腎臓病はアルツハイマー病の原因になる

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腎臓病はアルツハイマー病の原因になる
 
 アミロイド療法すなわちアミロイドβを減少させる療法は、アルツハイマー病のモデルマウスの実験ではすべて成功しているのに対して、人間の認知機能回復という点ではことごとく失敗に終わっています。
れは、人間とマウスでは、アルツハイマー病の病理変化に違いがあるからです。
 
 前出のように、アルツハイマー病のモデルマウスの病理発現にホモシステイン酸が関係していることを発見しました。
今度は、そのホモシステイン酸が、果たして人間にも関係しているかどうかを確認することにしました。
 
 順天堂大学病院で、アルツハイマー病と診断された110名の患者さんの尿を採取させてもらい、その尿中ホモシステイン酸の濃度と認知機能障害の程度との関連性の調査観察を試みました。
 
 その結果、尿中ホモシステイン酸濃度と認知機能障害の程度は、統計的に有意な正相関を示していることを発見したのです。
すなわち、健常な人の場合、体内で有毒なホモシステイン酸がつくられると、それは尿中に積極的に排出されて、正常な機能を維持していることがわかりました。
しかし、アルツハイマー病の患者さんは腎機能が低下し、体内でつくられたホモシステイン酸が尿中に排出されずに体に蓄積し、それが脳の認知機能を障害することが理解できました。
 
 つまり尿中にホモシステインが出れば出るほど正常で、出なければ認知症
これはマウスとはまったく逆の現象だったのです。
 
 このことから、老化や喫煙、糖尿病やうつ病など、アルツハイマー病の危険因子である病気にかかると、そうでないアルツハイマー病の患者さんと比べて腎機能の低下がより強く発現し、その結果、アルツハイマー病が重症化することも理解できました。
人間のアルツハイマー病には、腎機能が関係していたのです。
 
 そのためアミロイド療法で脳内アミロイドβの濃度を下げても、ホモシステイン酸の濃度が減少しなければ、認知機能が回復しないのは当然のことだったのです。
 
 アルツハイマー病には遺伝的要因による「家族性アルツハイマー病」と、遺伝とは関係のない「孤発性アルツハイマー病」があり、約9割が孤発性であることが知られています。
カナダのあるグループが、その孤発性アルツハイマー病の発症が予想される人たちを追跡調査し、そのうち発症した人のデータを調べたところ、「アミロイドβが脳に沈着するより前に、血管性の異常が起きていた」ということを発見しました。
すなわち、「血管の中に異常な物質ができた、それが認知症を引き起こす引き金になる」ということを発表したのです。
 
 その異常な物質のひとつにホモシステイン酸が該当していることは、いうまでもありません。 
「薬いらずで認知症は防げる、治せる より」
 
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アルツハイマー型(AD)とは、脳神経細胞が急速に死滅し脳が萎縮して、10数年をかけて脳機能が次第に低下する恐ろしい病気です。
約100年前にドイツのアルツハイマー博士が初めて症例を報告したことで、アルツハイマー病と呼ばれています。
ADは65歳以上の高齢者に多発し、遺伝とは無関係で発症します。物忘れから始まり、脳の海馬が萎縮するため新しい記憶ができなくなり判断力・思考力が低下していきます。
(中核・周辺症状が現れてから)進行すると6~8年で言葉が出なくなり、最後には寝たきりになり死に至る老人特有の疾患です。
女性は男性より多発します。
原因物質は、加齢により脳全体に異常に溜まるアミロイドβたんぱく質(Aβ)であると言われ、これが脳の神経細胞を圧迫するため認知機能が著しく低下する疾患です。 
 
ではなぜ、加齢により認知症になるのでしょうか?
1990年にアミロイドβを脳神経細胞に溜め込む原因は、悪玉アミノ酸である血中のホモシステイン酸であることがマウスの研究や認知症患者のデータから解明されました。
そしてその原因は、高齢化に伴い、肝臓や腎臓の機能障害により、有害物質のホモシステイン酸が腎臓でろ過されず、血液と一緒に脳内へ運ばれ、認知症の原因となるアミロイドβを誘導、脳に蓄積させるということが明らかになりました。
米国で実施された研究結果では70歳以上の高齢者で血中のホモシステイン酸値が高い人は、アルツハイマーを発症する危険性が8年間で2倍になると報告しています。  
 
代謝の過程でビタミンB6が不足するような状態になると、ホモシステインからシステインへと分解する代謝の流れにトラブルができて、肝臓でホモシステインが余ってしまい、結果的に血中に流入するホモシステイン酸が上昇してしまいます。
その結果、血液を固める血小板を凝集したり、単球の吸着を進めたりして、動脈硬化を促進してしまいます。
多くできた血中ホモシステイン動脈硬化心筋梗塞脳卒中のリスクが高くなることが報告をされていて、関心を集めています。
肝臓の中で、葉酸やビタミンB12が不足してもホモシステインからメチオニンがつくられる代謝の流れが低下して血中ホモシステイン値が上昇してしまいます。
 
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