なぜ、脳梗塞の対処を急ぐのか?

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なぜ、脳梗塞の対処を急ぐのか?
 
 2005年に「t-PA」という脳梗塞の治療薬が認可されました。
大きな期待を受け“夢の治療薬”として登場した薬ですが、その実力はどうなのでしょうか。
 
「t-PA」は、脳の動脈を詰まらせている血栓を溶かして、血流を再開させる薬です。
血栓溶解薬」といわれ、点滴で血管内に注入します。
 
血液は血管を通って、全身の細胞に、酸素や栄養を届けていることは、おわかりですね。
脳には1500億の神経細胞があるといわれますが、血液が届けてくれる酸素と栄養のおかげで、脳は活き活きと働き、全身に“指令”を出せるのです。
 
しかし、血液が途絶えてしまえば、わずか数分で、神経細胞は死んでしまいます。
すると、その死んでしまった細胞が担当していた体の部位にも障害が現れるのです。
 
ところが、血液が途絶えた部分の細胞は、一気にすべてが死んでしまうのではなく、一部は生き残っています。
そして、短時間のうちであれば、その生き残った細胞は、救済できるかもしれないのです。
この救済可能な脳細胞を含む領域を「ペナンブラ」といいます。
 
ペナンブラの語源は、日食や月食の半影から来ています。
早く血流を再開してあげればペナンブラは、助かるかもしれません。
これを救うためにできた治療薬が「t-PA」なのです。
 
ペナンブラ救済のタイムリミットは4時間半。
つまり、脳卒中を発症してから4時間30分以内に「t-PA」を投与しなければペナンブラは死んでしまい、治療しても効果が期待できないばかりか、かえって脳出血のリスクが高くなり、有害でさえあるのです。
 
脳卒中の治療が一刻を争うのは、ほかにも理由があります。
 
一つは、起こした直後ほど、再発率が高いということ。
再発すれば、どんどん重症化していくおそれがあるのです。
心原性脳塞栓症やアテローム血栓脳梗塞の場合は、特に再発が早く起こりやすいといわれています。
 
もう一つは、合併症への対策です。
 
嘔吐した物などが、気管支に入り、誤嚥性肺炎を起こすことも考えられます。
気管を塞いで窒息すれば急死することもあります。
また、大量の消化管出血もあり得ます。
こうした合併症への対応も、早く入院すればこそ可能になるのです。
 
また、脳梗塞が大きいと、「脳浮腫」という脳のむくみが起こります。
脳は頭蓋骨で囲まれているため、脳がむくんでも外に拡がりようがなく、脳の内側の「脳幹」の部分に向かって飛び出してきてしまいます。
これを「脳ヘルニア」というのですが、そうなると、どうなるか?
 
「脳幹」は、呼吸や心臓の動き、血液の循環など、生命にかかわる指令を発するところですから、ここが働かなくなれば、呼吸や心臓が止まってしまうこともあるわけです。
 
そうした生命の危機そのものを回避するためにも、脳浮腫を軽減するような薬を、早く使わなくてはいけないのです。
脳卒中にならない、負けない生き方 より」
 
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認知症の多くは、脳血管障害の積み重ねで起こり、その原因の多くが脳梗塞です。
脳梗塞は、初期段階に数ミリ程度の微小な梗塞が数個出現します。
これが隠れ脳梗塞と呼ばれるものです。
隠れ脳梗塞は早い人だと30代から表れ、40代を過ぎると急に増加すると言われています。
 
人の体の老化は20代ごろから始まります。
老化は生きている以上避けられないものですが、何をどう食べるかで進行程度が変わってきます。
30代では個人差はさほどありませんが、40歳を過ぎて中年期に入るころからだんだん差が生じ、65歳を過ぎて高年期に入ると、健康状態にはっきりとした差が出ます。
健康寿命をのばす食生活に加えて、年代別の食べ物・食べ方に気をつけると、病気予防がいっそうアップします。
脳梗塞をはじめとする脳血管障害を生活習慣病の一つととらえ、ふだんから健康に保つ生活を心がけましょう。
 
ビタミンB12には、脳の血流をよくするとともに、脳神経の働きを改善あるいは促進する作用があります。
同時に、動脈硬化の原因となるホモシステイン活性酸素(ふえすぎると体に害を及ぼす非常に不安定な酸素)を除去する働きも持っています。
ビタミンB12は、ストレス社会に生きる現代人のこれからの健康に役立つ栄養素です。
 
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