ビタミンB群は、「助け合って」働く

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ビタミンB群は、「助け合って」働く
 
ビタミンB群は8種類あり、糖質、脂質、タンパク質の3大栄養素の代謝で鍵を握る働きをしています。
 
これまで何度も3大栄養素をエネルギー源としてきましたが、細胞の直接的なエネルギー源になっているのは「ATP(アデノシン三リン酸)」という物質。
正確にいうなら、3大栄養素はこのATPを合成する働きがあり、ビタミンB群はATPを合成するプロセスになくてはならない存在なのです。
 
ことにトレーニングなどでエネルギー(ATP)を大量に使っているアスリートでは、ビタミンB群の消耗も激しくなり、より多くの摂取が求められます。
 
また、B群は互いに助け合って働くので、バランスよく摂ることも大切。
ビタミンB1、B2、B6、の3つは、成人女性の平均的な摂取量が、摂取推奨量を下回っており、とくに注意が求められます。
 
8種類のビタミンB群の働き、それぞれを多く含む食品をまとめてみます。
 
《ビタミンB1 糖質を代謝。足りないと疲れやすくなる》
1は「チアミン」とも呼ばれており、3大栄養素のなかでも糖質の代謝と深く関わっています。
1が効率よく摂れるのは、豚肉とその加工品であるハム、ソーセージ、ベーコン、など。
このほか、ナッツ類(ヒマワリの実、ゴマ)、海苔、ウナギ、豆類(大豆、いんげん豆、えんどう豆)、玄米のような未精製の穀物に多く含まれています。
これらの食品を多く摂っても、お菓子などから糖質を大量に摂るとB1が消耗してしまい、不足気味になって疲れやすくなります
ちなみにB1は初めて発見されたビタミンです。
 
《ビタミンB2 脂質を代謝。足りないと太りやすくなる》
2は「リボフラビン」とも呼ばれており、3大栄養素のなかでも脂質の代謝と深く関わっています。
不足すると脂質代謝が停滞してやせにくくなるばかりか、エネルギー不足から新陳代謝が滞って口内炎口角炎などが起こります
2はレバー、イワシ類、糸引き納豆、アーモンド、キノコ類、海苔、モロヘイヤなどに含まれています。
 
《ビタミンB6 たんぱく質代謝神経伝達物質の合成にも関わる》
6は、3大栄養素のなかでもたんぱく質代謝と深く関わります
たんぱく質アミノ酸に分解したり、アミノ酸を再合成して細胞や組織を作ったりするときに必須なのです。
この他、脳内で作用するセロトニンドーパミン、アドレナリンといった神経伝達物質の合成にも関わります。
6を多く含む食品には、豚肉、鶏肉、レバー、マグロ、カツオ、サバ、サンマ、スモークサーモン、ニンニク、豆類、ナッツ類、アボカドなどがあります。
 
《ビタミンB12赤血球の成熟を助ける。ベジタリアンは不足しやすい》
12は、アミノ酸や糖質の代謝に関わる他、遺伝情報を伝えている核酸の合成や赤血球の成熟を助けています。
12が欠乏すると悪性貧血のリスクが高まります
12を多く含む食品には、シジミやアサリなどの貝類、イクライワシ類、海苔などがあります。
海苔以外の植物性食品にはほぼ含まれていないため、動物性食品を一切カットする厳密なベジタリアンではB12が欠乏する恐れがあります。
 
ナイアシン 3大栄養素すべての代謝にかかわる》
ナイアシンは「ビタミンB3」と呼ばれることもあり、3大栄養素すべての代謝に関わっています。
不足すると皮膚炎、下痢、うつなどを起こす欠乏症「ベラグラ」という病気を発症することがあります
ナイアシン必須アミノ酸トリプトファンから合成されますが、必要量を満たすのは難しいので、食事からナイアシンとして摂ることが求められます。
ナイアシンは、鶏肉、アジ、サバ、イワシ類、マグロ、カツオ、ナッツ類、キノコ類などに含まれます。
 
