持続させたり精神を安定させる作用もあります。
ストレス時の攻撃性を緩和する働きもあるので、子どもや若者にもしっかりとってほしい栄養成分です。
 
また、シクロオキシゲナーゼというアレルギーを促進する酵素の働きを阻害して、アトピー性皮膚炎や花粉症、ぜんそくなどのアレルギー症状を抑えます。
 
DHAは目の網膜にも多く存在し、目の機能を強化します。
視力改善、動体視力向上などの効果が望めます。
 
●酸化されやすいので新鮮なものを
DHAはマグロやブリ、サバ、サンマなどの青魚やウナギに多く含まれており、1100g程度食べると、必要量は満たされます。
非常に酸化されやすいので新鮮な魚を選び、脂を逃さない調理法を心がけましょう。
認知症 治った!助かった! この方法 より」
 
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現在60歳以上の人の20パーセントでビタミンB12の欠乏が見られます。
これは歳をとると胃の機能が低下し、内因子の分泌が低下するからです。
血液検査では見つけられないような軽度のビタミンB12の欠乏でも、認知症に似た神経異常を引きおこすことがあります。
とくに高齢者では、ビタミンB12の値が基準値の範囲にあっても、それが下限値の場合には、記憶障害をおこすことが知られています。
近年、日本人の死因の上位占めているガン・心筋梗塞・脳血管系の疾患、そして高血圧症などの生活習慣病の多くは、戦後、日本人の食生活が欧米化し、動物性食品を多くとるようになったことに起因すると言われています。
長寿のためには、動物性食品を控えた方が良いという事ですが、一方では動物性食品を摂らないことからビタミンB12を摂取できなくなる恐れがでてきます。
ビタミンB12を摂取できないことで、脳のビタミンとしての作用が欠落してしまうという深刻な問題も起きています。

ビタミンB12は、肉や魚介類、卵、乳類などの動物性食品には多く含まれますが、原則として植物性食品には含まれません。
植物性でも例外的に、納豆やみそなど発酵食品、のりなどの海藻に含まれます。
 
また、食べ物に含まれるビタミンB12は、そのままの形では吸収されません。
胃から分泌された内因子と結合する必要があるのです。
このために胃を切除した人では、ビタミンB12が欠乏して貧血をおこすことがあります。
 
ビタミンB12には、脳の血流をよくするとともに、脳神経の働きを改善あるいは促進する作用があります。
同時に、動脈硬化の原因となるホモシステイン活性酸素(ふえすぎると体に害を及ぼす非常に不安定な酸素)を除去する働きも持っています。
ビタミンB12は、大量かつ配合によって効果的に働き、そして、ビタミンB群はバランス良く摂ることで相乗効果を発揮します。
 
ビタミンB12は、脳からの指令を伝達する神経を、正常に働かせるために必要な栄養素です。
十分にあると、集中力ややる気が高まり、不足すると、神経過敏などの症状が起こりやすくなります。
また、脳や神経と関連が深く、不眠症にも効果があるといわれています。
 
人間の体質改善は約3ヶ月程度が基準となっているため、続けなければ効果が得られません。
生活習慣を変えるとともに栄養面の改善も非常に大切です。
 
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