「生活習慣病」と名づけた理由

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生活習慣病」と名づけた理由
 
良い習慣が健康な体をつくるのに対し、体をこわし、病気の原因をつくるのが悪い習慣です。
ですから、人によっては習慣を見直し、変えることも必要となってきます。
習慣を変えることは場合によっては簡単ではないかもしれません。
そこには、意志の力と努力が必要です。
 
でも、努力を怠った人は後悔することになります。
偏った食べ方や過度の疲労など、体のリズムを無視した悪い習慣は、必ず病気を引き起こすからです。
病に体をむしばまれてから涙にくれても遅いのです。
 
現に、医師として悪い習慣が引き起こす悲しい症例を多く診てきました。
習慣さえ変えれば病気は予防できるのに。
そんな思いから考え出した病名、それか「習慣病」という言葉です。
現在、医療現場だけでなく、日常生活に根づいてだれもが知っている生活習慣病という呼び名の生みの親は私なのです。
 
この言葉が正式に認められ、心臓病や糖尿病などに代表される病気が生活習慣病と呼ばれるようになったのは、平成8年のことでした。
それまでこれらの病気は40年間の長きにわたって「成人病」と呼ばれていました。
 
成人病という言葉が使われ始めたころは、「大人になってからかかりやすい病気」程度の認識で充分だったのだと思います。
当時の栄養事情や生活事情からは、この病気が今ほど深刻な事態になるとは思いもよらなかったのでしょう。
 
しかし、以前から、これらの病気にはもっと明確な名称が必要だと感じていました。
大人がかかりやすい病気ではあまりにも曖昧で、医師も患者も病気のイメージがつかめません。
病気の実体がわからなければ、予防もできません。
 
そこで病気の原因を明らかにした病名をつけたいと思ったのです。
そうすれば、だれもがより深く、しかも確実に、予防に力を入れられると感じました。
 
長く成人病と呼ばれたなかの高血圧、心臓病、肝臓病、糖尿病などは、塩分や糖分の過剰摂取など、バランスを無視した食習慣が原因です。
また、タバコによる肺がんや心臓病、アルコール類のとりすぎが積み重なって起こる肝臓病もありますし、運動不足も大きな原因の一つです。
 
こう考えると、病気のおもな原因は、良くない生活習慣にほかなりません。
それならば、「生活習慣病」と呼ぶのがふさわしいと思ったのでした。
 
今でも、これ以上ふさわしい病名はないという自信を持っています。
というのも、多くの人が生活習慣病という言葉を聞くだけで、「病気の原因は自分のつくった生活習慣にある」という意識をごく自然に抱くことができるからです。
 
原因がわかれば、予防はそれほど難しくありません。
もちろん習慣を変えるためには日々の努力は必要ですが、「良くなろう」という気持ちを持っていれば、そんなに身構える必要はないでしょう。
 
紀元前300年ごろのギリシャの哲学者、アリストテレスも、習慣について次のような定義を残しています。
 
「習慣とは繰り返される運動である」と。
 
繰り返す毎日の行動を変えることによって、新しい習慣を身につけることができるのです。
そんな柔軟な考え方で人生に取り組んでみると、明日からの日日がもっと輝いて感じられるに違いありません。
「生きるのが楽しくなる 15の習慣/日野原重明 より」
 
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ビタミンB12は、もともと悪性貧血を防ぐビタミンとして知られています。
血液細胞が正常につくられるには、ビタミンB12が必要だからです。
それと同時に、脳神経系の働きにも深くかかわっています。
 
根本的な作用に目を向けると、ビタミンB12は、体内のすべてのたんぱく質を修復する働きを持っています。
とりわけ、脳や神経の修復には、ビタミンB12が不可欠なのです。
 
脳や神経が働くときは、神経線維同士の間を情報伝達物質というものが行き来します。
二本の神経線維で一単位となるその部分は「シナプス」と呼ばれます。
シナプスが豊富できちんと機能している場合、脳や神経の働きはよくなります。
 
ところが、年齢とともに、あるいは認知症などの病気によって、シナプスは次々にこわれていきます。
ビタミンB12には、そのこわれたシナプスを修復する作用があるのです。
 
また、脳の萎縮を防止するには、脳細胞の蛋白合成、核酸合成が順調に行われることが好ましいのです。
ビタミンB12は、蛋白合成と核酸合成の両方に役立っていることがわかっています。
 
一般にビタミンB類は、一つが欠乏するときには他のビタミンも欠乏していることが多いのです。
もちろん、すべてのビタミンが老化防止に必要であることはいうまでもありませんが、B類のビタミンB12B6葉酸は老化を防ぐうえでも、もっとも重要なビタミンとされます。
 
現在60歳以上の高齢者の二割の人に、ビタミンB12の欠乏が見られるということです。
これは年をとると胃の機能が低下し、内因子の分泌が低下するからです。
また、高齢者が理由のはっきりしない神経症状を呈したら、ビタミンB12の欠乏を考えるべきだという学者もいます。
 
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