集中力を高めると疲労が溜まる

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集中力を高めると疲労が溜まる
 
 デスクワークに飽きてくると、忙しいときはとくに、「飽きている場合じゃない。集中力を高めて乗り切ろう」と気合を入れようとしませんか。
しかし、疲労医学の観点からすると、それは大きな間違いです。
「飽きた」とは脳が疲労を感じているサインです。
ここでは、同じ作業に集中すると脳ではどんな変化が起こっているのかをみてみましょう。
 
脳は「神経細胞」でできていますが、ひとつの神経細胞は1000個以上の神経細胞とつながって、ネットワークを作っています。
デスクワーク中の疲労の多くは、自律神経だけではなく、知的な作業を担っている大脳の神経細胞のネットワークでも起こっています。
同じ作業を続けると、同じ神経ネットワークを使い続けることになるので、そこに活性酸素による酸化ストレスが溜まり、疲労が起こるのです。
「飽きた」というのは、「ここばかり使わずに、ほかのネットワークを使ってよ。もう疲れた」という大脳のメッセージです。
 
それを無視すると、疲労がつのるばかりではなく、疲労からの回復に時間を要するようになります。
その理由は、神経細胞の次のような性質によります。
 
神経ネットワークは電気で信号をやりとりしています。
隣の神経細胞に、ある一定以上の電気信号が伝わり、「閾値(いきち)(限界値)」を超えると興奮が起こってスイッチがオン、つまり、活動状態になります。
閾値」とは、興奮を起こすのに必要な最小限の刺激の大きさのことです。
同じ神経細胞ばかり使うと、錆びて傷ついた細胞を守るために防御的に「閾値」を上げ、反応を鈍らせる性質があります。
つまり隣の神経細胞のスイッチをオンにするのに、より多くの電気信号が必要になるのです。
スイッチが鈍感になるとイメージしてください。
これでは情報処理が円滑に進まなくなり、ほかのネットワークのパフォーマンスも低下します。
こうして大脳全体が疲れ、またそれを補うために自律神経が異常な緊張状態となり、やがて、頭が重くなる、目がしょぼしょぼする、肩がこるなどの症状も現れます。
 
もっと困ったことに、一度「閾値」が上がった神経細胞は、容易には元の敏感な状態には戻りません。
電気的な刺激がしばらく届かないように放置する、つまり完全休養しないと復活しないのです。
 
デスクワーク中、2時間ごとに30分休憩を入れて同じ作業を続けた場合と、20分ごとに5分の休憩を入れた場合を比較してみましょう。
作業をする合計時間も同じですが、20分ごとに休憩を入れたほうが「閾値」の上がり具合が小さく、脳の情報処理能力の低下が抑えられるため、疲れ具合はかなり軽減されます。
2時間連続して仕事を続けた場合は、「閾値」が上がり、30分程度の休息をとっても作業効率の低下を抑えるほどの回復は期待できません。
そのため、飽きたと思ったらすぐさま休む、また、あらかじめ、「飽きる」ということを前提に作業の計画を立て、「飽きた」と感じる前に小刻みに休息をはさんで別の作業に切り替えるようにします。
それが疲労を避ける方法であると同時に、作業効率を上げるポイントになります。
「すべての疲労は脳が原因2 より」
 
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私たちの脳の中で司令塔のような役割をしているセロトニン神経という神経細胞が弱ってきており、軽い不調からうつ病、パニック症候群、さまざまな依存症などを引き起こす原因になっています。
この現象は大人から子どもまで老若男女に広がっています。
セロトニン神経は、日を浴びることや意識した呼吸、簡単な運動をすることなど日常生活に少し工夫を加えることによって鍛えることができます。
 
脳には無数の神経細胞があり、その神経細胞の末端からセロトニンアセチルコリンドーパミンなどの神経伝達物質を放出しています。
イライラしやすいときは、脳の神経伝達物質であるセロトニンアセチルコリンドーパミンなどが不足していることが考えられます。
そのため、これらの材料となるアミノ酸と、アミノ酸を取り込むために必要な糖分やビタミンB12の不足を疑ってみましょう。
また、脳の唯一のエネルギー源であるブドウ糖が足りなかったり、神経伝達物質を放出するときに働くカルシウムが不足したりしているのも原因のひとつと考えられます。
 
ビタミンB12は、葉酸をはじめとするビタミンB群、ミネラル、アミノ酸などの栄養素と協力し合っているため一緒に摂ることが望ましいとされています。 
 
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