記憶はどのように貯えられるか

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記憶はどのように貯えられるか
 
記憶は脳内のどこか一か所に貯えられているのではなく、数ヶ所にシナプスのネットワークとして存在すると考えられています。
神経細胞を木の幹とすると、幹には多数の枝が生えて伸びています。
この枝のことを樹状突起といいます。
新しいことを学ぶことによって、樹状突起が伸び、隣接する神経細胞樹状突起とつながります。
こうして新しいシナプスができます。
 
シナプスは新しいことを学ぶことによって、どんどん密になっていきます。
一つの神経細胞には一万もの樹状突起が生えていますから、脳内のシナブスの数は数十兆個を軽く超えます。
たとえば、おもちゃの多い恵まれた環境に置かれたネズミは、四日以内に新しい樹状突起をつくりはじめます。
こうしてシナプスが増え、脳に情報が記憶されるのです。
 
ちょうどこれと反対の作用をもたらすのが、ストレスです。
ストレスホルモンのコルチゾールが大量に放出されると、樹状突起がしなびます。
シナプスは弱くなります。
ストレスによるこのマイナス効果は、短い場合では二週間以内にあらわれます。
 
幸いなことに、しなびた樹状突起コルチゾールの大量放出がやむと再びもとにもどります。
また、特定の記憶をつかわないケースも樹状突起はしなびますが、使用するとまた伸びて、シナプスは強化されます。
 
記憶において、とりわけ大事なのが脳の奥深くにある海馬です。
膨大な量の情報が脳に入ってくるのですが、そのすべてを貯えていては脳の記憶容量を軽く超えてしまいます。
ですから、その情報が脳に貯蔵するのに値するものかどうかを判断しなければなりません。
その箇所が海馬なのです。
海馬が能力を著しく失っているアルツハイマー病患者は、新しい情報を記憶することができません。
 
情報はどのように貯蔵され、読み出され、他の情報と結びつけられるのか。
その鍵を握るのが、海馬に多く含まれているアセチルコリンです。
アルツハイマー病を発症した人の脳内では、アセチルコリンレベルが、とくに海馬のあたりで著しく低下しています。
 
たとえば記憶力が極端に落ちていなくとも、アセチルコリンが不足すると、ある箇所の記憶を別の場所の記憶と結びつけることが困難になります。
たとえば、顔はわかるのですが名前が思い出せないなどということになります。
「食べ物を変えれば脳が変わる より」
 
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脳の萎縮を防止するには、脳細胞の蛋白合成、核酸合成が順調に行われることが好ましいのです。
ビタミンB12は、蛋白合成、核酸合成の両方に役立っていることがわかっています。
 
ニューロン同士が情報伝達を行うこと、つまり神経機能的連絡を行うためには、新経路の交差点ともいうべきものが必要であり、この交差点をシナプスと言います。
このシナプスは、歳をとっても増加し、より成熟した結合が進行するとされています。
 
高度の創造過程にも高密度のシナプス形成が必要と思われ、そのためには、それに必要な素材として神経系構成成分、つまり栄養成分が必要なことは当然で、また、その構築作業のための酵素、そしてそれを補佐する補酵素的ビタミンも必要となります。
その中でも重要なものがビタミンB12であります。
 
一般にビタミンB群は、一つが欠乏するときには他のビタミンも欠乏していることが多いのです。
もちろん、すべてのビタミンが老化防止に必要であることはいうまでもありませんが、B類のビタミンB12、B6葉酸は老化を防ぐうえでも、もっとも重要なビタミンとされます。

 現在60歳以上の高齢者の二割の人に、ビタミンB12の欠乏が見られるということです。
これは年をとると胃の機能が低下し、内因子の分泌が低下するからです。

 ビタミンB12には、脳の血流をよくするとともに、脳神経の働きを改善あるいは促進する作用があります。
同時に、動脈硬化の原因となるホモシステイン活性酸素(ふえすぎると体に害を及ぼす非常に不安定な酸素)を除去する働きも持っています。
ビタミンB12は、大量かつ配合によって効果的に働き、そして、ビタミンB群はバランス良く摂ることで相乗効果を発揮します。
 
ビタミンB12は、脳からの指令を伝達する神経を、正常に働かせるために必要な栄養素です。
十分にあると、集中力ややる気が高まり、不足すると、神経過敏などの症状が起こりやすくなります。
また、脳や神経と関連が深く、不眠症にも効果があるといわれています。
 
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