大人になっても脳は成長できる

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大人になっても脳は成長できる
 
大人になった後ではすべて「手遅れ」かといえば、そうではありません。
実は10歳を過ぎ後の脳も、スピードは落ちるものの変化を続けているらしいのです。
これがわかったのも、2004年と比較的最近のことでした。
脳科学の世界にとって、海馬の神経新生と並ぶ大発見です。
 
それによると、大学生に「ジャグリング(大道芸でよくある、複数のボールなどを空中に投げたり取ったりする芸)」のトレーニングをさせたところ、脳の頭頂葉や側頭葉の体積がふえたとのこと。
つまり、それらの部位が成長したわけです。
さらに大学生ではなく、60歳前後の被験者に同じく「ジャグリング」に挑んでもらったところ、やはり同様の結果が得られたとの報告もあります。
 
言い換えるなら、大人の脳であっても「可塑性」は失われないということです。
 
その後、この説を傍証するように、例えばプロスポーツ選手の脳の運動領域が大きく発達していたり、ピアノのレッスンを受けると左右の脳をつなぐ「脳梁」と呼ばれる部分が厚くなっていたり等々の報告もされています。
 
「アップデート」を終了したと思われていた古いコンピューターが、実は使い込むことで自動的にアップデートする機能を持っていた、という感じです。
中高年以上の層にとって、俄然、勇気の湧いてくる話ではないでしょうか。
 
さらに興味深い話もあります。
脳のある部分が病気やケガで損傷を受けたとき、その部分はもう元には戻りません。
ところが、身体の機能としては元に戻ることがあるのです。
 
このとき脳内では、周囲の損傷を受けていない部分が、受けた部分をカバーするように新しいネットワークを構築している。
さながら柔軟な“バックアップ機能”が起動するわけです。
これも可塑性の一種と言えるでしょう。
 
ただし、自動的にそうなる、というわけではないようです。
例えば事故や認知症の進行で長く反応を失っていた方が、献身的な世話を受けて少しずつ話し始める、といったことも起きています。
あるいは懸命にリハビリを続けた結果、身体の機能を回復することもあります。
つまり何らかの「働きかけ」という刺激があって、脳が修復に向けて動き出すわけです。
 
可塑性とは
神経系は外界の刺激などによって常に機能的、構造的な変化を起こしており、この性質を一般に“可塑性"と呼んでいる。
神経の可塑性は大きく3つに分けられる。1つ目は脳が発生していく時や発達していく段階にみられる可塑性。
2つ目は老化や障害を受けた時などに神経の機能単位が消失するが、それが補填・回復されていく場合。
3つ目は記憶や学習などの高次の神経機能が営まれるための基盤となっているシナプスの可塑性(synaptic plasticity)である。
特に神経科学にとっては3つ目が重要で、その機構についても徐々に明らかにされている。
記憶には、短期記憶と長期記憶があるが、短期記憶は主にシナプスでの伝達効率の変化により、長期記憶はシナプス結合の数や形態の変化により達せられると考えられる。(今西二郎 京都府立医科大学大学院教授 / 2007年)
「本当は脳に悪い習慣、やっぱり脳にいい習慣 より」
 
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老人の認知症の3割~5割を占めるアルツハイマー病の場合は、脳細胞が萎縮する病気です。
この萎縮を食い止めるためには、脳細胞を生成するためのタンパク(アミロイドβタンパク)合成、核酸(DNA)合成が順調に行われる必要があるのです。
ビタミンB12は、脳細胞のタンパク(アミロイドβタンパク)と核酸(DNA)の生合成を司っています。
新しい核酸、タンパク質が生まれ、それによって細胞も新しく生まれ変わり、「こわれた組織、細胞」と「新生の組織、細胞」が入れ替わります。
その結果若返りにもつながることにもなります。
 
そして、ニューロン同士が情報伝達を行うこと、つまり神経機能的連絡を行うためには、新経路の交差点ともいうべきものが必要であり、この交差点をシナプスと言います。
このシナプスは、歳をとっても増加し、より成熟した結合が進行するとされています。
高度の創造過程にも高密度のシナプス形成が必要と思われ、そのためには、それに必要な素材として神経系構成成分、つまり栄養成分が必要なことは当然で、また、その構築作業のための酵素、そしてそれを補佐する補酵素的ビタミンも必要となります。
その中でも重要なものがビタミンB12なのです。
 
ビタミンB12は、脳からの指令を伝達する神経を、正常に働かせるために必要な栄養素です。
十分にあると、集中力ややる気が高まり、不足すると、神経過敏などの症状が起こりやすくなります。
また、ビタミンB12や葉酸の吸収が悪くなると、ホモシステインという老化物質が増え、動脈硬化を生じることがわかっています。
さらに、ビタミンB12や葉酸をはじめとするビタミンB群は、ミネラル、アミノ酸などの栄養素と協力し合っているため一緒にバランスよく摂ることがとても重要なのです。
 
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