脳のシワは多いほどいい?

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脳のシワは多いほどいい?
 
年を取るにつれて、皮膚にはシワが増えてくるものですが、皮膚だけでなく、脳にもシワがあります。
生まれたばかりの赤ちゃんの脳はツルンとしていて、ほとんどシワがありませんが、成長するに従ってシワが増えていくのです。
このシワのことを、医学的には「脳耕」と言います。
脳耕は、脳の機能が複雑になってサイズオーバーしたヒトの脳の表面積を確保するため、成長する脳にシワを寄せて折り畳むことによって頭蓋骨に収めるという生物の知恵です。
 
 そのため、シワが多いほど脳が発達しているという考え方があります。
「脳のシワは多ければ多いほどいい」とか、「頭のいい人ほど脳のシワが多い」という話を聞いたことのある人もいるのではないでしょうか。
しかし、本当に脳のシワと能力の高さが関係しているかというと、一概に、そうとは言えません。
今日では、シワの数と知能の高さは関係がないという説が有力です。
それどころか、脳のシワを歓迎できるのも、だいたい20歳まで。
それ以降にできるシワは、脳が少しずつ萎縮していくことを意味します。
脳の老化や、認知症の始まりとも言えるものなのです。
 
脳は年々萎縮している
 
 大量のブドウ糖を絶えず燃やし続けることによって活動を維持する脳ですが、その性能は永久に保たれるものではありません。
脳の機能は年とともに、少しずつ低下していきます。
 
脳の神経細胞―「ニューロン」とも呼ばれます―の総数は、約1000億個といわれていますが、その1000億個のままで一生を過ごすわけではありません。
脳の神経細胞は、なんと20代から死滅し始め、ある部位では、寿命を迎える頃には半数にまで減ってしまうのです。
 
たとえば、脳の大脳辺縁系にある「海馬」(タツノオトシゴに似ている形から、こう呼ばれるようになりました)は「記憶」を蓄積している場所なのですが、ここは高齢になると、認知症にかかっていなくても、毎年約2%ずつ萎縮していきます。
ちなみに、認知症の代表格であるアルツハイマー認知症や糖尿病が進むと、その萎縮のスピードは、さらに加速します。
 
それ以外にも、脳梗塞で脳の血管が詰まると、酸素が供給されなくなった場所の神経細胞は死滅してしまうし、アルツハイマー認知症が進行した時にも、神経細胞は死滅していきます。
脳の神経細胞は、とてもデリケートなのです。
 
デリケートな特徴は、それだけではありません。
たとえば、皮膚の細胞なら、ケガをしても再生して傷が治っていきます。
また、再生能力が高い肝臓の細胞に関して言えば、生体肝移植でドナー側の肝臓の約半分を切除しても、健康な人なら数年で、ほぼ元の大きさに戻ります。
しかし、脳と脊髄の神経細胞は、他の臓器の細胞とは異なり、いったん死滅したら自然に元に戻ることはありません。
 
使っていない呼び能力を活用するには!?
 
しかし、実は、私たちが一生のうちで使う脳の機能は20%程度。
残りの約80%は眠ったままだということが分かっています。
この80%のうちのいくらかを開拓しておけば、普段使っているニューロンが、何らかの原因で死滅したとしても、その機能をカバーすることができるのです。
この考え方を「認知予備機能」と言います。
 
 脳内では、生きているニューロン同士がネットワークを作っています。
見たり聞いたりして受けた情報や刺激は、まずニューロン神経伝達物質を介して電気信号に変換されます。
そして、そこから別のニューロンへと、その先端にある「シナプス」と呼ばれる情報の受け渡し場所同士を統合させることによって連絡を取り合います。
こうして神経細胞のグループが作られることによって、「感情」が生まれるのです。
 
 しかし、その大事なシナプスの機能も加齢とともに衰えていき、神経伝達物質の量も減少してしまいます。
 
 このシナプスを活性化するためには、人と会ったり、新しい趣味にチャレンジしたりするなど、新鮮な刺激を受けることによって、積極的に脳を働かせることが必要です。
反対に、毎日、決まったスケジュールで過ごし、限られた刺激しかない生活を続けていれば、シナプスは元気がなくなっていきます。
また、アドレナリンやドーパミンなどの神経伝達物質は、主にアミノ酸で構成されています。
減少を防ぐためには、十分なタンパク質の摂取も必要です。
 
 こうして“脳のポテンシャル”を引き出すことができれば、認知症を予防できるのではないかといわれており、現在も研究が進められています。
認知症にならない人がやっている脳のゴミ掃除 より」
 
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脳の中では、運動会のリレーのように、神経がバトンをつないで、指令を伝達していきます。
しかし、たとえばC地点の神経細胞が倒れてしまい、指令がそこで止まってしまう、という事態が起こります。
このとき、すぐにC地点の神経細胞を救出できれば復活したのですが、時間が経ち、死んでしまって、その指令も届かなくなる。
これが運動麻痺や言語障害の起こる理由です。
 
ところが、脳のすごいところは、C地点から今度はほかのルートでバトンを渡そうとするのです。
新たなルートで、新たなリレーのチームを作り、「言葉を話す」という指令を伝えようとします。
この新チームは、以前のチームのようにバトンの受け渡しがうまくなく、スムーズに指令が届きません。
しかし、何度も繰り返し練習するうちに、だんだんうまく指令が伝わるようになっていきます。
このようにして、死んでしまった神経細胞は復元しないけれど、ほかのルートで代用できれば、言葉がある程度話せるようになり、失語症もよくなっていくというわけです。
 
ニューロン同士が情報伝達を行うこと、つまり神経機能的連絡を行うためには、新経路の交差点ともいうべきものが必要であり、この交差点をシナプスと言います。
このシナプスは、歳をとっても増加し、より成熟した結合が進行するとされています。
高度の創造過程にも高密度のシナプス形成が必要と思われ、そのためには、それに必要な素材として神経系構成成分、つまり栄養成分が必要なことは当然で、また、その構築作業のための酵素、そしてそれを補佐する補酵素的ビタミンも必要となります。
その中でも重要なものがビタミンB12なのです。
 
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