血管が詰まる病気


血管が詰まる病気
 
血管が詰まるリスク
□ 足の痛みで立ち止まりながらでなければ歩けない
□ 足に傷ができても治らない
□ 安静時でも足が痛い
□ ときどき意識消失がある
□ 脳梗塞の既往がある
 
 日本人は高血圧が多いのですが、欧米人に多いのが肉食によるコレステロール過多の高脂血症です。
高脂血症は大動脈、中動脈、小動脈すべてに悪い影響をおよぼします
 
コレステロール過多になると、LDLコレステロールが増えて動脈が硬くなり、プラークが形成されます。
 
血流が悪くなり、動脈壁にさらにLDLコレステロールが沈着しやすくなって血管を詰まらせます。
動脈閉塞症です。
脳の動脈が詰まると脳梗塞、心臓の動脈が詰まると心筋梗塞という重篤な病気になります。
 
動脈硬化が進んでいなくても、血管が詰まってしまうことがあります
 
血液がドロドロになっている場合です。
これも高コレステロールや脂肪分の多い食事が原因で、血栓ができやすくなり、それが小さい動脈に飛んで血管を詰まらせます。
血栓塞栓閉塞症と言われます。
 
詰まりやすいのは血管が分岐する部分です。
とくに首の総頚動脈、外頚動脈、内頸動脈動脈硬化を起こしやすく、細くなって血栓が飛ぶと脳梗塞を引き起こします。
 
冠動脈などの動脈にとくに多いのはプラークを覆う被膜が破れて、プラークが血管内に流出して白血球が集まり、そこに血栓ができて血管を詰まらせるケースです。
 
血栓動脈瘤同様に、中動脈ではステント治療、小動脈ではバイパス手術をおこない治療します。
 
まれに毛細血管が詰まることもあります。
モヤモヤ病と呼ばれるものです。
毛細血管が詰まって血が溜まってしまうものです。
 
毛細血管は微細に枝分かれしてつながっているため、血液が滞っても一大事になるリスクはありません。
 
しかし、脳の毛細血管が詰まっているときだけは別です。
コイリングといって、血管に金属のコイルを入れて、血が溜まらないよう、滞っている毛細血管への血流を止めてしまいます。
 
開頭せず治療できる一方で、血栓ができやすくなるため、脳梗塞を引き起こすリスクがあります。
 
血管が詰まる病気は、20年くらい前までは日本ではあまり見られませんでした。
日本人の動脈硬化はずっと高血圧型と言われてきました。
血圧が高くなることで血管壁の弾力性がなくなり、もろくなっていたのです。
血管の破裂を引き起こし、脳出血や脳溢血のリスクがあります。
 
欧米人は高脂血症動脈硬化です。
こちらのほうが恐ろしいと言えます。
なぜなら中動脈や小動脈にも影響をおよぼすからです。
細い血管が詰まり、脳梗塞心筋梗塞を引き起こします。
 
かつて180mg/dl200mg/dl程度だった日本人のコレステロール値も近年では220mg/dlくらいと上がってきました。
それに伴い、血管が詰まる病気も年々日本人に増えています
 
高脂血症による病気は自覚症状がないうえに、命に関わる危険な病気ばかりです。
HDLコレステロールを高めてもらいたいと思います
 
ただ、私たちが今もっとも注意しなければならないのは糖尿病です。
日本は第7位と世界でも非常に糖尿病患者の多い国です。
 
糖尿病患者の40パーセントは心臓血管が悪く、心臓血管疾患をもつ患者の35パーセントは糖尿病と言われます。
 
血管壁にある毛細血管が糖によって傷つきます。
すると血を固める働きをするフィプリンが変質して固まってきます。
を溶かすために白血球が出てきて堆積し、さらに血管が硬くなっていきます。
 
 また、高血糖だと血液がドロドロになるため、白血球が血管壁に付着しやすくなるという悪循環に陥ります。
小動脈ほど詰まりがちです。
 
 糖尿病によって目の網膜や腎臓が悪くなるのは毛細血管がとくに集まっている器官だからです。
ひどくなる末梢の血流が滞り、手足がしびれてくるといった症状も起こります。
 
ここで、傷が治る仕組みについて簡単に説明します。
 
 出血すると即座に血小板が集まって血管を修復しようとします。
皮膚にはかさぶたができて血が止まります。
皮膚組織には多少なりとも血の塊(血腫)ができるため、サイトカインという物質が白血球から分泌され炎症反応が起きます。
その火事現場は白血球の貪食細胞と言われるものが集まり血腫を吸収して炎症を沈めます。
 
 かさぶたができたあと、傷跡は青くなり、しだいに黄色となって色あせてきます。
その後に血管が再生され、元の皮膚の状態に戻ります。
 
 このような傷を治す力は胃腸の粘膜にできた潰瘍や、血管の内に生じた創にも同様に存在します。
 
 糖尿病を患っている患者さんは血管力が極度に落ちているために、たとえば足にできた傷がなかなか癒えず、その傷に菌が入り、傷の炎症も広がり足が壊死してしまうケースがあります。
 
 それは糖尿病の副作用で末梢神経が閉塞してしまうために傷が治りにくく、放置しておくと感染が全身に回る敗血症という死に至る病になるので、足を切断しなければならなくなるのです。
 
 詰まりやすい血管は決まっています。
足背動脈、大腿動脈、橈骨動脈、頸動脈です。
それぞれ血圧と脈をドプラー計測器で測ります。
もし脈がなければ、その部分の血管が詰まっているということになります。
「老いるほど血管が強くなる健康法 より」
 
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心血管病に対する一般のイメージは、栄養のとりすぎによってコレステロール値が高くなり、血液がドロドロになって血管が詰まるというものでしょう。
それが脳の血管で起きると脳梗塞になるわけです。
 
このタイプの脳梗塞は、医学的にはアテローム血栓脳梗塞と呼ばれています。
ところが、これとは別に、ラクナ梗塞と呼ばれるタイプの脳梗塞があります。
これこそが、低栄養の高齢者に起きやすい脳梗塞なのです。
 
欧米や都会に多いアテローム型を予防することばかりを重視して、コレステロールがいけない、脂質がいけない、動物性食品がいけないと、医師もメディアも声を揃えているわけです。
 
おかげで、日本の一般的な高齢者まで、肉、脂肪が血管を詰まらせるという強迫観念にかられているのが現状ではないでしょうか。
そのために、今度は逆の問題として、高齢者に低栄養状態が起きてしまっているのです。
 
実は、「日本に多い脳梗塞は、欧米型のものとはタイプが違う」「低栄養が脳梗塞の原因となる」という事実は、かなり以前から報告されていました。
疫学データをもとにして1960年代からそうした発表をしていたのです。
 
今では、低栄養、低コレステロール脳梗塞が起きることは、医学界の常識となっています。
ただ、脳梗塞というと、あまりにも栄養過剰、高コレステロールが原因だという印象が強いために、なかなか一般の人にはなじみがないのが実情です。
 
一般に、LDLコレステロールは140以下にすべきというガイドラインがあるのですが、これが100を切ると、高齢者では逆に心血管病が増えてくることがわかっています。
ですから、LDLコレステロールを「悪玉」と呼ぶことが正確であるかという点にも疑問が残ります。
一方、HDLコレステロールが「善玉」であることは間違いなく、こちらは高いほどよく、低いほど問題があるようです。
 
 動物性食品を摂らないことからビタミンB12を摂取できなくなる恐れもでてきます。
高齢者が理由のはっきりしない神経症状を呈したら、ビタミンB12の欠乏を考えるべきだという学者もいます。
 
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