パントテン酸 ホルモンの合成にも関わる》
パントテン酸は「ビタミンB5」と呼ばれることもあり、3大栄養素すべての代謝に関与しています。
抗ストレス作用を持つコルチゾールの合成にも関わっています。
不足すると疲労感やストレスによるイライラなどが生じます
パントテン酸は、イワシ類、紅鮭、レバー、納豆、モロヘイヤなどに含まれています。
 
《ビオチン 肝臓で新たに糖質を作る働きがあります》
ビオチンは「ビタミンB7」と呼ばれることもあり、3大栄養素すべての代謝に関わっています。
肝臓でアミノ酸などを原料として糖質を新たに作る「糖新生」をサポートしています。
ビオチンは、レバー、卵、アサリ、海苔、キノコ類、豆類、ナッツ類などに含まれます。
腸内細菌で合成されるため、欠乏は稀です。
 
葉酸 血をつくる働きがあります》
葉酸は「ビタミンB9」とも呼ばれています。
ホウレンソウの葉から発見されたことからこの名がつきました。
遺伝子情報を伝えている核酸代謝に関わり、ビタミンB12とともに赤血球で酸素を運んでいるヘモグロビンを代謝するため、不足すると悪性貧血を引き起こす恐れがあります
「妊婦のビタミン」という異名もあり、欠乏すると胎児の脳や脊髄の発生過程で生じる神経管の先天異常のリスクが高まるとされています。
葉酸はネーミングの元となったホウレンソウの他にも、モロヘイヤ、パセリ、ブロッコリー、アスパラガス、ニラ、豆類、海苔、レバー、イワシ類などに含まれています。
また、葉酸を吸収するには必須ミネラルである亜鉛が必要です。
「強く、美しくなる食事 より」
 
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認知症3割~5割を占めるアルツハイマー病の場合は、脳細胞が萎縮する病気です。
この萎縮を食い止めるためには、脳細胞を生成するためのタンパク合成、核酸(DNA)合成が順調に行われる必要があるのです。
ビタミンB12は、タンパク合成と核酸(DNA)合成の両方に深く関わっています。
新しい核酸、タンパク質が生まれ、それによって細胞も新しく生まれ変わり、「こわれた組織、細胞」と「新生の組織、細胞」が入れ替わります。
その結果若さにもつながると考えられます。
 
また、ビタミン欠乏症が原因で、認知症になるケースがあるそうです。
ビタミンの種類は、ビタミンB1、ビタミンB12、葉酸
東京武蔵野病院 副院長 田中信夫先生によれば、認知症患者の血中ビタミンB12は、通常の人より少ないそうです。
認知症の方に、ビタミンB12を投与すると、ボケ症状、特に感情障害、夜間せん妄、意欲、自発性の障害などの精神障害が軽くなると言われています。
高齢者が理由のはっきりしない神経症状を呈したら、ビタミンB12の欠乏を考えるべきだという学者もいます。
 
現在60歳以上の2割の人に、ビタミンB12の欠乏が見られるということです。
ビタミンB12は胃の内因子という糖たんばくと結合し吸収されますが、年齢とともに胃が小さくなったり胃の状態が悪くなったりして、内因子が
少なくなりビタミンB12の吸収が悪くなってしまうのです。
しかし、ビタミンB12は大量に摂ることで浸透圧の原理による押し込み効果によって胃の内因子と関係なく吸収されることが分かっています。
吸収率を高めるビタミンB12摂取量の目安は1000μg(マイクログラム)以上と考えられています。
 
さらに、主に動物性食品にしか含まれないというビタミンなので、野菜中心の食生活の人や、ダイエットをしているなど食事の量が少ない人は、ビタミンB12を補った方が良いとされています。
加齢、胃の病気、ストレスなどでも不足します。
 
ビタミンB12について?
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