好奇心が脳の萎縮を止める

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好奇心が脳の萎縮を止める
 
脳を若々しく保つための最高の“特効薬”は、知的好奇心を持ち続けることです。
 
かつて、約400人の被験者を対象に、8年間で脳がどのように変化するかを調査したことがあります。
その結果、知的好奇心のレベルが高い人ほど、脳が若々しく保たれていることがわかりました。
 
脳の側面には、「側頭頭頂部」と呼ばれる場所があります。
ここは海馬と同様、記憶など高次の認知機能を担っていますが、加齢とともに萎縮するのが通例です。
ところが知的好奇心が高いと、萎縮のペースが遅いのです。
 
別の角度から説明しましょう。
脳には可塑性という特徴があります。
特に子どもの発達段階では、多くの情報を吸収しながらどんどん環境適応性を上げていく。
神経細胞の必要な道を太くして、そうではない道を壊していくわけです。
 
例えば10歳ぐらいまでに英語を勉強したり、スポーツの訓練を受けたり、楽器を練習したりすると、急速に上達することがあります。
これはまさに、可塑性によるものです。
それぞれの分野の道を、脳の中にたくさんつくっている。
子ども時代の脳は、こういうことをダイナミックに行っているのです。
 
一方、大人になると、脳の必要な道はだいたいでき上がります。
英語にしろスポーツにしろ、大人になってから始めてもなかなかうまくならないのは、そのためです。
しかし、可塑性はゼロになるわけではありません。
子ども時代ほど柔軟ではないのですが、何か訓練を受ければ、多少は道をつくったり壊したりという作業も行うのです。
 
つまり、何かをマスターするには子どものころから始めるのが一番ですが、大人になってからでもけっして遅くはないということです。
それも20~30歳代のみならず、60~80歳代からでも、難しくはなりますが可能なのです。
 
もちろん、その道のプロになるとか、オリンピック選手になるといった可能性は限りなくゼロに近い。
こういう領域に達するのは、やはり子どものころから特別な教育を受けた人でなければ難しいでしょう。
しかし趣味として本人が楽しむ分には、レベルはまったく関係ありません。
 
例えば経営者としてご多忙な身でありながら、60歳を過ぎてからピアノを始めた方がいます。
あるいは70歳代になってから英語をマスターした方もいます。
おそらく世の中には、こういう方はたくさんいると思います。
ならば年齢とは関係なく、むしろ何かを始めなければ損という気がしてこないでしょうか。
 
可塑性とは
神経系は外界の刺激などによって常に機能的、構造的な変化を起こしており、この性質を一般に“可塑性"と呼んでいる。
神経の可塑性は大きく3つに分けられる。1つ目は脳が発生していく時や発達していく段階にみられる可塑性。
2つ目は老化や障害を受けた時などに神経の機能単位が消失するが、それが補填・回復されていく場合。
3つ目は記憶や学習などの高次の神経機能が営まれるための基盤となっているシナプスの可塑性(synaptic plasticity)である。
特に神経科学にとっては3つ目が重要で、その機構についても徐々に明らかにされている。
記憶には、短期記憶と長期記憶があるが、短期記憶は主にシナプスでの伝達効率の変化により、長期記憶はシナプス結合の数や形態の変化により達せられると考えられる。(今西二郎 京都府立医科大学大学院教授 / 2007年)
「本当は脳に悪い習慣、やっぱり脳にいい習慣 より」
 
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老人の認知症の3割~5割を占めるアルツハイマー病の場合は、脳細胞が萎縮する病気です。
この萎縮を食い止めるためには、脳細胞を生成するためのタンパク(アミロイドβタンパク)合成、核酸(DNA)合成が順調に行われる必要があるのです。
ビタミンB12は、タンパク(アミロイドβタンパク)合成と核酸(DNA)合成の両方に深く関わっています。
新しい核酸、タンパク質が生まれ、それによって細胞も新しく生まれ変わり、「こわれた組織、細胞」と「新生の組織、細胞」が入れ替わります。
その結果若返りにもつながることにもなります。
 
高齢者が理由のはっきりしない神経症状を呈したら、ビタミンB12の欠乏を考えるべきだという学者もいます。
現在60歳以上の2割の人に、ビタミンB12の欠乏が見られるということです。
これは年をとると胃の機能が低下し、内因子の分泌が低下するからです。
ビタミンB12は胃の内因子という糖たんばくと結合し吸収されますが、年齢とともに胃が小さくなったり胃の状態が悪くなったりして、内因子が
少なくなりビタミンB12の吸収が悪くなってしまうのです。
萎縮性胃炎など胃の病気などで内因子が作れない場合も吸収が困難になります。
しかし、ビタミンB12は大量に摂ることで浸透圧の原理による押し込み効果によって胃の内因子と関係なく吸収されることが分かっています。
吸収率を高めるビタミンB12摂取量の目安は1000μg(マイクログラム)以上と考えられています。

 さらに、主に動物性食品にしか含まれないというビタミンなので、野菜中心の食生活の人や、ダイエットをしているなど食事の量が少ない人は、ビタミンB12を補った方が良いとされています。
加齢、胃の病気、ストレスなどでも不足します。
 
また、ニューロン同士が情報伝達を行うこと、つまり神経機能的連絡を行うためには、新経路の交差点ともいうべきものが必要であり、この交差点をシナプスと言います。
このシナプスは、歳をとっても増加し、より成熟した結合が進行するとされています。
高度の創造過程にも高密度のシナプス形成が必要と思われ、そのためには、それに必要な素材として神経系構成成分、つまり栄養成分が必要なことは当然で、また、その構築作業のための酵素、そしてそれを補佐する補酵素的ビタミンも必要となります。
その中でも重要なものがビタミンB12なのです。
 
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