「マインドフル」とは

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「マインドフル」とは
 
 最近、あちこちで「マインドフルネス」という言葉を見聞きする方も多いでしょう。
大きな書店に行けば関連書籍を集めたコーナーがあり、雑誌などでも特集記事がよく組まれています。
 
アメリカ心理学会の「五つのストレス対策」の中でも「瞑想」が揚げられていますが、瞑想の代表として同学会が推奨しているのもマインドフルネスです。
 
アメリカやヨーロッパでは、ストレス対策プログラムとして、すでにかなりの広がりを見せています。
 
日本人にとって“mindfulness”とはまったく馴染みのない言葉です。
その意味を知るために解説書を読むと、「日本語で『気づき』のことです」と書いてあることが多い。
しかし、「気づきです」と言われても、まったくピントこないのではないでしょうか。
 
「○○に気をつけてね」と英語で言うときに、“Be mindfulnessという表現があります。
こんな言葉をかけられる人は、例えば、ボーッとしながら道を歩いていているような人です。
そういう人が、“Be mindfulnessと声をかけられると、「はっ」と我に返り、目の前で起きつつある危険の存在に気づかされます。
この「はっと我に返った状態」「今の現実に注意が向いた状態」こそが、マインドフルな状態、すなわちマインドフルネスです。
 
マインドフルネス VS. マインド・ワンダリング
 
「マインドワンダ・ワンダリング(心の迷走)」は、生活時間の半分近くを占めている、過去や未来についてあれこれ考えを巡らせている状態のことです。
この状態にある間はストレス反応がずっと続いていて、脳と心、体が少しずつむしばまれています。
 
マインド・ワンダリングの状態にある人は、目の前の現実に注意が向いておらず、ボーッとしているように見えることもあります。
マインド・ワンダリングの状態とは、はっと我に返るようなマインドフルな状態とは正反対の状態なのです。
 
マインドフルな状態を目指すということは、言い換えれば、マインド・ワンダリングを回避した状態を維持するということです。
 
では、どうすればマインド・ワンダリングの状態を脱し、マインドフルな状態を維持することができるのか。
実は、そのための方法こそが「瞑想」という行為であり、それを引き継いだのが現代のマインドフルネスなのです。
 
日本人の心のなかにあるマインドフルネス
 
マインドフルネスを実際にやってみたいという方に、注意すべき点がひとつあります。
マインドフルネスは心の調子に関わるものなので、現在、うつ病などの治療を受けている方は、自分だけの判断で始めず、医師に相談してほしいということです。
 
早稲田大学人間科学学術院の熊野宏昭教授は日本におけるマインドフルネス研究の第一人者として知られています。
マインドフルネスのルーツとなった初期仏教の思想から最新の医学研究にまで精通し、自らもさまざまな研究を行っています。
その熊野氏によれば、そもそもマインドフルネスとは、
 
「今の瞬間」の現実に気づきを向け、その現実をあるがままに知覚し、それに対する思考や感情にとらわれないている心の持ち方――
 
ということになります。
 
「瞑想」という言葉から、どうしても呼吸や意識への「集中」をイメージしてしまいますが、それは正しくありません。
マインドフルネスが目指すのは、集中ではなく、今の瞬間に「気づき」が向かう状態です。
そのためには、現実をあるがままに知覚することが大切なのです。
 
「何だか難しいな」という思いで話を聞いていると、熊野氏が補足をしてくれました。
 
「例えば、禅寺の枯山水庭園や、茶道の茶室をイメージしてみてください。そうした場所では、空間全体を捉える心の持ち方が大切になります。同じように、華道や武道でも基本的にはマインドフルネスの心の使い方をしていると考えられます。私たちの身近なところで培われてきた思想や文化に、マインドフルネスは息づいているのです」
 
 日本人のDNAに刻まれたマインドフルネスの心を思い出せばいいのだと、熊野氏は言います。
そう聞くと心強く思えてきます。
「キラーストレス 心と体をどう守るか より」
 
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新しい生活パターンへの対応、とくに人間関係の変化は想像以上に心身への影響が大きい。
気分が落ち込んだり一時的にうつ状態になってしまうこともあります。
とはいえ、そのうちに治ってしまうことが多いので、うつ状態でも必ずしも病気とは言えません。
しかし、落ち込みの程度が重い時や、落ち込みが長引いてしまうと、人の意欲は奪われて行動にも影響を及ぼします。
 
私たちの脳の中で司令塔のような役割をしているセロトニン神経という神経細胞が弱ってきており、軽い不調からうつ病、パニック症候群、さまざまな依存症などを引き起こす原因になっています。
この現象は大人から子どもまで老若男女に広がっています。
セロトニン神経は、日を浴びることや意識した呼吸、簡単な運動をすることなど日常生活に少し工夫を加えることによって鍛えることができます。
 
脳には無数の神経細胞があり、その神経細胞の末端からセロトニンアセチルコリンドーパミンなどの神経伝達物質を放出しています。
イライラしやすいときは、脳の神経伝達物質であるセロトニンアセチルコリンドーパミンなどが不足していることが考えられます。
そのため、これらの材料となるアミノ酸と、アミノ酸を取り込むために必要な糖分やビタミンB12の不足を疑ってみましょう。
また、脳の唯一のエネルギー源であるブドウ糖が足りなかったり、神経伝達物質を放出するときに働くカルシウムが不足したりしているのも原因のひとつと考えられます。
 
ビタミンB12は、悪性貧血のみならず神経や免疫系にも効果があることが明らかになり、高齢者のうつや認知症の予防等に利用されています。
高齢者が理由のはっきりしない神経症状を呈したら、ビタミンB12の欠乏を考えるべきだという学者もいます。
 
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