元気な老後は「良いストレス」から

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元気な老後は「良いストレス」から
 
急増するアルツハイマー病患者
 
 認知症にはいろいろな種類がありますが、日本で多くの問題を抱えているのは、アルツハイマー認知症と血管性認知症だと考えます。
特にアルツハイマー認知症は、わが国でもっとも多く、かつ恐れられている認知症です。
 
認知症の増加は世界的な傾向にあり、国際アルツハイマー病協会(ADI)が2015年9月に発表した「世界アルツハイマー病レポート2015」によると、現在、世界で年間に990万人が認知症を発症しており、これは3.2秒にひとりが発症している計算です。
また、世界の認知症人口は、2015年は4680万人と推定されていますが、2030年までに7470万人に増加し、2050年までに1億3150万人に増加すると予測されています。
 
これに比例して、世界の認知症の医療コストは2015年は98兆円(8180億ドル)、2018年までに120兆円(1兆ドル)、2030年までに240兆円(2兆ドル)を超えると推定されていて、これはアップル、グーグル、エクソンモービルなどの巨大企業の収益よりも多い規模ということです。
 
認知症患者が増えている原因のひとつは、「長寿」と考えられます。
特に先進国では平均寿命が長く、日本を例にすると2015年の平均寿命は、男性が80.79歳、女性が87.05歳(2016年7月厚生労働省発表の簡易生命表の概況より)。
 
認知症の中でアルツハイマー病がもっとも多い原因のひとつに効果的な治療法や予防法が、これまでなかったということがあげられます。
アルツハイマー病は、運動、睡眠、メンタルケアなどの生活習慣の改善で、ある程度、予防できることがわかってきましたし、新たな治療薬の開発も進められています。
しかし、医療進歩の恩恵を受けやすい先進国でも、アルツハイマー病が減っているという報告はないのです。
 
アルツハイマー病は、軽度の記憶障害から症状が進み、時折、症状が軽くなり、記憶がよみがえることもありますが、次第に日常的な動作ができなくなり、進行するにつれて話したり、歩いたりすることも困難になります。
発症からの生存期間は8~10年といわれています。
 
元気な老後は「良いストレス」から
 
ストレスには「良いストレス」と「悪いストレス」があり、体や心が苦しくなったり、嫌な気分になったり、やる気をなくしたりするようなストレスは、悪いストレスです。
しかし、良いストレスは脳にやる気を起こさせます。
 
良いストレスとは、目標、夢、スポーツ、良い人間関係など、自分を奮い立たせてくれたり、勇気づけてくれたり、元気にしてくれたりする刺激やその状態ともいえます。
例えば、近年、認知症予防にいいということで「健康麻雀」が注目されていますが、そこで負けてちょっと悔しい思いをして、次は絶対勝つぞ! と奮起したり、あるいはもっとうまくなりたいと思ったり、勝って達成感を味わったり、というようなことです。
 
逆に、まったくストレスがないと頭も体も衰えるといわれています。
退職した高齢者はストレスから解放されたのに認知症になりやすいというのも、あながち間違いではないかもしれません。
適度に、脳や体に刺激を与えておくことは大事なことだと思います。
 
良いストレスがないと、人生は豊かになれません。
良いストレスが適当な量でうまくコントロールできていれば、心地よく生きることができます。
「薬いらずで認知症は防げる、治せる より」
 
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アルツハイマー型(AD)とは、脳神経細胞が急速に死滅し脳が萎縮して、10数年をかけて脳機能が次第に低下する恐ろしい病気です。
約100年前にドイツのアルツハイマー博士が初めて症例を報告したことで、アルツハイマー病と呼ばれています。
ADは65歳以上の高齢者に多発し、遺伝とは無関係で発症します。物忘れから始まり、脳の海馬が萎縮するため新しい記憶ができなくなり判断力・思考力が低下していきます。
(中核・周辺症状が現れてから)進行すると6~8年で言葉が出なくなり、最後には寝たきりになり死に至る老人特有の疾患です。
女性は男性より多発します。
原因物質は、加齢により脳全体に異常に溜まるアミロイドβたんぱく質(Aβ)であると言われ、これが脳の神経細胞を圧迫するため認知機能が著しく低下する疾患です。 
 
ではなぜ、加齢により認知症になるのでしょうか?
1990年にアミロイドβを脳神経細胞に溜め込む原因は、悪玉アミノ酸である血中のホモシステイン酸であることがマウスの研究や認知症患者のデータから解明されました。
そしてその原因は、高齢化に伴い、肝臓や腎臓の機能障害により、有害物質のホモシステイン酸が腎臓でろ過されず、血液と一緒に脳内へ運ばれ、認知症の原因となるアミロイドβを誘導、脳に蓄積させるということが明らかになりました。
米国で実施された研究結果では70歳以上の高齢者で血中のホモシステイン酸値が高い人は、アルツハイマーを発症する危険性が8年間で2倍になると報告しています。  
 
代謝の過程でビタミンB6が不足するような状態になると、ホモシステインからシステインへと分解する代謝の流れにトラブルができて、肝臓でホモシステインが余ってしまい、結果的に血中に流入するホモシステイン酸が上昇してしまいます。
その結果、血液を固める血小板を凝集したり、単球の吸着を進めたりして、動脈硬化を促進してしまいます。
多くできた血中ホモシステイン動脈硬化心筋梗塞脳卒中のリスクが高くなることが報告をされていて、関心を集めています。
肝臓の中で、葉酸やビタミンB12が不足してもホモシステインからメチオニンがつくられる代謝の流れが低下して血中ホモシステイン値が上昇してしまいます。
 
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