若者より深刻な高齢者のストレス
ストレスの長期化が、アルツハイマー病を招く
現代はストレス社会といわれています。
年齢に関係なく、多くの人がストレスを抱えて生きています。
しかし、若くして孤発性アルツハイマー病にかかる人はごく少数です。
それは、若い人たちはストレスを受けてホモシステイン酸が増加しても、ホモシステイン酸を代謝する「グルメタートデヒトロゲナーゼむという酵素をさかんに分泌しているため、体内のホモシステイン酸の濃度が上がらないからだと考えられます。
高齢者でも体の働きが活発で元気な方は、この酵素が多く分泌されているため脳の神経細胞へのダメージが少ないのですが、全身の働きが低下していると酵素の分泌も弱く、そのためホモシステイン酸が脳内にどんどん溜まり、アルツハイマー病を引き起こすことになります。
また、若い人のストレスは仕事や会社の人間関係、家庭内の問題、あるいは異性との関係が原因になっている場合もあると思います。
しかし、これらは的確な対応をとれば解消することが可能で、その多くが時間の経過とともに解決される一過性のものです。
長い目で見れば、それほど深刻ではなく長期化することもありません。
ところが、高齢者の抱えるストレスの多くはそうではありません。
以前、短期大学の学生が、デイサービスに通う高齢者に対面式のアンケートを調査したところ、もっとも多いストレスは次のとおりでした。
・配偶者の死亡
・目や耳や関節が不自由になるといった自分の体の不調
・外出するのが億劫になる
・社会や家族からの孤立による寂しさ
・意欲がわかなくなる
この調査結果からもわかるように、高齢者の場合は喪失体験や心身の不調など、改善があまり期待できず、強い不安が長期化してしまうような悩みがストレスになっていることがあげられます。
このストレスの長期化が、アルツハイマー病を招くといっても過言ではありません。
若者より深刻な高齢者のストレス
高齢者と若年者のストレス反応をみるための実験をしました。
被験者に「1000から7ずつ数を引いていく」連続計算をしてもらい、自動血圧計で血圧を測定しました。
ストレスが現れた人は、交感神経が活性化して血圧が上昇します。
さて、高齢者と若年者のいずれも血圧が上昇しましたが、その後の血圧の変化に相違が出てきました。
若年者はこのストレスに順応した結果、血圧が元に戻ってきましたが、高齢者はいつまでも上昇したままでした。
つまり、高齢者はストレスに順応できないでいるということです。
そのときにホモシステイン酸は、どのように反応するのでしょうか。
ストレス反応が持続すれば、高濃度のホモシステイン酸が出てきます。
あるいは、アミロイドβとの関係ですが、高齢者はアミロイドβの蓄積が始まっていて、そのアミロイドβと神経細胞に作用している低濃度のホモシステイン酸によって、神経細胞内にアミロイドβがさらに蓄積し、その結果、神経変性が誘導されてくると考えられます。
そして、ストレスを受けて分泌された高濃度のホモシステイン酸は、それとは別に、単独で神経変性を誘導するのです。
「薬いらずで認知症は防げる、治せる より」
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ADは65歳以上の高齢者に多発し、遺伝とは無関係で発症します。物忘れから始まり、脳の海馬が萎縮するため新しい記憶ができなくなり判断力・思考力が低下していきます。
(中核・周辺症状が現れてから)進行すると6~8年で言葉が出なくなり、最後には寝たきりになり死に至る老人特有の疾患です。
女性は男性より多発します。
ではなぜ、加齢により認知症になるのでしょうか?
そしてその原因は、高齢化に伴い、肝臓や腎臓の機能障害により、有害物質のホモシステイン酸が腎臓でろ過されず、血液と一緒に脳内へ運ばれ、認知症の原因となるアミロイドβを誘導、脳に蓄積させるということが明らかになりました。
代謝の過程でビタミンB6が不足するような状態になると、ホモシステインからシステインへと分解する代謝の流れにトラブルができて、肝臓でホモシステインが余ってしまい、結果的に血中に流入するホモシステイン酸が上昇してしまいます。
その結果、血液を固める血小板を凝集したり、単球の吸着を進めたりして、動脈硬化を促進してしまいます。
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